シャープが約198gのメガネ型VRグラス「Xrostella VR1」を発表、日常利用を実現

 - innovaTopia - (イノベトピア)

シャープは、軽量ボディと高精細な映像表示を実現したVRグラス「Xrostella VR1」を開発した。

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Xrostella VR1

本体重量は約198gで、PCまたはスマートフォンと有線接続して使用する。スマートフォン開発で培った小型・軽量化技術により、メガネ型デザインを採用し、着脱が容易である。高解像度ディスプレイと薄型かつ光効率の高いパンケーキレンズを搭載し、リアリティのある映像を提供する。

PC接続時はインサイドアウト方式の6DoFトラッキング機能に対応し、コントローラーを同梱する。スマートフォン接続時はスマートフォン画面をグラス上に表示する。マイク・スピーカーを内蔵し、瞳孔間距離と視度(0D~-9.0D)を調整できる機構を備える。

株式会社ワンモアが運営するクラウドファンディングサービス「GREEN FUNDING」にて、2025年11月下旬以降に支援者の募集を開始する。

From: 文献リンクVRグラス「Xrostella VR1」を開発|ニュースリリース – シャープ

【編集部解説】

シャープが開発した「Xrostella VR1」は、単なるVRハードウェアの新製品ではなく、VR市場における「装着体験」の再定義を狙った挑戦です。約198g という軽さは、現在市場に存在する主要なVRヘッドセットと比較しても圧倒的です。Meta Quest 3Sは約514g、PlayStation VR2は約560g、Apple Vision Proは約600g以上の重量を有する製品群に対して、Xrostella VR1は革新的な軽さを実現しています。

最大の特徴は、スマートフォン開発で培った小型・軽量化技術をVRグラスに応用した点にあります。これはシャープが得意とする「メガネ型フォームファクタ」の強みを最大限に活かしたアプローチです。ゴーグル型ではなくメガネ型を採用することで、日常生活への違和感を大きく削減し、隙間時間での利用を前提とした使い方が可能になりました。

技術的には、片眼2160×2160解像度、最大90Hz駆動という仕様は、VRコンテンツの快適さを実現するための必要十分な水準です。パンケーキレンズの採用により、従来のVRヘッドセットが持つ「厚みの課題」を軽減し、コンパクト化を実現しています。

PC接続時には6DoFトラッキングに対応し、本体内蔵のカメラがインサイドアウト方式で周囲の空間を認識・マッピングを行います。これにより、歩行や傾きなどの複雑な動きをVR空間に反映させ、より没入感の高い体験が実現します。付属コントローラーによる手の動き検出も、VR内での直感的な操作を可能にする重要な要素です。

一方で、課題も存在します。スマートフォン接続時は当面、シャープ製品(AQUOS)に限定される点は、汎用性を損なう大きな制限です。クラウドファンディング後の製品化段階で、この制限がどの程度緩和されるかが、市場受容性を大きく左右するでしょう。また、有線接続という仕様も、ワイヤレス化が主流となりつつあるVR市場では、ユーザーの利便性に課題を残しています。

度数調整機能(0D~-9.0D)により、眼鏡が不要になるという点は、ユーザー体験の面で大きな利点です。視度を調整できるハードウェアはVR業界でもまだ一般的ではなく、この仕様はメガネ装着層を含む広いユーザー層へのアクセスを可能にします。

想定価格が約15万円という点も注目に値します。高級VRヘッドセット市場と大衆向け市場の間に位置する価格帯であり、既存のVRユーザーだけでなく、新規参入層にも訴求できる戦略が見えます。

2026年度内の発売予定という時間軸は、現在のVR市場の成熟段階を考えると現実的です。クラウドファンディングによるユーザーフィードバックを吸収し、製品化時には改善が加えられるであろう点も、開発戦略として洗練されています。

【用語解説】

6DoF(シックス・ディグリーズ・オブ・フリーダム)
3次元空間における6方向の自由度(前後、上下、左右の直線移動と、ピッチ、ロール、ヨーの回転)を検出・追跡する技術。VRヘッドセットが頭の位置や向きを正確に認識し、ユーザーの動きに応じてVR空間をリアルタイムで調整する。Meta Quest 3SやPlayStation VR2などハイエンドVRデバイスの標準機能である。

パンケーキレンズ
複数の光学素子を組み合わせた薄型レンズ。従来のレンズより厚みを大幅に削減でき、VRデバイスのコンパクト化を実現する。光の効率を保ちながら小型化できるため、最新のVRグラスで採用されることが増えている。

Steam VR
Valveが開発したVRプラットフォーム。PCベースのVRゲームやアプリケーションを動作させるフレームワークで、Meta Quest、HTC Viveなど複数のVRヘッドセットに対応している。

度数調整機能(ディオプタ)
VRグラスの視度を調整する機能。0D~-9.0Dは、度数なしから9.0ディオプタの近視までの範囲で調整できることを示す。これにより、眼鏡なしでもVR体験が可能になるユーザーが拡がる。

【参考リンク】

Sharp Corporation(外部)
シャープの企業サイト。製品情報、プレスリリース、事業内容などを掲載。Xrostella VR1を含む最新製品の詳細情報が確認できる。

GREEN FUNDING by ワンモア(外部)
シャープのXrostella VR1を支援対象とするクラウドファンディングプラットフォーム。2025年11月下旬より支援者の募集が開始される予定。

Steam VR(外部)
PC向けVRプラットフォーム。Xrostella VR1のPC接続時に対応する主要プラットフォーム。VRゲームやアプリが豊富に揃っている。

【参考動画】

【参考記事】

シャープ、主力スマホ「AQUOS sense10」と超軽量VRグラス「Xrostella VR1」を発表 (1/2)(外部)
Xrostella VR1の重量198g、メガネ形状による瞬間着脱、パンケーキレンズの採用、PC接続時のSteam VR対応、価格帯15万円前後、クラウドファンディング開始時期、2026年度内の商用化予定についての詳細情報。

シャープがVRグラス「Xrostella VR1」開発 198gの軽量ボディー(外部)
Xrostella VR1の主要スペック(重量198g、片眼2160×2160解像度、最大90Hz駆動、インサイドアウト方式6DoFトラッキング、度数調整0D~-9.0D)とクラウドファンディング情報。

シャープ、約198gの軽量VRグラス「Xrostella VR1」を発表(外部)
VR業界専門メディアMogura VRによる記事。VR市場における他製品との比較、軽量化技術、装着感に対するアプローチに関する専門的解説を提供。

シャープ、VRグラス「Xrostella VR1」発表 有線接続で6DoF対応(外部)
Impress Watch K-tai watchによる技術分析。有線接続とSteam VR対応、インサイドアウト方式トラッキング、スマートフォン接続時の制限に関する詳細情報。

【編集部後記】

Xrostella VR1が約198gという軽さを実現したということは、VRが「特別な体験」から「日常に溶け込む体験」へ移行しようとしている証拠かもしれません。メガネ型という選択も、私たちが当たり前に眼鏡をかけるように、自然にVR世界へ向き合える未来を示唆しています。

VRデバイスの進化は、単なるハードウェアの改善ではなく、テクノロジーと人間の関係を一層深めようとする動きなのです。あなたは、VRが生活の中でどんな役割を果たしてほしいと考えますか?

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omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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