Amazonは2025年6月16日、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地からUnited Launch Alliance(ULA)のAtlas V 551ロケットでProject Kuiper第2弾となる27基のインターネット通信衛星の打ち上げを予定していたが、ブースターエンジンのパージ温度上昇が確認され、打ち上げ30分前に中止された。Project KuiperはAmazonが推進する低軌道衛星インターネット網構築計画で、最終的に3,236基の衛星を展開し、2026年7月までに半数の衛星を打ち上げる必要がある。今回の打ち上げが成功すれば、衛星総数は54基となる予定だった。標準家庭用端末は400ドル未満で、Starlink端末より約200ドル安い。
From:
Amazon’s Kuiper satellite launch called off 30 minutes before liftoff
【編集部解説】
Project Kuiperは、Amazonが世界中の未接続地域や通信インフラが脆弱な場所に高速インターネットを提供することを目指す大規模プロジェクトです。今回の打ち上げ延期は、Atlas Vロケットのブースターエンジンにおけるパージ温度の異常が原因で、安全性を最優先した結果です。2025年4月の初回打ち上げで27基が軌道投入されており、今回のミッションが成功すれば衛星数は倍増する予定でした。
この技術が実用化されれば、山間部や離島、災害時の通信確保、企業のBCP対策、IoTや遠隔医療の普及など多様な用途が期待されます。一方、低軌道衛星の大量展開による宇宙ゴミ問題や電波干渉、各国の規制対応といった課題も顕在化しています。Amazonは2026年7月までに半数の衛星を打ち上げるFCC要件を満たす必要があり、今後の進捗が注目されます。長期的にはグローバル通信インフラのあり方や産業構造に大きなインパクトを与える可能性があります。
【用語解説】
- 低軌道(LEO):地表から約200~2,000kmの範囲にある地球周回軌道。
- 衛星コンステレーション:多数の人工衛星をネットワーク化し、地球全体をカバーする通信システム。
- パージ温度:ロケットエンジン内部のガスや空気を排気する際の温度。
- ユーザー端末:衛星インターネットサービスを利用するための専用受信装置。
【参考リンク】
【参考動画】
【参考記事】
【編集部後記】
日本は世界的に見てもインターネットインフラは整っている方であり、『新たなインターネットインフラの構築』と言われても日常の中ではイメージしにくいかもしれません。
今回の通信衛星打ち上げ計画が成功した場合どうなるのか?旅行で山登りや海を渡っている時、津波や地震による災害時などそういった面でのインターネットインフラが強化されます。非常時にも安定して連絡ができると考えると本計画の成功を願いたいですね。今後も経過や見通しなどAmazonの動向を追っていきたいと思います。