X(旧Twitter)新機能「About this Account」:プロフィール透明性でボット対策強化

[更新]2025年11月24日

X(旧Twitter)新機能「About this Account」:プロフィール透明性でボット対策強化 - innovaTopia - (イノベトピア)

Xは2025年11月、プロフィール透明性向上を目的とした「About this Account」機能を公開した。ユーザーは所在地、アカウント作成日、ユーザー名変更履歴を確認できる。

この機能はボットや悪質アカウントの識別を支援するもので、国名か地域名の表示設定やプライバシー制御も可能である。製品責任者はNikita Bier。導入のきっかけはユーザーからの要望とElon Muskの方針による。

VPN利用時は位置情報が正確でない旨の警告が出る可能性がある。Instagramでも類似機能が提供されている。段階的導入が進められている。

From: 文献リンクX Rolls Out Profile Transparency Feature to Combat Bots

【編集部解説】

Xによる今回の「About this Account」機能は、AI時代特有の課題に対して、利用者とプラットフォームが共に信頼構築へと踏み出す施策です。SNS上のボットや偽情報は年々巧妙化しており、従来のアルゴリズム検知だけではその全てに対応しきれませんでした。今回のXの新機能は「アカウント作成日」「所在地」「ユーザー名変更回数」などの根幹データを公開し、利用者自身の目で信頼性を判断できる手続きを用意しています。他の主要メディアや公式発表でも、これらのデータ開示がボットネットやなりすまし対策に一定の効果が期待されていることが確認できました。​

一方で、位置情報の公開やVPN利用時のフラグ表示など、プライバシー保護の観点から懸念の声も根強く報じられています。特に言論統制が厳しい国や、身元秘匿を必要とするジャーナリストへの影響が懸念されるため、Xは国名や地域名の選択表示や非公開設定も用意しています。これらプライバシー配慮策を伴う公開手順は、従来のSNS透明化機能(Instagram等)よりも柔軟性が高いと評価されていますが、一部では「非公開化」によって逆に疑念を招く可能性も指摘されています。​

また、同種の機能はInstagramなど他の大手SNSでも数年前から実装されてきましたが、Xが公開する項目はアプリ入手経路やユーザー名変更回数などより踏み込んだ情報になっており、匿名性の高い利用者が主流のXならではの対策といえます。​

現時点では本機能の完全展開には段階を踏んでおり、自分のアカウントでは見られても他者にはまだ情報が見えないケースが続いています。これは各ユーザーが自身のプライバシー設定を見直す猶予期間とも考えられます。

この透明化の流れは、今後SNS利用者に「個人の信頼性」と「プライバシー保護」の二律背反的な意識変容を求めるものになるでしょう。最終的にはユーザーコミュニティ自身が信頼構築に参加する時代へ、SNSは進化しつつあると言えるのではないでしょうか。​

【用語解説】

X(旧Twitter)
イーロン・マスクが所有するSNSプラットフォームで、以前はTwitterとして知られていた。

About this Account機能
アカウントの所在地、作成日、ユーザー名の変更履歴などを公開し透明性を高めるXの新機能。

ボット(Bot)
人間になりすまして自動的に投稿や反応を行うプログラム型アカウントのこと。

VPN(Virtual Private Network)
インターネット上の通信内容や位置情報を秘匿するために使われる仮想的な専用回線。

アカウント透明性
SNSなどのサービス利用者情報(履歴、接続元情報等)を他ユーザーや運営が可視化できるようにする概念。

【参考リンク】

X(旧Twitter)(外部)
グローバルに利用されるソーシャル・ネットワーキング・サービス。速報性と拡散性が高い。

Instagram(外部)
写真や動画共有に特化したSNSサービスで、「About this Account」機能も備えている。

TechCrunch(外部)
世界のテクノロジーとネット産業の最新情報を配信する信頼性の高い専門メディア。

【参考記事】

X begins rolling out the ‘About this account’ feature to users’ profiles(外部)
Xはプロフィール透明化機能を段階的に展開。アカウント情報公開で偽アカウント対策を強化。

Platform X launches new “About this account” transparency feature(外部)
Xが透明性機能を段階導入。ユーザーが偽情報を見抜く手助けとしての役割に注目。

X will now reveal which country users are from as new transparency feature rolls out(外部)
所在地表示の新機能やVPN利用時の警告について解説。SNS透明性と匿名性について触れる。

【編集部後記】

SNSでの透明性とプライバシーの両立をどう考えますか。プロフィール情報がよりオープンになれば、誰もが安心してやりとりできる一方で、自分の居場所や行動が誰かに把握されるリスクも現実のものとなります。

これからのSNSは、自分が発信者と受信者のどちらの立場にもなりうることを意識しながら、バランスのとれた使い方を探る必要がありそうです。みなさんは、ご自身のネット上の透明性、どのように考えていますか。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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