世界で、同じ日に「脳卒中」を見つめる理由
毎年10月29日は「世界脳卒中デー(World Stroke Day)」です。
この日は、世界脳卒中機構(World Stroke Organization:WSO)が2006年に設立されたことを記念し、同年の設立宣言が行われた日に合わせて定められました。WSOは、国際脳卒中学会(ISS)と世界脳卒中連盟(WSF)が統合して生まれた国際機関で、脳卒中の予防・治療・リハビリテーションを推進することを目的としています。
つまり、10月29日は、世界が脳卒中という見えにくい疾患を共通の課題として考えるための日なのです。
脳卒中は、世界的に見ても主要な死亡原因のひとつであり、生存後も重い後遺症を残すことが少なくありません。世界脳卒中機構の推計によると、毎年およそ1,200万人が新たに脳卒中を発症し、そのうち約620万人が命を落としています。
しかし、その約9割は生活習慣の改善や医療的介入によって予防できるといわれています。にもかかわらず、症状への理解不足や初期対応の遅れによって、助かるはずの命が失われているのが現状です。
こうした現実を変えるために、WSOは毎年テーマを掲げた国際キャンペーンを展開しています。2025年のテーマは 「Every Minute Counts(1分1秒が命を救う)」。脳卒中の兆候を知り、ためらわずに行動することの重要性を訴えています。
WSOはこの活動のために、ポスターや動画、SNS素材、クイズ形式の教材などを多言語で提供し、世界中の医療機関や市民団体がそれぞれの地域社会で啓発活動を行えるよう支援しています。これらのイベントは「Global Map of Action」として地図上に公開され、世界各国の取り組みが一目でわかるようになっています。
各国ではこの日を中心に、街頭での無料血圧測定、専門医による講演会、チャリティウォーク、SNSキャンペーンなど、さまざまな形式のイベントが行われています。
日本でも、世界の動きに合わせて、日本脳卒中協会が10月を「脳卒中月間」と定め、啓発活動を行っています。2024年には、東京都庁や大阪城、明石海峡大橋など全国50か所以上の建造物が、シンボルカラーであるインディゴブルーにライトアップされました。
この光には、「脳卒中を見えない病気のままにしない」というメッセージが込められています。
「世界脳卒中デー」は、単なる記念日ではありません。
それは、予防できるにもかかわらず多くの人の人生を一瞬で変えてしまう病に対して、知ることから行動を変えるための国際的な約束の日です。
そして、脳卒中がどのような病気であり、なぜ社会全体にとって重大な課題となっているのかを理解することが、次の一歩につながります。
命を奪う病ではなく、“人生を変える病”
脳卒中は、脳の血管が詰まる、あるいは破れることで脳の一部が損傷し、体の機能や意識に障害をもたらす病気です。
大きく分けて「脳梗塞」「脳出血」「くも膜下出血」の3種類があり、そのどれもが突然発症し、数分の遅れが生死を分けるという特徴を持ちます。
血流が止まることで、脳細胞は酸素と栄養を失い、わずか数分で不可逆的なダメージを受けます。
片麻痺や言語障害、視覚障害、嚥下障害など、どの部分に障害が残るかは発症部位によって異なりますが、いずれの場合も「元の生活に戻るまでの道のり」は長く、容易ではありません。
世界で最も重い「予防可能な病」
世界脳卒中機構(World Stroke Organization)が2025年に発表した「Global Stroke Fact Sheet 2025」によると、
年間およそ1,270万人が新たに脳卒中を発症し、約640万人が命を落としています。
これは、心血管疾患に次いで世界第2位の死因であり、同時に全疾患の中で障害を引き起こす主要因(DALYs換算で第3位)とされています。
さらに注目すべきは、約90%の脳卒中が予防可能であるという事実です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、不整脈といった生活習慣や慢性疾患を適切に管理すれば、多くの発症を防げるにもかかわらず、世界的な高齢化と都市型生活の広がりにより、患者数は依然として増加傾向にあります。
2020年代に入り、若年層の脳卒中も増えています。
WSOによると、発症者のうち14%が50歳未満であり、これは過去10年間で約2倍に増えた割合です。
かつて「高齢者の病」とされた脳卒中が、今や社会のあらゆる層に影響を及ぼす病となりつつあります。
日本における現状 生きることが“再出発”になる病
日本でも、脳卒中は依然として死因の第3位に位置しています。
厚生労働省「人口動態統計」(2024年速報値)によれば、2023年に約10万5,000人が脳血管疾患で亡くなりました。
また、最新の「患者調査」(2023年)では、約190万人が脳血管疾患で通院・治療を受けています。
死亡率の高さに加え、脳卒中は生存後の生活に深い影響を与える病でもあります。
要介護の原因をみると、脳卒中は「認知症」に次いで2番目に多く、全体の15%前後を占めています。
発症後も麻痺や言語障害が残り、就労復帰率は約3割にとどまるとする報告もあります(国立循環器病研究センター・Japan Stroke Data Bank 2023)。
この病は、人の「命を奪う」だけでなく、「生き方を変える」病なのです。
社会に広がる負担の連鎖
脳卒中の治療やリハビリにかかる医療費は膨大です。
国立循環器病研究センターの推計では、医療・介護を含めた脳卒中関連の社会的コストは年間約1兆8,000億円に達しています。
これは、日本の医療費全体の約5%に相当します。
患者本人の経済的負担だけでなく、家族による介護や仕事の制約、企業における労働損失など、数値に表れにくい「間接的コスト」も存在します。
とくに後遺症のある患者では、発症後平均10年以上の療養生活を送るケースも珍しくなく、介護保険制度や社会保障の持続性にも影響を及ぼしています。
病を“社会の課題”として捉える視点
脳卒中は、医療の問題であると同時に、社会構造の問題でもあります。
高齢化の進行により、今後も患者数の増加が予想されるなかで、どのようにして「防げる病」を防ぎ、発症しても“社会から孤立させない”仕組みを築くかが問われています。
病気を個人の責任とするのではなく、社会全体で支え、減らす。
そのための視点が、「予防医療」や「健康社会設計」という次の議論につながります。
心臓から始まる脳の危機──不整脈の影
脳卒中という言葉を聞くと、多くの人は「脳の中で突然起こる病気」を思い浮かべるでしょう。しかし、その一部は実際には心臓で始まります。脳梗塞の約3割は、心臓でできた血のかたまり(血栓)が脳の血管を塞ぐことで発症する「心原性脳塞栓症」です。その主な原因が、心臓の不整脈の一種である心房細動(Atrial Fibrillation:AF)です。
心臓で生まれる“見えない凶器”
心房細動とは、心臓のリズムが乱れ、心房が小刻みに震えるように動く状態を指します。このとき血液が滞り、血栓ができやすくなります。その血栓が脳に運ばれ血管を詰まらせると、脳卒中を引き起こします。
日本循環器学会の2024年改訂ガイドラインによると、心房細動がある人はない人に比べて脳卒中を起こす確率が約5倍高いとされています。しかもこのタイプの脳卒中は重症化しやすく、国立循環器病研究センターの報告では約2割が死亡し、4割が重度の後遺症を残すといいます。
高齢化が進む社会で、静かに広がる不整脈
世界脳卒中機構(WSO)の2025年報告によれば、世界で約4,000万人が心房細動を抱えています。日本でも約100万〜120万人が罹患しており、75歳以上では10人に1人の割合です。高血圧や糖尿病など生活習慣病との関連が強く、今後の高齢化でさらに増えると見込まれます。
問題は、心房細動が多くの場合自覚症状のない“静かな不整脈”であることです。発見されるのは、脳卒中を起こしてからというケースも少なくありません。
見逃されるリズム──診断の壁
心房細動は常に起きているわけではなく、数分から数時間だけ現れて消える「発作性心房細動」が多いのが特徴です。そのため、短時間の心電図では見逃されることがあります。
長時間記録する「ホルター心電図」や、皮下に埋め込む「インプラント型心電図モニター(ICM)」が用いられます。たとえば臨床研究「CRYSTAL-AF試験」では、ICMを使った追跡で標準検査の6倍多く心房細動を検出できたと報告されています。しかし、これらの検査は装着負担が大きく、医師の解析作業も膨大です。いまだ“見つけることが難しい病気”であることに変わりはありません。
AIが支える“気づきの医療”へ
脳卒中を防ぐという課題は、単に「病気を治す」ことではなく、「病気を起こさない仕組みを社会全体でどう築くか」という問いに変わりつつあります。
近年、その実現に向けて、人工知能(AI)とセンシング技術が医療現場の新たなパートナーになりつつあります。
見えないリスクを、見える形に
脳卒中の大きな要因である心房細動は、発作的に起こるため、短時間の心電図では見逃されることが少なくありません。
この「見えないリスク」を捉えようとする試みが、AIを活用した解析技術です。
たとえば、日本の株式会社カルディオインテリジェンスが開発したSmartRobin AIシリーズは、ホルター心電図やウェアラブル心電図から得られる膨大なデータをAIが解析し、医師の診断を補助するソフトウェアです。
人の目では見落としがちな微細な波形変化を学習したAIが、数日分のデータから心房細動を高精度に検出し、報告までの時間を大幅に短縮します。すでに保険収載され、実際の臨床現場で運用が進んでいます。
また、Kardiaシリーズ(米・AliveCor社)のように、スマートフォンや小型デバイスを使い、自宅で心電図を測定できる製品も登場しています。
指を電極に当てるだけで30秒ほどで解析が行われ、AIが異常を通知します。
こうした技術が普及すれば、医療機関に行く前に「自分の心臓の異常を自分で知る」ことが可能になります。
脳卒中の前触れを“体が発するデータ”から早期に読み取ることができれば、抗凝固治療などの予防的介入をいち早く始めることができます。
さらに、欧州で進む研究では、リストバンド型ウェアラブルデバイスとAI解析を組み合わせ、24時間ホルターと同等以上の精度で心房細動を検出したという報告もあります(感度95%、特異度98%以上)。
これまで病院でしか行えなかった連続モニタリングが、今では手首一つで可能になりつつあります。
技術だけでは防げないこと
しかし、どれほど優れた技術が登場しても、それだけで脳卒中を防げるわけではありません。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過度な飲酒といった生活習慣が、脳卒中の土台を形づくります。
AIがいくら早期のサインを示しても、私たちがその警告を無視すれば、結果は変わりません。
日々の血圧を測ること、十分な睡眠を取ること、塩分や脂肪を控え、適度に体を動かすこと。
こうした地道な行動が、AIや医療技術の力を最大限に活かすための“人間側の努力”なのです。
予防医療という社会インフラへ
AIやウェアラブル機器は、医師の診断を補うだけでなく、医療のあり方そのものを変えつつあります。
「治療」中心の医療から、「予防と早期発見」を社会全体で支える医療へ。
その転換点に立っているのが、今の私たちです。
脳卒中を防ぐ技術とは、単にAIを導入することではなく、データを通じて自分の体を理解し、日々の選択を変えるための“気づき”をもたらす仕組みでもあります。
病気の兆候を見つける技術が広がるほど、健康というものは医療の中だけでなく、私たち一人ひとりの生活の中に戻ってくるのかもしれません。
技術が描く“予防”という未来
脳卒中は、発症してからの治療よりも、発症を防ぐことにこそ社会的な価値があります。
しかし「防ぐ」という言葉には、医療だけでなく、私たちの行動・意識・制度の三つが関わっています。
AIやウェアラブル機器といった新しい技術は、その三者を結び直し、“予防”という医療の形を再定義しようとしています。
生活の中に医療が溶け込む時代
これまで医療は「病院に行って受けるもの」でした。
しかし、ウェアラブル端末やスマートウォッチが普及し、血圧や脈拍、睡眠、活動量などを日常的に記録することが当たり前になりつつあります。
AIはこれらのデータを解析し、異常の兆しを早期に検知します。
それは「医療が生活の中に入る」という、静かな変化です。
心房細動や高血圧といった脳卒中の主要なリスク因子は、普段の生活習慣の積み重ねから生じます。
日々の歩数、食事の塩分、睡眠の質。それらの情報を技術が見える化することで、私たちは“自分の体を理解する力”を得ています。
予防医療とは、検査や薬だけではなく、「自分を知る」行為そのものなのです。
技術が支える“気づき”の社会
すでに、AIが健康データを解析し、個人のリスクを予測する仕組みが動き始めています。
企業の健康管理システムでは、日々の測定値をもとに「血圧上昇傾向」「睡眠不足による自律神経変動」などを可視化し、医師と連携して早期介入を促す例もあります。
また、地方自治体や保険者の間でも、生活習慣データと医療ビッグデータを組み合わせ、発症前の段階でリスクを特定する「データヘルス計画」が広がっています。
予防は個人の努力だけではなく、社会が支える仕組みになりつつあります。
AIは単に数値を分析するだけではありません。
人間が気づけなかったパターンを見つけ、行動の改善を後押しします。
「あと1,000歩多く歩こう」「今週は塩分をもう少し控えよう」そんな小さな提案が、未来の医療費や介護負担を減らす一歩になるのです。
治す医療から、“ならない”社会へ
厚生労働省の統計によれば、日本の脳血管疾患に関する年間医療費はおよそ1兆8,000億円。
その多くが、発症後の治療とリハビリに使われています。
もしAIによる早期検知や、生活習慣の改善によって発症率を1割減らせれば、単年度で数千億円規模の社会的コスト削減につながると試算されています。
これは、医療経済の問題にとどまらず、私たちの働き方や地域の支え合い方をも変えていく数字です。
「予防医療」とは、未来のテクノロジーではなく、すでに始まっている社会の仕組みです。
それは、AIが脳卒中のリスクを予測し、ウェアラブル機器が日常をモニタリングし、私たち自身が生活を見直すことで完成します。
医療とは、病院の外で行われるものになりつつあるのです。
未来は、意識の変化から始まる
AIがどれほど進化しても、最終的に“脳卒中を防ぐ力”を持つのは私たち自身です。
日々のデータを読み取り、行動に変える意思があってこそ、技術は意味を持ちます。
健康というテーマは、医療技術の問題ではなく、生き方そのものの選択なのかもしれません。
これからの時代、AIやデータ技術は、医師や病院だけのものではなくなります。
「自分の体の小さな変化に気づき、行動を変える」その意識が、脳卒中だけでなく、多くの生活習慣病を遠ざける力になります。
予防医療とは、私たち一人ひとりが自分の未来を設計するための、最も人間的なテクノロジーなのです。
社会と私たちが目指す未来
脳卒中をめぐる課題は、もはや医療の枠を越えています。
それは「誰が、どこで、どのように健康を守るのか」という社会全体の問いです。
テクノロジーの進化によって、脳卒中の多くは“防げる病”になりつつあります。
しかし、その力を生かすかどうかは、結局のところ私たち一人ひとりの選択にかかっています。
技術が導いたのは「自分を知る力」
AIやウェアラブル機器は、私たちの体の声を“見える化”しました。
心臓のリズム、血圧の変化、睡眠の質、そして小さな違和感。
こうしたデータが日常的に蓄積され、医師やAIが早期に異常を検知することで、脳卒中のリスクは着実に減らせるようになっています。
けれども、これらの技術がもたらす最も大きな価値は、「体をデータで理解すること」ではありません。
それは、自分の健康を自分で意識できるようになることです。
技術は私たちの行動を変えるきっかけであり、最終的に舵を取るのは人間です。
「もう少し早く寝よう」「塩分を控えよう」「定期的に検診を受けよう」その小さな意識の積み重ねが、社会全体の健康を形づくります。
医療を“社会の共通基盤”に
医療はこれまで、治療のための専門領域として発展してきました。
しかし、脳卒中をはじめとする生活習慣病を防ぐためには、医療を“共有の基盤”として社会に広げる必要があります。
行政や企業が推進する健康経営、自治体のデータヘルス計画、AIを活用した地域見守りシステムなど、医療はすでに生活のインフラの一部になりつつあります。
それは、医療の中心が「病院」から「社会」へと移りつつあることを意味します。
この変化の中で重要なのは、「誰も取り残さない」ことです。
テクノロジーへのアクセスが限られる高齢者や地方在住者、経済的に余裕のない人々にも、予防医療の恩恵が届く仕組みを作らなければなりません。
AIやデータ技術は、格差を広げるためでなく、つながりを取り戻すための道具であるべきです。
“防ぐ社会”は、人を中心に
世界保健機関(WHO)は、2030年までに「脳卒中による早死と障害を30%減らす」という目標を掲げています。
この数字は単なる統計ではなく、世界の医療と社会が共有する約束です。
その実現には、技術開発だけでなく、政策、教育、そして市民の理解と参加が欠かせません。
日本でも、脳卒中は依然として死亡原因の上位にありますが、その多くは予防可能です。
医師の診断、AIの解析、社会制度、そして個人の行動。この四つが連携するとき、私たちはようやく「治す社会」から「防ぐ社会」へと進化します。
未来への静かな革命
脳卒中を防ぐということは、単に病気を減らすことではありません。
それは、人がより長く、自分らしく生きる時間を取り戻すことです。
テクノロジーはそのための手段にすぎません。
大切なのは、技術と人が歩調を合わせながら、健康という“共通の未来資産”を育てていくことです。
病院に行く前から、医療はすでに始まっています。
体の中に潜む小さなサインに気づき、それを無視しないこと。
そして、テクノロジーを「管理のための道具」ではなく、「自分を理解するための鏡」として使うこと。
それこそが、AI時代の“人間中心の医療”なのだと思います。
【参考記事】
世界脳卒中デー(10/29)について | 公益社団法人 日本脳卒中協会
日本脳卒中協会の市民向けページ。2006年10月ケープタウンでの国際脳卒中学会・世界脳卒中連盟統合を契機に、毎年10月29日を「世界脳卒中デー」とする旨を紹介。
脳卒中月間(10/1-31) | 公益社団法人 日本脳卒中協会
日本脳卒中協会が2021年より毎年10月を「脳卒中月間」と定め、世界脳卒中デーと歩調を合わせた啓発を実施している旨を記述。
World Stroke Day 2025 | World Stroke Organization (WSO)
WSO公式サイトの2025年版キャンペーンページ。10月29日を中心として世界的啓発を行っている。
令和5年(2023)「患者調査の概況」 | 厚生労働省
医療機関に通院・入院している患者数や傷病別の実態を調べた厚生労働省の統計。日本国内における脳血管疾患の患者数規模(2023年/約188万4,000人)の根拠となるデータ。
令和4(2022)年度 国民医療費の概況 | 厚生労働省
日本の傷病別医療費や医療費全体の状況を整理した統計資料。脳血管疾患の医療費規模(約1兆8,000億円)など、脳卒中が社会的・経済的負担をもたらすことを示している。
人口動態調査/人口動態統計 確定数 死亡 | 厚生労働省(e-Stat)
日本国内の死因別死亡数を集計した政府統計。脳血管疾患(脳卒中を含む)が年間約10万7,000人(2022年)死亡しており、死亡原因の上位にあることを示している。
日本脳卒中データバンク報告書2023 | 国立循環器病研究センター
日本国内の脳卒中治療実態を集めたレジストリ報告。脳卒中発症後の就労復帰率の低さや、長期リハビリ・介護を必要とするケースが多いことを示している。
Global Stroke Fact Sheet 2025 | World Stroke Organization(WSO)
WSOが2025年に公表した最新の国際概況。脳卒中が世界の死亡第2位・DALYs第3位であること、リスク因子、疫学の最新整理を含む。AF(心房細動)を含む循環器起源のリスクが大きいこと、AF有病規模の把握に用いた。
2024年JCS/JHRSガイドライン・フォーカスアップデート(不整脈治療) | 日本循環器学会・日本不整脈心電学会
日本の最新ガイドライン改訂。AFの管理・治療の標準、脳梗塞予防としての抗凝固療法適応、発作性AFの診断課題などを整理。
日本脳卒中データバンク(JSDB)公式サイト・年次報告 | 国立循環器病研究センター
国内多施設の脳卒中臨床データを継続集約するレジストリ。年次報告(2023/2024)で病型内訳や転帰を提示。心原性脳塞栓症の比率(概ね2〜3割)や重症度・転帰の傾向に関する情報を含む。
CRYSTAL-AF試験(埋込型心電図モニターの有効性) | New England Journal of Medicine
脳梗塞/一過性脳虚血後の患者441例を対象に、ICMによる長期モニタが標準追跡よりAF検出率を大幅に高めたことを示すランダム化比較試験。
2023 ACC/AHA/ACCP/HRSガイドライン(AFの診断と管理) | American Heart Association ほか
米国の最新包括ガイドライン。AFに伴う脳卒中リスク(非AF群比で約5倍など)、治療アルゴリズム、長期モニタの位置づけを示す。
Fushimi AF Registry(伏見AFレジストリ)最新論文例 | Circulation Journal(J-STAGE)
京都・伏見区の前向きAFレジストリ。抗血栓療法の実態変化や転帰を継続追跡し、日本におけるAF患者の背景と治療傾向を示す。
J-RHYTHM Registry(心房細動レジストリ:国内多施設観察研究) | 日本不整脈心電学会
日本のAF患者における抗凝固療法の実態・至適PT-INR域を検討した多施設前向きレジストリ。国内AFの実臨床像(高齢化、塞栓症の重症性、抗凝固の重要性)を把握できる。
心房細動に伴う心原性脳塞栓症の現状 | 『臨床神経学』
心原性脳塞栓症が脳梗塞の約3割、主要塞栓源がAFであること、重症で転帰不良になりやすいことを概説する日本語総説。
SmartRobin AI シリーズ | 株式会社カルディオインテリジェンス
長時間心電図をAIで自動解析し、心房細動(AF)の検出を支援する医療機器プログラム。心房細動を可視化し、脳卒中リスク低減に資する技術の一例。
長時間心電図をAIが3分で解析──カルディオインテリジェンスが変える医療現場 | MUGENLABO Magazine
SmartRobin AIシリーズの導入効果について、解析時間短縮や医療機関での普及状況などを報じた記事。
Ambulatory atrial fibrillation detection and quantification by wrist-worn AI device compared to standard holter monitoring | npj Digital Medicine
リストバンド型ウェアラブル+AIによる心房細動検出の臨床研究。24時間ホルターと比較した検出性能データを示す。
Artificial intelligence‐enabled atrial fibrillation detection using smartwatches: review and future directions | Frontiers in Cardiovascular Medicine
スマートウォッチ等のウェアラブル+AI解析の技術レビュー。技術全体の潮流:ウェアラブル+AI+予防医療を概観する。
Piezoelectric wearable atrial fibrillation prediction wristband | Nano-Materials / Springer
長時間モニタ用のパッチ/リストバンド型デバイスを用い、将来心房細動を予測するためのセンシング技術を報じた研究。
脳卒中治療と医療経済 | J-STAGE
日本国内における脳卒中の治療・リハビリ・予防介入について費用対効果分析を行った論文。発症後医療費の大きさと予防による費用削減の可能性を示す。
脳血管疾患の年間医療費は、1兆8,142億円 令和4年度(2022) | 日本生活習慣病予防協会
厚生労働省「国民医療費の概況」から、脳血管疾患に関わる年間医療費を示すデータを掲載。脳卒中予防の社会的・経済的インパクトを示す基礎資料。
The Impact of Preventive Medicine in 2030 | Mitsubishi Research Institute(MRI)
予防医療技術の普及が社会に与える影響を分析したレポート。予防医療が医療費増加を緩和する可能性や、技術・制度・生活習慣が関わる三本柱の構造を示す。
AI×ヘルスケアの中期的・長期的展望 | 野村総合研究所(NRI)
医療分野におけるAI導入の方向性を分析。AIが予防・早期発見を支援し、医療費適正化に寄与する可能性を述べている。
根拠に基づく予防医療推進サイト | 日本プライマリ・ケア連合学会 予防医療チーム
日本における予防医療のエビデンスを体系的に整理したサイト。生活習慣改善、検診、検査項目の重要性などを網羅している。
Policy priorities for preventing stroke-related mortality and disability worldwide | The Lancet Neurology / World Stroke Organization
世界における脳卒中による死亡・障害の削減に向けた政策的優先事項を整理した国際論文。予防の社会的価値と各国政策の方向性を示す。
Current Status and Future Aspect of Digital Health Innovation in Stroke Prevention and Management | 国立循環器病研究センター
デジタルヘルス技術(AI・ウェアラブル等)が脳卒中の予防・管理分野でどのように活用されつつあるかを国内外の最新動向から分析した研究レビュー。
A real chance to reduce death and disability from stroke | The Lancet
脳卒中による死と障害を減らすための国際的な戦略を論じた記事。技術・制度・意識変革がそろって初めて“防ぐ社会”が実現するという視点を提示する。
Digital Health on the Rise as Japan’s Healthcare System Gets Hitech Makeover | 日本貿易振興機構(JETRO)
日本におけるデジタルヘルスの潮流と、高齢化・医療費増加への対応策を整理したレポート。予防型医療社会の実現に向けた産業・政策動向を紹介。
A primary care–based, mobile-technology–enabled intervention among patients with stroke in rural China | JAMA Network Open
モバイル技術を使った農村地域でのフォローアップ介入が、5.5年後の再発・血圧制御に有意な効果を示した研究。低資源地域での予防医療の有効性を示す。
























