「おしえて岡本くん!」に革新的エビデンスリファレンス機能が登場 – 認知症ケア専用AIチャットボットが医療情報の透明性を強化

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認知症ケアの現場に革命を起こす可能性を秘めた新機能が登場。AIチャットボットが提案する非薬物療法の「根拠」が一目でわかるようになり、医療・介護の情報透明性が大きく前進します。家族の介護に悩む方々にとって、信頼できる情報源となるか注目です。

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NEURO CARE TECH株式会社(本社:滋賀県長浜市、Co-CEO:岡本一馬、野地数正)は、2025年5月30日に認知症ケア専用AIチャットボット『おしえて岡本くん!』にエビデンスリファレンス機能を追加実装すると発表した。

この新機能は、日本認知症学会などが策定した「ヘルスケアサービス利用者・事業者も使用可能な認知症に対する非薬物療法指針」を引用したもので、AIチャットボット内で提示される非薬物療法の推奨レベルを医療従事者・介護事業者・家族など、あらゆるユーザーが根拠を確認しやすい仕組みを実現している。

エビデンスリファレンス機能では、ガイドライン中の「強く推奨する」「提案する」「保留する」という見出しを引用し、AIから提示される各アドバイスに分類アイコンを付与する。これにより、ユーザーは提供される情報の信頼性を視覚的に確認できる。

同AIチャットボットは2024年10月に初期バージョンがリリースされており、今回の機能追加によって、AMED(日本医療研究開発機構)事業の非薬物療法指針に基づく運動療法・音楽療法・回想法など8カテゴリーの非薬物療法について、エビデンスに基づいた情報提供が強化される。

なお、認知症関連の非薬物療法指針は、日本認知症学会、日本老年精神医学会、日本老年医学会、日本神経治療学会、日本神経学会、日本精神神経学会の6学会が協同して作成したものであり、認知症の前段階の方や認知症になった方に対する非薬物療法の効果を調べた研究結果を整理したものである。

References:
文献リンク認知症ケア専用AIチャットボット『おしえて岡本くん!』にエビデンスリファレンス機能を追加実装

【編集部解説】

認知症ケアの分野でAI技術の活用が進む中、NEURO CARE TECH株式会社が提供する『おしえて岡本くん!』の新機能に注目が集まっています。この度追加されるエビデンスリファレンス機能は、認知症ケアにおける非薬物療法の信頼性を可視化するという画期的な取り組みといえるでしょう。

この機能の最大の特徴は、日本認知症学会などが策定した「非薬物療法指針」に基づいて、AIチャットボットが提案する各種療法の推奨レベルを明確に示す点にあります。「強く推奨する」「提案する」「保留する」といった分類を視覚的なアイコンで表示することで、医療従事者だけでなく、介護事業者や家族など専門知識を持たない方々でも、提供される情報の信頼性を一目で判断できるようになります。

実は、認知症ケア向けのAIチャットボットは世界各地で開発が進められていますが、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究によると、多くのアプリが認知症教育と記憶力トレーニングに偏っており、介護のスキルや活動に寄り添うものが少ないという課題が指摘されています。また、同研究では「確たるエビデンスに基づき情報・アドバイスを提供するもの」の開発が重点的に進められるべきだと提言されています。

この点で、『おしえて岡本くん!』の新機能は、まさに研究者たちが求める方向性に合致した取り組みといえるでしょう。エビデンスに基づいた情報提供は、認知症ケアの質を高める上で極めて重要な要素です。

また、Journal of Medical Internet Researchに掲載された別の研究では、ChatGPTなどの大規模言語モデルが認知症患者の非臨床的な質問には適切に対応できる一方で、より専門的・臨床的な質問への対応には課題があることが示されています。『おしえて岡本くん!』は、こうした課題に対して、専門的知識を体系的に組み込み、エビデンスレベルを明示することで対応しようとしている点が注目されます。

興味深いのは、AIチャットボット自体も「認知症」のような症状を示すことがあるという研究結果です。BMJの研究によれば、ChatGPTやGeminiなどの主要なAIチャットボットに「モントリオール認知評価(MoCA)」を実施したところ、多くのモデルが「軽度認知障害」相当のスコアを示し、特に古いバージョンのAIほど低いスコアとなったそうです。これは、AIの進化と更新の重要性を示唆しています。

『おしえて岡本くん!』は2024年10月に個人向けサービスとしてリリースされ、2025年4月からは法人および自治体向けのサービス提供も開始されています。今回のエビデンスリファレンス機能の追加は、5月30日に予定されており、サービスの信頼性と有用性をさらに高める取り組みとして期待されています。

認知症ケアにおけるAIの活用は、介護者の負担軽減だけでなく、認知症患者自身のQOL向上にも寄与する可能性を秘めています。ただし、Nature誌に掲載された研究が示すように、AIシステムの有効性を高めるためには、専門家との協力、ユーザー評価の実施、そして継続的な改善が不可欠です。

『おしえて岡本くん!』の取り組みは、日本発の認知症ケア支援技術として、今後の発展が期待されます。特に、エビデンスに基づいた情報提供の仕組みは、認知症ケアの質の向上と標準化に貢献する可能性があります。

【用語解説】

非薬物療法:
薬を使わずに認知症の症状を改善・維持するための方法。運動療法、音楽療法、回想法などがある。薬物療法と比べて副作用のリスクが少なく、認知症患者のQOL向上に寄与する。

エビデンスリファレンス機能:
医療や介護の現場で提供される情報やケア方法の科学的根拠(エビデンス)を明示する機能。本サービスでは、推奨レベルを🔷(強く推奨)、🟪(提案する)、🟡(保留する)などのアイコンで視覚的に表示している。

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AMED:
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development)の略称。医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進を図るための組織である。

ビジネスケアラー:
仕事をしながら家族の介護をしている人のこと。日本では約346万人(2017年就業構造基本調査)が該当し、仕事と介護の両立に悩む人が増加している。

【参考リンク】

NEURO CARE TECH株式会社(外部)
認知症ケアの革新を目指し、「非薬物」をコンセプトにテクノロジーを駆使した新たな取り組みを展開している企業。

おしえて岡本くん!(外部)
認知症ケア専用AIチャットボット。LINEを通じて24時間365日、認知症に関する悩みや質問に即時にパーソナルなアドバイスを提供するサービス。

LAPRE GROUP(外部)
「おしえて岡本くん!」のナレッジベースとなる認知症ケア実績を持つグループ。2,200人以上の認知症患者への対応経験を有している。

【参考動画】

【編集部後記】

認知症ケアにAIが寄り添う時代が始まっています。ご家族の介護をされている方、医療・介護の現場で働く方、そして将来に備えたい方-皆さんの周りにも、認知症に関わる方はいらっしゃいませんか?「おしえて岡本くん!」のようなAIツールは、どんな場面で役立つと思いますか?また、AIが提供する情報の「根拠」を明示する仕組みについて、皆さんはどう感じますか?SNSでぜひ体験や考えをシェアしていただけると嬉しいです。

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TaTsu
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