AnimeGenベータ版始動、専門知識不要でアニメ制作─政府支援の生成AIプラットフォーム

[更新]2025年10月8日07:54

AnimeGenベータ版始動、専門知識不要でアニメ制作─政府支援の生成AIプラットフォーム - innovaTopia - (イノベトピア)

株式会社AIdeaLabは、2025年10月1日よりアニメ生成AIサービス「AnimeGen(アニメジェン)」のベータ版を公開した。AnimeGenは、生成AI技術を活用し、専門知識や高度なソフトウェアを必要とせず、テキスト入力だけで短尺アニメーションを生成できる動画生成プラットフォームである。

ベータ版では、テキストから短尺アニメーションを生成する機能と、画像をアップロードしてテキストでイメージを入力しアニメーション化する機能の2種類を無料で提供する。登録にはGoogleアカウントが必要だ。

本サービスは、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する国内の生成AI開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の支援のもとで提供される。

From: 文献リンク【PRTIMES】アニメ生成AIサービス『AnimeGen』日本国内向けベータテストのお知らせ

【編集部解説】

日本のアニメ産業が直面する人手不足と制作コストの高騰は、業界関係者なら誰もが知る深刻な課題です。そんな中、経済産業省とNEDOが支援するGENIACプロジェクトから生まれたAnimeGenは、単なる「AI動画生成ツール」ではなく、国策として日本の生成AI開発力を強化する取り組みの一環として位置づけられています。

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注目すべきは、このサービスが「テキストから動画」と「画像から動画」という2つのアプローチを提供している点でしょう。前者はアイデアスケッチの段階から動きのあるコンテンツを試作でき、後者は既存のイラストやキャラクターデザインに命を吹き込む用途が想定されます。特にインディーズクリエイターやプロトタイプ制作の場面では、アニメーターを手配する前の企画検証段階で大きな効果を発揮するはずです。

一方で、生成AIによるアニメ制作には著作権や学習データの透明性という課題が常につきまといます。GENIACという政府支援プロジェクトの枠組みで提供される以上、権利処理やデータソースの適切性には高い透明性が求められます。この点について開発元のAIdeaLabは、日本の著作権法(第30条の4)に準拠し、合法的に取得したデータのみを学習に使用していると明言しており、AIによるコンテンツ制作の健全な発展を目指す姿勢を示しています。とはいえ、生成された制作物の著作権の帰属や利用範囲など、クリエイターが安心して使うための具体的なガイドラインがベータ版の段階でどこまで示されるかが、引き続き利用者の関心事となるでしょう。

今回のベータテストは「動画生成プラットフォームとしてのユーザー満足度検証」を主眼としており、品質評価やUI/UXのフィードバック収集が目的とされています。つまり、現時点では商用レベルの完成度を保証するものではなく、あくまで開発途上のプロダクトです。正式版のリリース時期や料金体系については今後の発表を待つ必要があります。

長期的には、このようなツールがアニメ制作のワークフローにどう組み込まれていくかが焦点です。人間のクリエイターを代替するのではなく、反復作業や中割りの自動化、ラフ段階での動きの確認といった「創造的な時間を生み出すための補助」として機能すれば、業界全体の生産性向上に寄与する可能性を秘めています。

【用語解説】

GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)
経済産業省とNEDOが実施する、国内の生成AI開発力強化を目的とした支援プロジェクトである。日本国内の生成AI技術の競争力向上と産業応用を加速させるため、選定された企業やプロジェクトに対して資金援助や技術支援を提供している。

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
国立研究開発法人として、日本の産業技術開発やエネルギー・環境分野の研究開発を支援する組織である。経済産業省所管の独立行政法人として、技術革新を通じた産業競争力の強化を推進している。

Text-to-Video(テキストから動画生成)
テキストによる指示や説明文を入力することで、AIが自動的に動画コンテンツを生成する技術である。生成AIの応用分野の一つとして近年急速に発展しており、Runway Gen-2やPika Labsなど複数のサービスが登場している。

Image-to-Video(画像から動画生成)
静止画像を入力として、AIがその画像に動きを加えてアニメーション化する技術である。キャラクターや背景などの既存ビジュアル資産を活用しながら、動画コンテンツを生成できる点が特徴だ。

【参考リンク】

AnimeGen ベータテスト登録サイト(外部)
株式会社AIdeaLabが提供するアニメ生成AIサービス「AnimeGen」のベータテスト参加登録ができる公式サイト

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)(外部)
国立研究開発法人として、日本の産業技術やエネルギー分野の研究開発を支援する組織

経済産業省(外部)
日本の産業政策、通商政策、エネルギー政策などを所管する中央省庁。生成AI開発力強化のための各種施策を推進

【参考記事】

アニメ生成AIサービス『AnimeGen』日本国内向けベータテストのお知らせ(外部)
株式会社AIdeaLabによる公式プレスリリース。AnimeGenのベータ版公開、提供機能(テキストから動画、画像から動画)、GENIACプロジェクトの支援を受けていること、ベータテストの目的などが記載されている。

【編集部後記】

アニメ制作の入り口が、ここまで手軽になる時代が来るとは思いませんでした。頭の中にあるシーンをテキストで伝えるだけで短尺アニメーションが生成されるなら、企画段階のイメージ共有やプレゼンテーションの風景も大きく変わりそうです。

みなさんは、こうしたツールをどんな場面で使ってみたいと思われますか?クリエイティブワークにおけるAIの役割について、一緒に考えていけたら嬉しいです。ベータ版は無料で試せるので、実際に触れてみることで見えてくる可能性もあるかもしれません。

投稿者アバター
Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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