Apple、M5チップ搭載MacBook ProとiPad Proを発表──CPU性能15%向上でAI処理と映像性能を刷新

[更新]2025年10月16日19:13

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Appleは2025年10月15日、第3世代3ナノメートル技術で製造されたM5チップを搭載した14インチMacBook Proと11インチ・13インチiPad Proを発表した。

M5は最大10コアのCPUと10コアのGPU、16コアのNeural Engineを搭載し、M4比で最大15パーセント高速なCPU性能を実現。ダイナミックキャッシング、ハードウェアアクセラレーテッド レイトレーシングなどの技術により、AI処理とグラフィックス性能が大幅に向上した。

最大32GBのユニファイドメモリと153GB/sのメモリ帯域幅をサポートし、MacBook Proは1,599ドルから、iPad Proは999ドルから。10月22日発売開始。

From: 文献リンクApple unveils new 14‑inch MacBook Pro powered by the M5 chip

From: 文献リンクApple introduces the powerful new iPad Pro with the M5 chip

M5についての詳細はこちら

【編集部解説】

今回発表された14インチMacBook ProとiPad Proは、プロフェッショナル向けデバイスとしての完成度を大きく高めた製品です。特に注目すべきは、最大32GBまで拡張可能なユニファイドメモリと153GB/sのメモリ帯域幅の実現により、大規模な4K・8K映像編集や複雑な3Dモデリング作業が、これまで以上にスムーズに行える環境が整った点でしょう。

MacBook Proにおけるメモリ帯域幅の20パーセント向上は、数値以上の実用的なメリットをもたらします。ProRes形式での複数ストリーム再生や、大容量のRAWデータを扱う写真編集作業において、レンダリング待ち時間の短縮は作業効率を劇的に改善します。特に映像制作の現場では、プレビュー生成の高速化がクリエイティブな判断のスピードアップに直結するため、生産性向上への貢献は計り知れません。

MacBook Proの最大24時間という業界トップクラスのバッテリー駆動時間は、モバイルワークステーションとしての実用性を決定づける要素です。終日の外出先での作業や長時間フライトでも電源を気にせず作業を継続できることは、プロフェッショナルにとって大きな安心材料となります。ただし、高負荷な作業を継続する場合は、この数値より短くなる可能性がある点は留意すべきでしょう。


iPad ProにおけるタンデムOLED技術の採用は、プロフェッショナルのコンテンツ制作環境を根本から変える可能性を秘めています。2,000,000:1という驚異的なコントラスト比と1,600ニトのピークHDR輝度により、屋外や明るい環境下でもHDRコンテンツを正確に確認できます。特に映像編集やカラーグレーディングの作業において、現場での色彩確認の精度が大幅に向上するため、スタジオに戻ってからの修正作業を削減できるメリットがあります。

また、Wi-Fi 7への対応により、クラウドストレージからの大容量ファイルのダウンロードや、リモートワーク環境でのビデオ会議の安定性が向上します。特に6GHz帯の利用により、混雑した2.4GHz・5GHz帯を避けた安定した高速通信が可能になるため、オフィスや公共スペースでの作業環境が改善されます。

11インチモデルで5.5mm、13インチモデルで5.1mmという極薄設計は、タブレットとしての携帯性を新たな次元に引き上げています。重量の軽減と相まって、長時間の手持ち作業や移動時の持ち運びの負担が軽減されるため、デザイナーやイラストレーターにとって実用性の高い改善といえます。


価格設定については、MacBook Proが1,599ドルから、iPad Proが999ドルからと、前世代から据え置かれています。Pro向けデバイスとしては妥当な価格帯ですが、中小企業や個人クリエイターにとっては依然として高額な投資となります。ただし、性能向上による作業効率化や、長期的な使用を考慮すれば、コストパフォーマンスは十分に見合うものといえるでしょう。

iPad ProとMacBook Proの両製品とも、10月22日の発売開始により、年末商戦に向けた市場投入となります。クリエイティブプロフェッショナルにとって、年末年始の繁忙期前に新しいワークフローを構築できるタイミングでの発売は、戦略的に意味のあるスケジュールといえます。

【用語解説】

M5チップ
Appleが2025年に発表した第2世代3ナノメートルプロセスで製造される自社設計のシステムオンチップ。最大10コアCPU、10コアGPU、16コアNeural Engineを搭載し、AI処理性能を大幅に強化している。

Neural Engine
Apple独自のAI処理専用ハードウェアアクセラレーター。機械学習タスクを高速かつ効率的に実行するための専用回路。

ユニファイドメモリ
CPUとGPUが同一のメモリプールを共有するアーキテクチャ。データのコピーが不要になるため、処理の高速化と電力効率の向上を実現する。M5では最大32GBまで搭載可能となった。

ハードウェアアクセラレーテッド レイトレーシング
光の物理的な挙動をシミュレートして写実的な映像を生成する技術をGPU内の専用回路で高速処理する仕組み。リアルタイムでの高品質グラフィックスレンダリングを可能にする。

タンデムOLED
2層のOLEDパネルを重ねることで輝度とコントラスト比を大幅に向上させるディスプレイ技術。iPad Proで採用され、1,600ニトのピークHDR輝度と2,000,000:1のコントラスト比を実現している。

ダイナミックキャッシング
GPU内のメモリ使用を動的に最適化する技術。実行中のタスクに応じてキャッシュメモリを効率的に割り当てることで、グラフィックス処理性能と電力効率を向上させる。

【参考リンク】

Apple Newsroom – MacBook Pro with M5(外部)
M5チップを搭載した14インチMacBook Proの公式プレスリリース。詳細なスペック、機能、価格情報を掲載している。

Apple Newsroom – iPad Pro with M5(外部)
M5チップ搭載iPad Proの公式発表ページ。Ultra Retina XDRディスプレイやApple Pencil Proなどの新機能を紹介。

Apple – MacBook Pro 製品ページ(外部)
MacBook Proの公式製品ページ。最新モデルの機能説明、技術仕様、購入オプション、カスタマイズ構成を提供。

Apple – iPad Pro 製品ページ(外部)
iPad Proの公式製品情報サイト。ディスプレイ技術、パフォーマンス、カメラ機能、対応アクセサリーの詳細を掲載。

Apple – Apple Intelligence(外部)
Apple Intelligenceの公式紹介ページ。AI機能の概要、プライバシー保護の仕組み、対応デバイスの詳細を解説。

【編集部後記】

新しいM5チップ搭載のMacBook ProとiPad Proは、AI処理やグラフィックス性能が飛躍的に向上したことで、どのような新しい体験が日常にもたらされるのか非常に気になるところです。高精度なNeural EngineやタンデムOLEDディスプレイの活用シーンはどこまで広がるのでしょうか。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。 デジタルエンターテインメントの未来形がいかに人間の認知と感情に働きかけるかを分析し、テクノロジーが創造する新しい未来の可能性を追求しています。

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