米国土安全保障省が対ドローン技術に1億ドル投資 – 重要インフラ保護でC-UAS市場が拡大

[更新]2025年8月30日09:59

米国土安全保障省が対ドローン技術に1億ドル投資 - 重要インフラ保護でC-UAS市場が拡大 - innovaTopia - (イノベトピア)

米国国土安全保障省(DHS)が対無人航空機システム(C-UAS)技術の調達に1億ドル以上を投じる計画を発表した。

DHSは水曜日に調達計画予測システムで通知を公開し、2026年初頭から2030年9月までの間に複数のベンダーから対ドローン技術を調達する意向を明らかにした。この調達の目的は無許可または悪意のある無人航空機システムがもたらす脅威に対処することで、重要インフラ、公共の安全、国家安全保障の保護を目的とする。

C-UAS技術には、ハンドヘルド型対ドローン銃からプロジェクト・フライトラップのような着用可能なモデル、トラック搭載ユニットまで様々な形態がある。DHSは9月8日にC-UAS募集要項を公開し、来年初頭の契約締結を予定している。

DHSはMQ-9リーパードローンを抗議活動上空で飛行させており、今年初頭にカリフォルニアでドローンが消防航空機に衝突する事件が発生した。こうした背景も、今回の⼤規模調達の⼀因となっている。

From: 文献リンクHomeland Security to buy $100M in counter-drone tech

【編集部解説】

今回のDHSによる1億ドル規模のC-UAS(対無人航空機システム)技術調達は、アメリカにおけるドローン脅威の現実化を示す重要なニュースです。

この調達計画の背景には、民生用ドローンの急速な普及と、それに伴う新たなセキュリティリスクがあります。市場調査によると、グローバルな対ドローン技術市場は2030年までに100億から150億ドル規模に成長すると予測されており、北米がその50%以上を占めています。

技術的な側面では、C-UAS技術は検知・追跡・識別から対処までの多層的なアプローチを採用しています。レーダーによる検知、RF(無線周波数)解析による識別、そして電波妨害やサイバー乗っ取り、さらには物理的な迎撃まで多様な手法が存在します。

注目すべきは、DHSが機械学習ベースの画像認識技術を既に2018年から研究していることです。これは従来の熱探知や音響探知に加え、映像データから時間周波数解析(TFA)を行い、ドローンの「時間周波数署名」を識別する先進技術です。

一方でリスクも存在します。RF妨害は近隣の電子機器に影響を与える可能性があり、物理的迎撃は破片による二次被害の懸念があります。また、対ドローン技術による個人情報収集については、アメリカでは2018年の「新興脅威防止法」により180日以内の削除義務が課されています。

このタイミングでの大規模投資は、2025年6月のトランプ政権による「アメリカンドローン優位性の解放」大統領令とも連動しており、外国製ドローンの規制強化と国内技術の育成が加速されています。民間インフラ保護から国家安全保障まで、ドローン技術をめぐる「空の戦争」時代が本格化しています。

【用語解説】

C-UAS(Counter-Unmanned Aircraft Systems)
対無人航空機システムの略称。敵対的ドローンを検知、追跡、識別、無力化する技術の総称。RF妨害、サイバー乗っ取り、物理的迎撃まで多様な手法を含む。

APFS(Acquisition Planning Forecast System)
アメリカ政府機関が使用する調達計画予測システム。政府機関が将来の調達意向を公開し、企業側が準備できるように設計された透明性確保のためのシステム。

プロジェクト・フライトラップ(Project Flytrap)
米軍とイギリス軍が合同で実施している対ドローン技術の実証実験プロジェクト。2025年6-8月にドイツとポーランドで開催され、実戦に即した環境でC-UAS技術をテストしている。

MQ-9リーパー
ジェネラル・アトミクス社が開発した中高度・長航続時間の軍用無人航空機。全長11m、翼幅20m、最大荷重3,800lb(1,700kg)で、ヘルファイアミサイルや500ポンド爆弾を搭載可能。

ICE(Immigration and Customs Enforcement)
移民・税関執行局。DHSの下部組織で、2003年に設立。移民法の執行、不法移民の拘束・強制送還、国境警備を担当する。2万人以上の職員と年間80億ドルの予算を持つ。

【参考リンク】

米国国土安全保障省(DHS)(外部)
アメリカの国土安全保障を統括する政府機関。2002年の国土安全保障法により設立され、ICEやTSAなど複数の組織を傘下に持つ。

ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(外部)
MQ-9リーパーなどの軍用無人航空機を製造するアメリカの防衛企業。UAV技術のパイオニア的存在で、世界各国に製品を供給している。

ドローンシールド(外部)
対ドローン技術の専門企業。11年間でC-UAS技術に特化し、40か国以上に約4,000台のシステムを展開。ウクライナ紛争でも技術が活用されている。

【参考記事】

Sky Wars: The Rising Drone Threat and High-Tech Counter-Drone Warfare(外部)
ドローン脅威の増大と対策技術の発展について分析。グローバル対ドローン市場が2030年までに100-150億ドル規模に成長すると予測。

8 Counter-UAS Challenges and How to Overcome Them(外部)
対ドローン技術の8つの課題と解決策を詳述。RF妨害の影響や個人情報収集について2018年の「新興脅威防止法」を解説。

DHS S&T outlines machine learning-based drone detection tech(外部)
DHSが2018年から研究している機械学習ベースの画像認識技術について詳述。時間周波数解析によるドローン識別技術を紹介。

Army maturing counter-drone command and control architecture at Project Flytrap exercise(外部)
プロジェクト・フライトラップの詳細な技術的背景を解説。米軍が小型ドローンとのコスト競争で劣勢に立たされている問題を指摘。

Drone Executive Order 2025: Impact on DJI and Domestic Industry(外部)
2025年6月のトランプ政権による「アメリカンドローン優位性の解放」大統領令について分析。外国製ドローン規制強化を詳述。

【編集部後記】

DHSが投じる1億ドルの対ドローン技術投資は、私たちの日常にも大きな変化をもたらすかもしれません。空撮や配送で身近になったドローンが、同時にセキュリティの新たな課題となっている現実をどう捉えればよいでしょうか。

特に注目したいのは、技術の二面性です。同じ無線技術がドローンの利便性と脅威対策の両方を支えている構図は、AI開発における議論にも通じるものがあります。みなさんは、こうしたテクノロジーの進化によって変わりゆく「空の風景」をどのように想像されますか?

ぜひ、ドローンと共存する未来についてのご意見をSNSでお聞かせください。私たちも一緒に考えていきたいと思います。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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