Perplexity AI、月額200ドルのAIブラウザ「Comet」発表|エージェント機能でタスク自動実行

[更新]2025年8月13日18:33

Perplexity AI、月額200ドルのAIブラウザ「Comet」発表|エージェント機能でタスク自動実行 - innovaTopia - (イノベトピア)

Perplexity AIは2025年7月9日水曜日、AI搭載ウェブブラウザ「Comet」を発表した。

CometはSlackなどの企業向けアプリケーションと連携し、ユーザーが音声とテキストで質問できる機能を持つ。ブラウザは月額200ドルのPerplexity Max購読者に提供され、夏期間中にウェイティングリストへの招待制アクセスを段階的に展開する予定である。

CometはChromiumベースで開発され、Perplexityの検索エンジンをデフォルトに設定している。同社は2025年5月、140億ドルの評価額で5億ドルの調達を最終段階で交渉していた。Metaは2025年初めにPerplexityの買収について協議したが、合意には至らなかった。

Perplexity AIのCEOアラビンド・スリニバスは、Cometを「オペレーティングシステム」として発展させる構想を示している。

From: 文献リンクPerplexity launches AI-powered web browser for select group of subscribers

【編集部解説】

Perplexity AIの「Comet」ブラウザ発表は、単なる新製品リリースを超えた戦略的な意味を持っています。この動きは、AI検索エンジンからブラウザ市場への参入という垂直統合戦略の一環として捉える必要があります。

エージェンシー機能の革新性

Cometの最も注目すべき特徴は「Comet Assistant」と呼ばれるAIエージェント機能です。これは従来のブラウザが情報表示に留まっていたのに対し、ユーザーに代わって実際にタスクを実行する能力を指します。具体的には、メールの要約、カレンダーイベントの管理、タブの操作、さらにはウェブページ上での自動操作が可能になります。

実際のテストでは、Gmail連携による電子メール管理、カレンダーイベントの確認、ウェブページの要約、さらには商品購入やホテル予約の代行まで実行できることが確認されています。これは単なる検索結果の表示から、実際の行動実行への大きなパラダイムシフトを意味します。

プライバシーとセキュリティの二面性

Cometの利用には広範囲なアクセス許可が必要となります。Googleアカウントへの深いアクセス、画面表示の監視、メール送信、連絡先閲覧、カレンダーイベント追加など、従来のブラウザでは考えられないレベルの権限を要求します。

TechCrunchのテストでは、これらの権限要求に対して「不安を感じる」レベルのアクセス許可が必要であることが報告されています。一方で、AIエージェントがその機能を発揮するためには、このような包括的なアクセス権限が不可欠であることも事実です。

市場競争への影響

Cometは既存のブラウザ市場に新たな競争軸を持ち込みます。GoogleのChromeやAppleのSafariが市場を寡占する中、AI機能を核とした差別化戦略は注目に値します。特に、The Browser CompanyのDiaブラウザとの直接競合が予想され、AI機能を軸とした新しいブラウザ戦争の幕開けとなる可能性があります。

興味深いのは、CometがGoogleのChromiumをベースに開発されていることです。これは、Googleが提供するオープンソースプラットフォームを使って、Google自身に挑戦するという皮肉な構図を生み出しています。

収益化戦略の透明性

Perplexity AIのCEOアラビンド・スリニバスは、4月のインタビューでブラウザ開発の理由として「パーソナライズされた広告」の可能性に言及しています。ユーザーの閲覧履歴を分析してより良いユーザープロファイルを構築し、ディスカバーフィードを通じて広告を表示する可能性を示唆しました。

一方で、Cometには「よりクリーンなブラウジング体験のための内蔵AdBlock」機能が搭載されています。これは既存の広告をブロックしながら、自社の広告システムを構築する戦略の一環と考えられます。

技術的課題と限界

現在のCometは、簡単なタスクでは有効性を示す一方、複雑な要求に対しては機能が破綻する傾向があります。また、WindowsとMacでのみ利用可能で、モバイル版の提供時期は未定です。これらの制限は、AI技術の現在の限界を示すものでもあります。

長期的な産業への影響

Cometの成功は、ブラウザ市場だけでなく、AI産業全体の方向性を左右する可能性があります。特に、AppleやMetaからの買収打診は、大手テック企業がAI機能統合に向けた戦略的資産として同社を評価していることを示しています。

月額200ドルという高額な価格設定は、現段階では限定的なユーザー層をターゲットとしていますが、将来的な一般普及に向けた段階的戦略の一環と考えられます。Perplexity AIは2025年5月に7億8000万件のクエリを処理し、月次成長率20%以上を記録しており、この成長基盤がCometの普及を支える可能性があります。

【用語解説】

Comet Assistant
Cometブラウザに内蔵されたAIエージェント機能。ウェブページの内容を理解し、ユーザーに代わってメール送信、カレンダー管理、タブ操作などのタスクを実行する。

Chromium
Googleが開発するオープンソースのウェブブラウザプロジェクト。Chrome、Microsoft Edge、そしてCometなど多くのブラウザのベースとなっている。

エージェンシー機能
AIが単なる情報提供を超えて、ユーザーに代わって実際のタスクを実行する機能。メール送信、カレンダー管理、ウェブページ操作などを自動化する。

デフォルト検索エンジン
ブラウザで検索を行う際に自動的に使用される検索サービス。Googleは2021年に260億ドルを支払って各ブラウザでのデフォルト地位を確保している。

垂直統合戦略
企業が関連する複数の事業領域を統合して、一貫したサービスを提供する戦略。Perplexityの場合、検索エンジンからブラウザまでを統合している。

【参考リンク】

Perplexity AI外部)
AI搭載の検索エンジンサービス。質問に対して正確な回答を提供し、情報源を明示する。

Comet Browser公式ページ(外部)
Perplexity AIが開発したAI搭載ブラウザCometの公式紹介ページ。

The Browser Company(外部)
革新的なブラウザ「Arc」と「Dia」を開発する企業。AIを中心に据えたブラウジング体験を提供。

Google Chrome(外部)
世界最大のシェアを持つウェブブラウザ。CometはこのChromeのベースとなるChromiumを使用。

Chromium Project(外部)
Googleが主導するオープンソースブラウザプロジェクト。多くのブラウザがこのプラットフォームをベースに開発。

【参考動画】

【参考記事】

Perplexity launches Comet, an AI-powered web browser(外部)
TechCrunchによるComet発表の詳細記事。AI機能の具体的な使用例とPerplexityの戦略について解説。

Introducing Comet: Browse at the speed of thought(外部)
Perplexity AI公式ブログによるComet発表記事。開発背景と機能の詳細について説明。

Nvidia-backed Perplexity launches AI-powered browser to take on Google Chrome(外部)
ReutersによるComet発表記事。Google Chromeとの競合関係について分析。

【編集部後記】

AIブラウザという新しいカテゴリが生まれようとしている今、皆さんはどのような可能性を感じられるでしょうか。月額200ドルという価格設定を見ると、まだ一般普及には時間がかかりそうですが、この技術が身近になった時、私たちの日常はどう変わるのでしょう。

特に興味深いのは、Cometが要求する広範囲なアクセス許可です。便利さと引き換えに、どこまでの情報アクセスを許可できるか、皆さんならどう判断されますか。また、既存のブラウザに慣れ親しんだ私たちが、AIエージェント機能を本当に必要とする場面はあるのでしょうか。

GoogleのChromiumをベースにしながらGoogle自身に挑戦するという構図も興味深く、AI時代の競争の複雑さを象徴しているように思えます。ぜひ皆さんの率直なご意見や体験談をお聞かせください。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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