REDMAGICは中国でREDMAGIC 11 Proシリーズを発表した。本シリーズは、液体冷却と空冷ファンを組み合わせた先進的なデュアル冷却システムを搭載し、放熱効率を大幅に向上させている。
冷却システムには、24,000rpmで回転するターボファンと、内部の液体を循環させるマイクロポンプが組み込まれている。これにより、長時間の高負荷なゲームプレイでも安定したパフォーマンスを維持する。
プロセッサにはSnapdragon 8 Elite Gen 5を採用し、メモリはLPDDR5T RAM、ストレージはUFS 4.1 Proを搭載している。
ディスプレイには、BOE製の6.85インチ有機ELディスプレイ「BOE X10」を採用。解像度は2688×1216、リフレッシュレートは最大144Hzに対応し、画面下にインカメラを内蔵することで95.3%の高い画面占有率を実現した。
シリーズは「REDMAGIC 11 Pro」と上位モデル「REDMAGIC 11 Pro+」の2機種で構成される。
- REDMAGIC 11 Pro
- REDMAGIC 11 Pro+
中国での価格は「REDMAGIC 11 Pro」が4,999人民元(約10.6万円)からとなっている。グローバル展開の詳細発表も11月に予定されているが、具体的な発売日はまだ発表されていない。
From: REDMAGIC 11 Pro: The Future of Gaming Phones Unleashed
【編集部解説】
ゲーミングスマートフォン市場において、REDMAGICが打ち出した液冷・空冷のハイブリッド冷却システムは、モバイルゲーミングの熱管理に新たな可能性を示しています。従来のスマートフォン冷却は、ヒートパイプやベイパーチャンバーといった受動的な手法が主流でしたが、高速ファンと液体循環を組み合わせた能動的冷却は、PC並みの熱処理能力をポケットサイズに凝縮した挑戦と言えます。
バッテリー仕様はモデルによって異なります。「REDMAGIC 11 Pro」は8,000mAhという大容量バッテリーを搭載し、長時間のゲームプレイをサポートします。一方、「REDMAGIC 11 Pro+」はバッテリー容量が7,500mAhですが、120Wの超高速有線充電と80Wのワイヤレス充電に対応しており、利便性を高めています。どちらのモデルも、充電しながらプレイする際のバッテリー劣化を防ぐバイパス充電モードを備えています。
Snapdragon 8 Elite Gen 5とLPDDR5T RAM、UFS 4.0 PROストレージの組み合わせは、データ処理速度の向上に直結し、高フレームレートでの快適なゲームプレイを実現します。
一方で、ゲーミングスマートフォンという特化型デバイスが抱える課題も見逃せません。一般ユーザーにとっては過剰なスペックとなる可能性があり、市場規模は限定的です。95.3%の画面占有率を実現したノッチレスデザインは魅力的ですが、画面下カメラの画質など、実用面でのトレードオフも存在するでしょう。
グローバルローンチの具体的な日程は未定ですが、年末商戦に向けた発表が期待されます。中国国内価格4,999人民元(約10.6万円)からという設定は、最新のフラッグシップスマートフォン市場において競争力のある価格帯と言えるでしょう。
【用語解説】
Snapdragon 8 Elite Gen 5
Qualcommが開発するモバイル向けプロセッサの最新世代。CPU、GPU、AIエンジンを統合したSoC(System on Chip)で、高性能なゲーミングや動画処理を可能にする。
LPDDR5T RAM
Low Power Double Data Rate 5 Turboの略。従来のLPDDR5よりも高速なデータ転送が可能なメモリ規格で、スマートフォンの処理速度向上に寄与する。
UFS 4.1 PRO
Universal Flash Storage 4.1 PROは、高速読み書きが可能なストレージ規格。ゲームの読み込み時間短縮やアプリ起動の高速化を実現する。
AnTuTu
スマートフォンやタブレットの総合性能を測定するベンチマークアプリ。CPU、GPU、メモリ、ユーザー体験などを数値化し、デバイス間の比較を可能にする。
レイトレーシング
光の反射や屈折をリアルタイムで計算し、よりリアルな映像表現を実現するグラフィック技術。従来はゲーム機やPCで使用されていたが、近年はモバイルデバイスにも搭載されている。
IPX8
電気機器の防水性能を示す国際規格。IPX8は継続的な水没に対する保護を意味し、一定の水深で一定時間使用しても浸水しないことを保証する。
バイパス充電モード
充電しながらデバイスを使用する際、バッテリーを経由せず直接デバイスに電力を供給する機能。バッテリーの充放電サイクルを減らし、劣化を抑制する。
FPS(Frames Per Second)
1秒間に表示される画像の枚数を示す単位。数値が高いほど滑らかな映像表現が可能で、ゲーミングでは60FPS以上が快適とされる。
GaN充電器
窒化ガリウム(Gallium Nitride)を使用した充電器。従来のシリコン製充電器より小型化・高効率化が可能で、発熱も抑えられる。
【参考リンク】
REDMAGIC公式サイト(外部)
中国のゲーミングデバイスメーカーNubiaのゲーミングブランド。高性能なゲーミングスマートフォンとアクセサリーを展開している。
Qualcomm公式サイト(外部)
モバイル向けプロセッサSnapdragonシリーズを開発する半導体メーカー。5G通信技術やAI処理技術で業界をリードする。
AnTuTu Benchmark公式サイト(外部)
スマートフォンやタブレットの性能を測定するベンチマークアプリを提供。世界中のデバイスの性能ランキングを公開。
【参考動画】
【参考記事】
Redmagic 11 Pro is the first phone with liquid cooling (The Verge)(外部)
中国で発表された「Redmagic 11 Pro」のスペックと特徴を伝える記事。Snapdragon 8 Elite Gen 5、144Hzディスプレイ、8,000mAhバッテリー、120W有線充電を搭載したこと、肩ボタンの存在などを詳しく紹介している。世界初の液体冷却方式と空冷ファンを組み合わせたスマートフォンである点を強調している。
This new gaming phone has water cooling and the latest Snapdragon chip (Android Authority)(外部)
Redmagic 11 Proが採用した最新の冷却設計を中心に解説。スマートフォン内部に水冷を組み込んだ構造や、Snapdragon 8 Elite Gen 5との組み合わせによる発熱制御を解説。2025年10月17日の中国ローンチ時点の仕様と発表内容を客観的にまとめている。
REDMAGIC Tech Conference sees the debut of its most advanced cooling solution yet (GSMArena)(外部)
GSMArenaによる、REDMAGIC 11 Proシリーズの技術発表イベントをレポートした記事。デュアルトラック冷却設計、Turbo Fan 4.0(24,000rpm)、4Dベイパーチャンバー、AIモニタリング機能などの詳細な技術データを紹介。中国市場で行われたeスポーツ向けプレゼンテーション内容にも触れている。
RedMagic 11 Pro gets unboxed underwater, battery capacity and charging specs outed (GSMArena)(外部)
水中開封(unboxing)映像を公開したことで話題を呼んだRedmagic 11 Proを報じた記事。IPX8防水評価や、8,000mAhの大容量バッテリー、120W有線・80Wワイヤレス充電対応などの耐久性と耐水構造を中心に説明している。
【編集部後記】
モバイルゲーミングの進化は、私たちの「遊び方」そのものを変えようとしています。PC並みの冷却システムを搭載したスマートフォンが登場する今、皆さんはモバイルデバイスにどこまでのパフォーマンスを求めますか?
8,000mAhのバッテリーや液冷システムは確かに魅力的ですが、その代償として重量やサイズが増すかもしれません。ゲーミング特化型デバイスと汎用性の高いスマートフォン、どちらが皆さんのライフスタイルに合っているでしょうか。
モバイルeスポーツが本格化する中で、こうした専門機材の必要性についても考えてみたいところです。皆さんの視点をぜひお聞かせください。