イーロン・マスク氏が設立したAI企業xAIは、2024年8月13日に新しいAIモデル「Grok-2」を発表した。Grok-2は、チャットボット比較サイト「LMSYS Chatbot Arena」で高評価を得ており、GPT-4-Turboを上回る性能を示したとされる。
Grok-2は、推論、読解、数学、コーディングなどの能力が前バージョンから大幅に向上し、特に視覚ベースのタスクに優れている。Xの有料プラン「プレミアム」「プレミアムプラス」ユーザー向けにβ版の提供が開始された。
また、小型版の「Grok-2 mini」も同時に発表された。Grok-2は画像生成AI「FLUX.1」を搭載し、X上で高品質な画像生成が可能となっている。
xAIは8月中にエンタープライズ向けのAPIを公開予定で、近日中にマルチモーダル理解のプレビューをX上とAPIでリリースする予定だ。
この発表により、X(旧Twitter)のAI機能が大幅に強化され、競合他社のAIチャットボットとの差別化が図られる見込みだ。
from:Elon Musk’s xAI defies ‘woke’ censorship with controversial Grok 2 AI release
【編集部解説】
イーロン・マスク氏が率いるxAIが発表したGrok-2は、AIの世界に新たな波紋を投げかけています。この最新モデルは、単なる性能向上にとどまらず、AIの倫理や規制に関する重要な議論を引き起こしています。
Grok-2の特筆すべき点は、その高度な推論能力と画像生成機能です。ベンチマークテストでは、GPT-4-Turboを上回る性能を示したとされており、AIの進化の速さを改めて実感させられます。
しかし、この急速な進歩には懸念も伴います。特に、画像生成機能に関しては、適切な制限やガイドラインが設けられていないことが問題視されています。政治家や公人の不適切な画像が生成され、拡散されるリスクは看過できません。
これは、AIの発展と倫理的配慮のバランスという、テクノロジー業界が直面する大きな課題を浮き彫りにしています。xAIの「検閲に縛られない」アプローチは、イノベーションを促進する一方で、偽情報の拡散や個人のプライバシー侵害といった問題を引き起こす可能性があります。
企業にとっては、Grok-2のようなAIモデルの導入を検討する際、技術的な優位性だけでなく、倫理的な側面や潜在的なリスクも慎重に評価する必要があるでしょう。
また、この事例は、AI規制の必要性をより強く示唆しています。各国の政府や規制当局は、AIの急速な進歩に追いつくべく、より包括的かつ柔軟な規制フレームワークの構築を迫られるかもしれません。