AnkerがAI音声レコーダー「Soundcore Work」を発表した。
直径0.91インチのコインサイズで重量10グラム。9月に米国で発売予定で、今年後半に世界展開される。価格は99.99ドルで基本サービスが含まれ、月額15.99ドルのサブスクリプションで追加機能を提供する。
バッテリー寿命は最大8時間、専用充電器使用時は32時間。タップで録音開始、ダブルタップで重要な部分をマーク可能。
GPT-4.1を使用し、将来的にGPT-5.0に対応予定。100以上の言語で音声を文字起こしする。磁気クリップで衣服に装着でき、ストラップにも取り付け可能。文字起こしと要約時には暗号化された音声ファイルがAIサービスプロバイダーのクラウドに送信され、処理後に削除される。
音声ファイルは共有時にもクラウドを経由する。ブラックとホワイトの2色で展開される。
From: Anker’s new AI voice recorder is the size of a coin
【編集部解説】
AnkerのSoundcore Workは、単なる小型化を超えた技術的挑戦として位置づけられます。直径0.91インチという制約の中に、デュアルマイクロフォンとAI処理能力を詰め込んだ点は注目に値するでしょう。
これまで会議や講演の記録には専用機材や技術的知識が必要でしたが、コイン大のデバイスがその障壁を劇的に下げています。タップ操作で録音開始、ダブルタップで重要箇所のマーキングという直感的な操作設計は、テクノロジーへの親しみやすさを重視したアプローチと言えます。
GPT-4.1から将来的にGPT-5.0への対応予定という点は、継続的な性能向上への道筋を示しています。97%の転写精度を謳っていることからも、実用性の高さが伺えるでしょう。100言語以上に対応することで、グローバルなビジネス環境での活用可能性を広げています。
一方で、プライバシーとセキュリティの課題も見逃せません。文字起こしと要約処理時に暗号化された音声ファイルがクラウドに送信される仕様は、企業秘密や個人情報を扱う場面での採用に慎重さを求めることになります。3日間のデータ保持可能性も、完全なプライバシー保護を求める利用者には懸念材料となるかもしれません。
月額15.99ドルのサブスクリプションモデルは、継続的な収益確保を狙う一方で、利用者にとっては総保有コストの増加を意味します。基本機能だけでは物足りない機能設計となっている可能性も示唆されており、実際の利用価値は追加機能の内容次第と言えるでしょう。
この製品は音声AI市場の競争激化を象徴しています。PlaudやBeeといった競合製品との差別化が、最終的な市場での成功を左右することになるでしょう。小型化技術の進歩により、今後はさらに目立たない形での音声記録が可能となり、社会的なルールや規制の見直しが必要になる可能性もあります。
【用語解説】
AI音声転写 – 音声データを人工知能によってテキスト化する技術。従来の音声認識に比べて文脈理解や複数言語対応に優れている
GPT-4.1/GPT-5.0 – OpenAI社が開発した大規模言語モデル。音声認識・自然言語処理・要約生成などの能力を持つ
コイン サイズ – 直径0.91インチ(約2.3cm)の大きさを指す表現。25セント硬貨の直径よりも小さい
デュアルマイク – 2つのマイクロフォンを搭載した録音システム。ノイズ除去や指向性制御により音質向上を図る
ウェアラブルデバイス – 身に着けて使用する電子機器の総称。腕時計型、クリップ型、ピン型など様々な形状がある
【参考リンク】
Bee公式サイト(外部)
$49.99で販売されるAIウェアラブル「Bee Pioneer」の公式サイト。7日間バッテリー、40言語対応機能を掲載
PLAUD日本公式サイト(外部)
ChatGPT-4o連携のAIボイスレコーダー「PLAUD NOTE」「PLAUD NotePin」の日本公式サイト
Anker Japan Soundcore(外部)
AnkerのオーディオブランドSoundcoreの日本公式サイト。各種ヘッドホンやイヤホンの製品情報を掲載
【参考動画】
【参考記事】
Anker unveils Soundcore Work, a tiny recorder with AI transcription(外部)
Soundcore Workの技術仕様と97%の転写精度について詳しく解説。3日間のデータ保持期間についても言及
Anker’s coin-size AI recorder can transcribe and summarize your meetings in one click(外部)
ZDNetによる詳細レビュー記事。GPT-4.1搭載による多言語対応機能と競合製品との比較分析を掲載
Amazon acquires Bee, the AI wearable that records everything you say(外部)
2025年7月にAmazonがBee社を買収したニュース。AIウェアラブル市場の動向について詳しく報道
Bee review: I outsourced my memory to AI and all I got was fanfiction(外部)
The VergeによるBee Pioneerの実機レビュー。$49.99の価格設定と実際の使用体験について率直に評価
PLAUD NotePin レビュー。小型軽量のAIボイスレコーダーを(外部)
PLAUD NotePinの日本語詳細レビュー。文字起こし精度の高さと実用性について具体的な使用例を交えて解説
【編集部後記】
コイン大のAI音声レコーダーが示すのは、情報の記録と活用が根本的に変わりつつある現実です。みなさんは普段の会議や打ち合わせで、メモを取りながら話に集中することの難しさを感じたことはありませんか?
このような小さなデバイスが身近になることで、私たちの働き方やコミュニケーションの取り方がどう変化していくのか、想像してみてください。一方で、プライバシーや情報管理の問題も見逃せません。
Bee Pioneer、PLAUD NotePin、そして今回のAnker Soundcore Workと、AI音声レコーダー市場に次々と魅力的な選択肢が登場していますね。どれを選べばよいか正直迷ってしまいます
。$49.99のBee Pioneerはコスパが魅力的ですし、PLAUD NotePinは日本でも手に入りやすく実績もあります。一方で今回のSoundcore Workは、Ankerブランドの安心感とGPT-4.1搭載による高い転写精度が期待できそうです。
みなさんなら価格重視で行きますか?それとも機能性や信頼性を重視しますか?使用シーンによっても最適解は変わりそうですが、選択肢が豊富になるのは嬉しい悩みですね。ぜひ皆さんの選び方の基準も教えてください。