CES 2025で発表、米国Reelables社が開発した配送追跡システムが注目されています。
主な特徴
- 配送ラベルに5G、GPS追跡機能、亜鉛コーティングバッテリーを組み込み
- 厚さ0.5ミリメートル未満の薄型設計
- 既存のバーコードプリンターで印刷可能
- 航空機での使用が安全(10社以上の航空会社から承認取得)
- 通常の廃棄物として処理可能
システム仕様
- 通信範囲:Bluetooth 110メートル、5G(NB-IoT)数キロメートル
- バッテリー寿命:約1年間(アクティベーション後)
- ビーコン送信間隔:10秒ごと
- 価格:大量生産時2ドル未満/枚(750枚/リール)
【編集部解説】
Reelablesの5Gスマートラベルは、物流業界に大きな革新をもたらす可能性を秘めています。この技術の核心は、紙のように薄い基板上に亜鉛バッテリーと無線回路を直接統合した点にあります。
従来の追跡システムでは、バーコードの手動スキャンに依存していたため、人為的ミスや意図的な不正が発生しやすい環境でした。実際、2022年の統計では、年間で約10億個もの荷物が紛失や盗難の被害に遭っています。
革新性
この技術の画期的な点は、既存の物流インフラを変更することなく導入できる点です。標準的なバーコードプリンターで印刷可能で、特別な設備投資が不要です。
亜鉛コーティングバッテリーの採用により、リチウムバッテリーを使用する従来の追跡デバイスと比べて、航空輸送時の安全性が大幅に向上しています。
市場への影響
医薬品や高額商品の輸送において、このシステムは特に重要な役割を果たすと考えられます。1分以内という高頻度で倉庫内の在庫監査が可能となり、サプライチェーンの可視性が劇的に向上します。
今後の展望
現在はNB-IoT方式を採用していますが、今後はLTE-M方式にも対応予定です。これにより、より広範な通信環境での利用が可能となります。
また、環境負荷の観点からも注目されており、2024年のサステナビリティアワードのファイナリストにも選出されています。使用後は通常の廃棄物として処理可能で、電子廃棄物としての特別な処理が不要という特徴は、環境配慮型の物流システムの実現に貢献するでしょう。
課題と展望
ただし、このシステムにも課題はあります。5Gネットワークのカバレッジに依存するため、通信インフラが整備されていない地域では機能が制限される可能性があります。また、導入コストの観点から、当初は高付加価値商品の追跡に限定される可能性が高いと考えられます。