Pinterestは2025年、AI生成コンテンツと広告が増加している。月間アクティブユーザー数は世界で6億人、その半数はZ世代である。
ビル・レディCEOは2022年に就任し、Pinterestを「AI駆動のショッピングアシスタント」と再定義した。
売上は第3四半期に10億ドル、前年比17%増となった。ユーザーからはAIコンテンツの増加や本来のサービス体験の変化に不満の声が出ている。
2024年のOpenAIの動画生成AI『Sora』の登場以降、AI生成画像が急増した。PinterestはAIコンテンツの量を調整する「チューナー」機能やAI画像ラベル表示を導入した。一部の広告主では、Performance+ など AI 活用キャンペーンにより、リンククリック数が 5倍以上に増加したケースも報告されている。
知的財産権への懸念や利用者離れも指摘されている。
From:
Pinterest is leaning hard into AI. The strategy is alienating its most dedicated users
【編集部解説】
PinterestがAI活用を強化している背景には、検索や商品発見の効率化、グローバル規模での広告事業の成長といった明確な事業戦略があります。AIは、ビジュアル検索や推薦機能を進化させ、例えばテキストと画像の複合検索やAIによるパーソナライズアシスタントの導入により、ユーザーが求める商品や情報への到達を大きく加速しました。第三四半期にはAI関連機能拡充が売上の17%増(10億4900万ドル)を支え、クリック数も大幅に増加しています。
一方で、AI生成コンテンツの拡大は、創造性を重視する従来ユーザー層の離反や、信頼性低下への懸念を生んでいます。Pinterestは「チューナー」機能、AI画像のラベリングといった透明性向上策を実装していますが、「すべてのAI生成を排除することは不可能」と公式に述べており、実際にアルゴリズム判定やユーザー体験には課題も残っています。特にアートやデザイン分野のクリエイターからは「本物」を求める声が強く、知的財産権の懸念も指摘されています。
本事案はテクノロジー主導の事業転換と、既存コミュニティが求める体験、その双方のバランスが問われる局面を示しています。AI活用の恩恵として、新しい発見や国際展開の成長、多様なパーソナライズ体験などが挙げられる一方、ユーザー同士やプラットフォームとの信頼醸成、メディアリテラシー教育、クリエイター保護といった持続的な課題への取り組みも、今後の成長には不可欠といえるでしょう。
将来的にはAIと人間らしさの共存が前提となり、ユーザーが自ら情報の真偽や発信者を選ぶ「主体的な選択力」が、プラットフォームリテラシーとしてさらに求められる時代が到来しています。ビジネス視点では、AIで生まれた新たな売上の裏側で、既存ブランド価値や体験の維持、信頼のバランスをどう図るかが今後の成否を分けていきます。
【用語解説】
AI生成コンテンツ
人工知能が自動で生成する画像やテキスト、動画などの総称。
チューナー機能
Pinterestが提供する、フィード上のAIコンテンツ表示量を調整する機能。
Z世代
1990年代後半から2010年代初頭生まれの世代。
メディアリテラシー
情報やコンテンツを主体的に評価・活用する力。
アフィリエイトマーケティング
紹介リンク経由等で報酬を得る型の広告手法。
【参考リンク】
Pinterest公式(外部)
画像・動画検索やピン、ボード作成を中心としたビジュアルディスカバリーSNSの公式サイト。
OpenAI公式サイト(外部)
生成AIモデルやAPI提供を行う米国のAI研究・サービス企業の公式サイト。
Google公式ページ(外部)
検索エンジンやAIサービスを提供する米国Googleの企業サイト。
Meta(旧Facebook)公式(外部)
FacebookやInstagram、AI関連開発などを行うMetaの公式ポータル。
Amazon公式(外部)
ECやクラウド、AI技術など幅広い分野に注力する米国Amazonの公式サイト。
【参考記事】
Pinterest’s AI Transformation Drives Strong Q3 Growth and User Engagement(外部)
2025年第3四半期のAI機能拡充と、それによるユーザー増・売上高増加のポイントを解説している。
Pinterest ups genAI controls to address user, advertiser concerns(外部)
AIコンテンツ量調整やAI生成投稿のラベリングなど、ユーザー・広告主への配慮策の詳細を紹介。
Pinterest’s ‘tuner’ lets you dial down the amount of AI content(外部)
Pinterestが導入した「チューナー」機能の特徴と使い方、AI排除限界について分析している。
【編集部後記】
PinterestのAI活用や変化は、使う方一人ひとりの感じ方やニーズによって、受け止め方が大きく異なると感じます。みなさんが「便利だ」と思う瞬間もあれば、「これでいいのかな?」と立ち止まることもあるかもしれません。
普段PinterestやAIサービスを使っていて、どんな場面でメリットや違和感を感じたことがありますか?もしよければ、あなた自身の体験や、「こんなPinterestであったらうれしい」というご意見を、ぜひコメント欄から教えていただけるとうれしいです。
























