ナッジカード、日本円ステーブルコイン「JPYC」返済を10月開始|VISA加盟店1億5000万店で利用可能

[更新]2025年9月20日11:02

ナッジカード、日本円ステーブルコイン「JPYC」返済を10月開始|VISA加盟店1億5000万店で利用可能 - innovaTopia - (イノベトピア)

JPYC株式会社と東京都千代田区のナッジ株式会社は2025年9月11日、次世代クレジットカード「Nudge(ナッジカード)」において日本円建ステーブルコイン「JPYC」での返済受付を2025年10月を目処に開始すると発表した。

この取り組みにより、世界約1億5,000万超のVISA加盟店におけるお買い物に対してJPYCによる返済が可能となる。ステーブルコイン市場の発行総額は2,500億ドル(約37兆円)を超え、オンチェーン取引量ではVisaやMastercardを上回る規模に成長している。

JPYC株式会社は2025年8月に資金決済法第37条に基づく資金移動業者の登録(登録番号:関東財務局長第00099号)を取得し、今秋に国内初の日本円建ステーブルコイン発行を予定している。

ステーブルコイン払いではナッジ指定のウォレットアドレスにJPYCを送金することで返済できる。サービス開始時は対象者を限定し、Nudge NFTで実績のあるPolygonチェーンから対応を予定している。

From: 文献リンク【国内初】クレジットカード返済方法に、日本円建ステーブルコイン「JPYC」が導入されます。

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【編集部解説】

今回のJPYCナッジカードの提携は、日本のステーブルコイン業界にとって記念すべき第一歩となります。これまでステーブルコインは暗号資産取引所やDeFiプロトコル内での利用が中心でしたが、今回初めて一般的なクレジットカード決済システムとの連携が実現されました。

特に注目すべきは、これが「前払い」ではなく「後払い(与信)」システムに対応している点です。日本の消費者の多くは翌月一括払いに慣れ親しんでおり、この決済習慣を変えることなくステーブルコインを活用できる仕組みは画期的といえるでしょう。

技術的な観点から見ると、ナッジカードのマイクロサービス基盤が柔軟な返済手段の実装を可能にしています。従来の「セブン銀行ATM払い」「銀行振込」に加えて、Polygonチェーン上でのJPYC送金という選択肢が加わることで、ユーザーの利便性は大幅に向上します。

ただし、現時点では対象者が限定されており、Nudge NFT保有者などの既存ユーザーから段階的に展開されます。これは新しい決済手段の安全性と安定性を確保するための慎重なアプローチといえます。

長期的な視点では、この取り組みが成功すれば他のクレジットカード会社やフィンテック企業も追随する可能性が高く、日本国内でのステーブルコイン普及の起爆剤となる可能性があります。一方で、規制当局による監視や消費者保護の観点から、今後の展開には注意深い運用が求められるでしょう。

【用語解説】

ステーブルコイン
価格が安定するよう設計された暗号資産の一種。JPYCのように法定通貨(日本円)と1:1で価値が連動するよう設計されており、価格変動リスクを抑えながらブロックチェーン技術の利便性を活用できる。

資金移動業者
資金決済法に基づき、銀行以外の事業者が為替取引を行うための登録制度。JPYCは2025年8月に登録を完了し、これにより合法的にステーブルコインの発行・運営が可能となった。

Polygonチェーン
イーサリアムのレイヤー2ソリューションの一つ。高速かつ低コストでの取引が可能で、多くのDeFiプロジェクトやNFTプロジェクトで採用されている。

マイクロサービス基盤
アプリケーションを小さな独立したサービスに分割して構築するアーキテクチャ。各機能を独立して開発・運用できるため、柔軟なサービス拡張が可能。

アンホステッドウォレット
ユーザー自身が秘密鍵を管理するタイプの暗号資産ウォレット。取引所などの第三者に依存しない一方、技術的知識が必要となる。

【参考リンク】

JPYC株式会社(外部)
日本初の日本円建てステーブルコインを発行する企業。資金移動業者として登録済み

ナッジ株式会社(外部)
次世代クレジットカード「Nudge」を提供するフィンテック企業

ナッジカード ステーブルコイン払い特設サイト(外部)
JPYCでのクレジットカード返済機能に関する詳細な情報とサービス利用方法

【参考記事】

国内初、クレジットカード返済にステーブルコインJPYC導入(外部)
JPYCとナッジカードの提携について詳細に報じた記事。技術的背景を解説

ステーブルコイン「JPYC」、クレカで買い物も 使い道広がるか(外部)
日本経済新聞による報道記事。JPYCの社会実装に向けた取り組みと今後の展望

クレカのナッジ、”ステーブルコイン払い”10月開始(外部)
インプレスによる技術面に焦点を当てた記事。サービスの仕組みを詳しく説明

【編集部後記】

この記事を通じて、ステーブルコインが私たちの日常生活にどのように溶け込んでいくのか、想像していただけたでしょうか。今回の発表は技術的な革新である一方で、私たち一人ひとりの支払い体験がどう変わっていくかを考える良い機会でもあります。

現在のクレジットカードでの後払いという慣れ親しんだ決済方法を保ちながら、ブロックチェーンの透明性や24時間取引可能という利便性を手に入れられるとしたら、どのような新しい可能性が生まれるでしょうか。皆さんの普段の買い物スタイルや金融サービスへの期待も、この技術の進歩と共に変化していくかもしれません。ぜひ、この分野の今後の展開にも注目していただければと思います。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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