Last Updated on 2025-08-06 09:59 by まお
2025年7月23日、Niantic社の東京オフィスにて、リアルワールドハンティングアクションゲーム『モンスターハンターNow』に関するメディア向けイベントが開催された。本イベントは、新たに追加される古龍「ネロミェール」の先行討伐会と、新要素である「スタイル強化」の発表を主眼としたものである。
本稿では、このイベントの模様を報告するとともに、実際に「ネロミェール」を討伐した際の様子、そして『モンスターハンターNow』が示す位置情報ゲームの進化について、innovaTopia独自の視点から考察する。
当メディア『innovaTopia』では、普段スマホゲームというジャンルを主題とすることはあまり多くはない。しかし、今回のイベントで示された内容は、先端テクノロジーがエンターテインメントを如何に変容させ、新たな体験を創出するかという観点から、非常に示唆に富むものであった。これは、今後のテクノロジーと社会の関係性を考える上で、大きな収穫であったと言える。
【モンハンNowとは】
『モンスターハンターNow』は、カプコンとNianticが共同開発したスマートフォン向けのリアルワールドハンティングアクションゲームである。人気ハンティングアクション「モンスターハンター」シリーズの世界観を、位置情報技術とAR(拡張現実)を駆使して現実世界に融合させた作品だ。プレイヤーはハンターとなり、日常の風景の中に突如現れたモンスターたちを狩猟する。

【現実世界が狩りの舞台】
『モンスターハンターNow』の最大の特徴は、現実世界そのものがゲームのフィールドとなる点である。プレイヤーが実際に移動すると、ゲーム内のハンターも連動してマップ上を動き回る。通勤や通学、散歩の途中でモンスターに遭遇し、素材を採集することが可能だ。
マップは現実の地図をベースにしており、「森林」や「沼地」、「砂漠」といった環境が設定されている。それぞれの環境に応じて、出現するモンスターや採集できる素材が変化する仕組みとなっている。

【今回体験したネロミェールとは】
今回『モンスターハンターNow』に登場する古龍「ネロミェール」は、その独特な生態と強力な攻撃でハンターたちの前に立ちはだかる存在である。別名を「溟龍(めいりゅう)」といい、『モンスターハンターワールド:アイスボーン』で初めて登場した古龍種モンスターだ。
[古龍種とは:モンハン世界で他の生物とは一線を画す、生態系の頂点に君臨する生物群のこと、簡単に言うとものすごく強いモンスターのことである]

筆者はこのモンスターとアイスボーンで挑んだことがあり、避けるのが難しい水攻撃、あたり一面を攻撃する電撃攻撃に何度もベースキャンプに運ばれた(ダウンした)経験がある。登場時の演出が素晴らしく、心が躍った記憶があったのだが、今回モンハンNowにてそのシーンも再現されており感動してしまった。
【実際のプレイ画面】
言葉だけだと伝わりづらいと思うので、今回動画撮影の許可をいただき、実際に
ネロミェールに挑戦した動画を撮らせて貰った。筆者はモンハンNow初心者なのだが周りのメディアの方がプロハンター(とてもうまいハンターのことである)で、共に協力してなんとか討伐することが出来た。
【スタイル強化】
スタイル強化に関しては他メディアが大きく取り上げると思うので、本記事では軽くの紹介に留めるが、簡単に説明をすると「既存の武器種を更に強化する機能が追加される」というものだ。機能の中には新しいアクション(立ち回り)の追加もあり、ゲーマーとしては同じようなプレイスタイルを続けていると、徐々に作業感が強くなってしまうので、このようなテコ入れは非常にいい試みだと感じた。期間限定で必要素材も少なくなっているとのことなので、もし興味があるハンターの方はぜひこの機会に挑戦して見て欲しい。




【ライターから見た位置情報ゲームの進化】
さて、ここまでモンスターハンターNowの紹介と新モンスター、新要素のことを取り上げてきたが、ここからはinnovaTopiaライターとして感じた位置情報ゲームの進化について語っていこうと思う。
位置情報ゲームの進化『Ingress』『ポケモンGO』から『モンハンNow』
現実世界そのものを舞台に変える「位置情報ゲーム」。このジャンルは、2010年代に登場して以来、我々の移動や日常に新たな意味を与えてきた。初期の代表作である『Ingress』や社会現象となった『ポケモンGO』から、最新のヒット作『モンスターハンターNow』に至るまで、その進化の軌跡は、単なる技術の進歩に留まらない。それは、ユーザーエクスペリエンス(UX)をいかに人間の生活に寄り添わせるかという、緻密な設計思想の変遷そのものである。
「移動のゲーム化」から始まった革命
位置情報ゲームの原点は、「人をいかにして動かすか」というシンプルな問いへの挑戦であった。この挑戦に『Ingress』はポータルを奪い合う「陣取り」という答えを提示し、『ポケモンGO』はモンスターを「収集」するという、より万人に受け入れられる体験を提供した。これらのゲームは、「歩く」という行為そのものに目的を与え、プレイヤーを家の外へと誘うことに成功した。そのUXの核心は、未知の場所を訪れる「発見の喜び」と、コレクションを完成させる「所有の満足感」にあり、ここに最初のパラダイムシフトが起きたのである。
ゲーム体験の深化と「生活への最適化」という進化
この「移動のゲーム化」という土台の上に、次なる進化が訪れる。それは、移動の先にある「ゲーム体験の質」を飛躍的に高めるという試みだ。
この進化を象徴するのが『モンスターハンターNow』である。本作は、収集というモデルから脱却し、コンソールゲームの奥深い「狩猟」というスキルベースのアクションを中核に据えた。モンスターの動きを読み、攻撃を回避し、弱点を突くという、プレイヤーの技量が直接結果に結びつく体験は、位置情報ゲームに新たな次元の没入感をもたらした。
さらに重要なのは、この濃密な体験を、ユーザーの生活を阻害しない形で提供した点だ。
75秒で完結する狩猟は、通勤途中や休憩時間といった「マイクロモーメント(隙間時間)」で本格的な達成感を味わうことを可能にした。また、「ペイントボール」機能は、リアルワールドでの「発見」とゲーム内での「狩猟」を時間的・場所的に切り離す「非同期プレイ」を実現した。プレイヤーはゲームの都合に合わせる必要がなくなり、自らのライフスタイルの中に、無理なくゲームを組み込めるようになったのである。
アプリを閉じていても進行するバックグラウンド機能と合わせ、これらの設計は、ゲームプレイの「フリクション(摩擦)」を徹底的に排除し、「ユーザーの都合にゲームが合わせる」というUX思想への大きな転換を示している。
テクノロジーとのさらなる融合
この進化の先に、位置情報ゲームの未来像が見えてくる。それは、AR(拡張現実)、AI(人工知能)、そしてWeb3といった先端技術とのさらなる融合である。
現実の物体を認識し、より世界に溶け込む表現へと進化するAR。プレイヤーの行動を学習し、一人ひとりに最適化された体験を提供するAI。そして、ゲーム内資産の真の所有を可能にするWeb3技術。これらのテクノロジーが組み合わさることで、位置情報ゲームは、もはや単なる「ゲーム」という枠を超え、我々の日常風景に新たな価値を付加する、不可欠な「生活インフラ」へと進化していく可能性を秘めている。
まとめ:エンターテインメントは日常に溶け込む
位置情報ゲームの進化の歴史は、「人を歩かせるためのゲーム」から、「人の歩みを豊かにするゲーム」へのパラダイムシフトであったと言える。『モンスターハンターNow』が示したのは、エンターテインメントがユーザーの生活に寄り添うことで、より持続可能になるという明確な答えだ。この潮流は、テクノロジーが人類の体験をより良い方向へ導くという、まさに『innovaTopia』が追い求める未来像と共鳴するのである。
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