LINEヤフー株式会社は、セキュリティ技術・知識を競うコンテスト「LINE CTF 2025」を2025年10月18日9時から19日9時までの24時間にわたりオンラインで開催する。
CTFはセキュリティ対策やIT技術を用いて技術課題を解き、合計得点を競う競技である。LINEヤフーは2021年から毎年LINE CTFを開催しており、2023年には1,050チーム1,817名、2024年には1,299チーム2,784名が参加し、規模は年々拡大している。
今回の出題ジャンルはPwnable、Web、Reversingなどを予定している。開催形式はチーム戦のJeopardy形式で、賞金は総額$10,000、1位$5,000、2位$3,000、3位$2,000となる。参加登録は公式サイトhttps://www.linectf.me/registerで受け付けている。
From: PRTIMES【LINEヤフー】セキュリティ技術を競うコンテスト「LINE CTF 2025」を開催
【編集部解説】
LINEヤフーが開催する「LINE CTF 2025」は、単なる技術コンテストではなく、サイバーセキュリティ人材の育成とコミュニティ形成という重要な役割を担っています。CTFは実践的なハッキング技術を競う競技ですが、これは攻撃手法を学ぶことで防御力を高めるという「オフェンシブセキュリティ」の考え方に基づいています。
注目すべきは参加者数の伸びです。2023年から2024年にかけて、チーム数は約24%増、参加者数は約53%増と大幅に拡大しました。これは世界的にサイバーセキュリティへの関心が高まっていることの表れであり、同時に深刻化するサイバー攻撃への危機感を反映しています。
今回出題される「Pwnable」はメモリ破壊の脆弱性、「Web」はSQLインジェクションやXSSなどWebアプリの脆弱性、「Reversing」はマルウェア解析技術を問うもので、いずれも実際のセキュリティ業務で必要とされるスキルです。
LINEヤフーがこうしたイベントを主催する背景には、セキュリティ人材の育成とコミュニティとの連携強化という明確な目的があります。プレスリリースにある「プライバシー&セキュリティファースト」という経営指針は、ユーザーに安全なサービスを提供するという同社の姿勢を示すものです。
CTFは若手エンジニアにとって実力を示す場であり、企業にとっては優秀な人材を発見する機会にもなっています。総額$10,000という賞金は、グローバル規模のCTFとしては標準的ですが、金銭的報酬以上に、上位入賞がキャリア形成において大きな意味を持つのがこの世界の特徴です。
【用語解説】
CTF(Capture The Flag)
セキュリティ技術や知識を競う競技形式のこと。参加者は脆弱性を突いて隠されたフラグ(文字列)を取得し、得点を競う。実践的なハッキング技術を学べるため、セキュリティエンジニアの育成手段として世界中で開催されている。
Jeopardy形式
CTFの競技形式の一つで、複数のカテゴリーに分かれた問題が用意され、参加者が好きな問題を選んで解く方式。難易度によって得点が異なり、早く解くほど高得点が得られる場合もある。
Pwnable(ポウナブル)
プログラムの脆弱性を突いて任意のコードを実行させる技術を競うCTFのジャンル。バッファオーバーフローなどのメモリ破壊脆弱性を利用する問題が出題される。
Reversing(リバースエンジニアリング)
コンパイル済みのバイナリファイルを解析し、元のプログラムの動作や仕組みを理解する技術。マルウェア解析やソフトウェアの脆弱性発見に用いられる。
Bug Bounty Program
企業が自社のシステムやサービスの脆弱性を発見した研究者に報奨金を支払う制度。外部の知見を活用してセキュリティを強化する手法として普及している。
【参考リンク】
LINE CTF 2025 公式サイト(外部)
LINE CTF 2025の公式サイト。イベント詳細、参加登録、過去問題やWriteupが掲載されている
CTFtime(外部)
世界中のCTFイベント情報を集約したコミュニティサイト。各イベントのスケジュールや参加チームのレーティングを記録
LINEヤフー株式会社(外部)
LINEとヤフーが経営統合して誕生した企業の公式サイト。LINEやYahoo! JAPANなどのサービスを提供
LINE Security Bug Bounty Program(外部)
LINE関連サービスの脆弱性報告で報奨金が得られるプログラム。セキュリティ研究者との協力体制を構築
【編集部後記】
サイバーセキュリティと聞くと専門家だけの世界に感じるかもしれませんが、CTFは技術を学ぶ入り口として開かれています。初心者向けの問題も用意されることが多く、プログラミング経験があれば挑戦できる環境が整っています。
もし興味があれば、過去問題のWriteup(解答解説)を読むだけでも、攻撃者の思考プロセスを知る良い機会になるでしょう。デジタル社会を守る技術は、一部の専門家だけでなく、多くの人が関心を持つことで底上げされていきます。私たちの日常を支えるサービスがどう守られているのか、その一端に触れてみませんか。