ハードウェアリーカーのMoore’s Law is Deadが、ソニーが2027年前半にPS6の製造を開始し、同年後半に発売を目指していることを示す文書を入手したと報告した。この計画は約2年前から進められているという。
2027年の発売は、PS4(2013年)からPS5(2020年)への7年サイクルを踏襲する形となる。早期の製造開始により、2022年まで続いたPS5の深刻な供給不足を回避できる可能性がある。2027年のPS6発売は、2024年に発売されたPS5 Proの注目期間を2025年から2026年に集中させることになり、開発者、小売業者、プレイヤーにとってアップグレードのタイミングが明確になる。
【10/22 追記】
さらにMoore’s Law is Deadは、PS6と同時期に発売予定のポータブル機「Canis」の詳細スペックも公開した。このデバイスはNintendo Switchのようなドック接続に対応し、ハンドヘルドモードとドックモードで性能を切り替えられる設計となっている。
Canisの主要スペックとされるものは以下の通り:
- APU: AMD製TSMC 3nmプロセス、モノリシック構造(約135mm²)
- CPU: Zen 6c 4コア(ゲーム用)+ Zen 6 LP 2コア(OS用)
- GPU: RDNA 5 16CU、ハンドヘルドモード1.2GHz/ドックモード1.65GHz
- メモリ: LPDDR5X-8533、192bit幅、24〜36GB構成
- 性能: ドックモード時にPS5のラスタライゼーション性能の0.55〜0.75倍、レイトレーシング性能は1.3〜2.6倍
- 互換性: PS5およびPS4タイトルとの後方互換性を搭載
- 機能: USB-C経由のビデオ出力、microSDスロット、M.2スロット、タッチスクリーン、デュアルマイク、ハプティックフィードバック
- 価格目標: 399〜499ドル(MLID推定)
- 発売時期: 2027年秋、据え置き型PS6とほぼ同時期
From: Leak says PlayStation 6 production starts 2027, but is it too soon for you?
【編集部解説】
今回のリークで注目すべきは、ソニーが製造開始時期を明確にすることで、PS5で経験した供給不足への対策を講じている可能性があるという点です。2020年のPS5発売時には半導体不足とパンデミックの影響が重なり、2年以上にわたって深刻な品薄状態が続きました。2027年前半からの製造開始は、発売前に十分な在庫を確保し、初動需要に対応する戦略と読み取れます。
ハードウェアサイクルの観点では、7年周期が業界標準として定着しつつあります。これは半導体技術の進化速度と開発コスト、そしてユーザーの買い替えサイクルのバランスを考慮した結果といえるでしょう。PS4世代では約1億1700万台を販売し、PS5も2025年9月時点で8000万台を超える普及を見せています。2027年発売であれば、PS5のライフサイクルは十分に成熟した段階での世代交代となります。
一方で、2024年11月に発売されたばかりのPS5 Proの位置づけが微妙になる可能性があります。従来のコンソールサイクルでは、Pro版は発売から3〜4年の寿命を想定していましたが、わずか2〜3年で次世代機が登場すれば、高額な投資をしたユーザーの不満を招く恐れもあるでしょう。
技術面では、PS6はAMDの次世代APUを採用すると予想されており、レイトレーシング性能の大幅な向上やAI駆動型のグラフィックス処理が実装される見込みです。特にAIによるアップスケーリング技術は、4Kから8Kへの移行を現実的なものにする可能性があります。
開発者にとっては、2027年という明確なターゲットがあることで、クロスプラットフォーム開発の計画が立てやすくなります。ただし、PS5とPS6の両世代に対応したタイトル開発が必要になるため、開発コストの上昇は避けられません。中小のゲームスタジオにとっては、この世代移行期が大きな負担となる可能性も考慮すべきです。
【用語解説】
Moore’s Law is Dead
半導体業界やゲーム機のハードウェア情報を扱うリーカー。過去にPlayStation関連の正確なリーク実績があり、業界内で一定の信頼性を持つ。
APU(Application Processor Unit)
CPUとGPUを統合したプロセッサ。AMDが開発し、PlayStation 4以降のソニーゲーム機に採用されている。処理効率とコスト削減に貢献。
レイトレーシング
光の反射や屈折を物理的に計算する描画技術。よりリアルな光表現が可能になるが、高い処理能力を要求するグラフィックス技術。
世代間互換性
旧世代のゲームソフトを新世代機でプレイできる機能。PS5はPS4タイトルに対応しており、PS6でもこの機能の継続が期待される。
【参考リンク】
PlayStation公式サイト(外部)
ソニーの家庭用ゲーム機PlayStation関連の公式情報、ゲームラインナップ、サービス内容を提供。PS5、PS5 Proの詳細スペックや対応タイトルを確認できる。
AMD公式サイト – Gaming(外部)
PlayStationシリーズにAPUを供給するAMDの公式サイト。次世代プロセッサ技術やグラフィックス関連の最新情報を掲載している。
【参考記事】
PS6 Manufacturing Scheduled to Get Underway in Early 2027(外部)
Push Squareによる報道。Moore’s Law is Deadのリーク情報を基に、2027年前半の製造開始と年末発売の可能性を分析。PS5 Proの市場ポジションへの影響にも言及している。
PlayStation 6 Production Timeline and Leaked Specs for AMD’s Xbox Magnus APU Reportedly Finalised(外部)
IGN Indiaの記事。PS6の生産タイムラインに加え、AMDが開発中のXbox次世代機向けAPUのスペックも併せて報じており、次世代コンソール競争の全体像を提供。
Major Leak Confirms PS6 Release Date Rumors Were Real(外部)
Viceによる詳細分析。過去数ヶ月に渡って流れていた2027年発売の噂が、今回のリークで裏付けられたことを報告。業界関係者のコメントも掲載。
Sony to Begin PlayStation 6 Production in Early 2027(外部)
New Game Networkの報道。2027年前半の製造開始がPS5の供給問題を教訓にした戦略であることを強調。小売業者への影響も考察している。
Is Sony Rushing the Next Console Just to Fix PS5 Mistakes?(外部)
International Business Timesの批判的視点からの記事。7年サイクルが本当に適切なのか、PS5 Proユーザーへの影響、そしてソニーが急ぎすぎている可能性について議論。
【編集部後記】
2027年のPS6発売となれば、2024年末に699ドルでPS5 Proを購入したユーザーは、わずか2年半程度で次世代機の登場に直面することになります。一方で、PS5の供給不足を教訓に早期から製造体制を整える戦略は、ローンチ時の混乱を避ける賢明な判断といえるでしょう。気になるのは、AMDの次世代APUがどこまでAI処理とレイトレーシングを進化させるのか、そして価格設定です。PS5 Proが既に750ドル近い中、PS6が1000ドルを超える可能性も否定できません。ゲーム機の高価格化は、ユーザーの購入行動をどう変えていくのでしょうか。