PhotoshopのAI機能についてCNETが実用性の検証を行った。生成AIを活用した画像編集機能群には、AdobeのFireflyエンジンを使用した画像生成、特定領域を選択してテキストプロンプトで新しいデザインを作成する生成塗りつぶし、画像の拡張が可能な生成拡張、オブジェクトを削除する生成削除などがある。
その他に空の置換、背景生成、ニューラルフィルター、曲率ペンなどのツールも利用できる。これらの機能はWebおよびデスクトップアプリのPhotoshopファイルでアクセス可能で、新しいモバイルアプリによりiPhoneやAndroidでも編集が可能になった。
実際の使用体験では各ツールの具体的な使用方法と、最適な結果を得るための実証済みのヒントが重要であることが明らかになっている。
innovaTopiaが2024年7月にAdobe FireflyのPhotoshop統合機能を報じ、2025年6月にはAndroid版Photoshopのベータ版について詳細に分析してきた経緯があり、今回の検証記事はこれらAI搭載編集機能の実用段階における評価として位置づけられる。
From: AI Is Everywhere in Photoshop. These Are the Best Tools I Found While Editing Photos
【編集部解説】
CNETのこの記事は、PhotoshopのAI機能の急速な進歩を実地検証した貴重なレビューです。記事の著者は実際に各ツールを使用して検証しており、技術的な評価として信頼性が高いものとなっています。
PhotoshopのAI機能の核心は、AdobeのFireflyエンジンにあります。これは商用利用を前提として設計されており、Adobe Stock、オープンライセンス作品、パブリックドメインのコンテンツで訓練されています。つまり、商業的に安全な(商業利用を想定し、著作権リスクを低減するように設計された)AIシステムといえるでしょう。
この技術が画期的である理由は、従来数時間かかっていた作業を数秒で完了できる点にあります。例えば、背景の拡張や不要オブジェクトの除去といった作業は、以前はクローンスタンプツールで周囲のピクセルを手動でマッチングする必要がありました。生成AIは照明、影、反射、遠近法を自動で調整し、違和感のない合成を実現しています。
ただし、利用にあたって重要な制限があることも理解しておく必要があります。2023年11月1日以降Adobeは生成クレジット制度を実施しており、プランによってクレジットの使用制限が異なります。なお、これらの機能はクラウドベースで動作するため、インターネット接続が必須となります。
技術的な制約として一時期、生成AI機能の解像度は2000×2000ピクセル程度が上限とされていましたが、現在は「生成AIによるアップスケール」機能の登場により、最大8メガピクセルまでの高解像度化に対応するなど、この制限は克服されつつあります。それにより、プロフェッショナルな高解像度作業での活用範囲も広がっています。
ただしこの技術には課題も存在します。最も深刻なのは「過度な編集」による画像の非現実化です。AIツールは完璧すぎる結果を生成するため、自然さを失うリスクがあります。また、伝統的な編集スキルの習得機会の減少も懸念されています。
プライバシーと著作権の問題も見逃せません。過去にAdobeの利用規約が物議を醸しましたが、同社は公式に「ユーザーのコンテンツをFireflyのAIモデル学習に使用することはない」と明言し、規約もその旨を明確化するよう更新しています。しかしNDA(秘密保持契約)下の作業を扱うプロフェッショナルにとって、クラウドにデータをアップロードするプロセス自体の是非は依然として重要な検討事項です。
デザイン業界への長期的影響も注目すべき点です。AIツールの普及により、基本的な編集作業の価値は下がる一方で、創造性やコンセプト設計の重要性が高まると予測されます。これは業界の構造変化を示唆しており、デザイナーにはより高次のスキルが求められるようになるでしょう。
技術的な観点から見ると、この記事で紹介されている機能は、機械学習における「拡散モデル」の応用例として位置づけられます。画像の文脈を理解し、適切なコンテンツを生成する能力は、AI技術の成熟度を示す重要な指標といえるでしょう。
【用語解説】
Firefly
Adobeが開発したAI画像生成モデル。商用利用を前提に設計されており、著作権リスクを抑えて画像の自動生成を可能にする。
生成クレジット
Adobe AI機能の利用制限単位。プランに応じて月間付与数が決まっており、1回の生成で1クレジットを消費する。
ニューラルフィルター
Photoshopに搭載されるAIベースのフィルター群。肌補正やスタイル変更など高度な画像編集を実現する。
【参考リンク】
Adobe公式サイト(外部)
Adobeの主力製品情報、各種サービス、AIソリューションの詳細を提供している公式ウェブページ
Adobe Firefly公式ページ(外部)
画像生成AI「Firefly」の仕組みと実例、商用利用に関するガイドラインが掲載
Photoshop公式ページ(外部)
Photoshopの最新機能、アップデート情報、ユーザー事例などを紹介する製品公式ページ
【参考記事】
生成クレジットに関する FAQ(外部)
Adobe公式ヘルプページ。Creative Cloudの各プランで付与される生成クレジット数を詳細解説
Benefits of generative AI for designers, developers & marketers – Adobe(外部)
生成AIがクリエイター、開発者、マーケターにもたらす利点について、作業効率向上と創造性向上の観点からAdobe公式が解説した記事
【編集部後記】
記事で紹介されている生成塗りつぶしや生成拡張は、テキストで指示するだけで魔法のような編集が可能です。例えば、家族写真に写り込んでしまった通行人を消したり、風景写真をより広いパノラマに拡張したりといったことが、わずか数秒で実現できます。
今回のこの記事をきっかけに、ぜひ一度これらの機能を実際に試してみてはいかがでしょうか?創作活動に興味がある方はもちろん、SNS用の写真をより魅力的に仕上げたい方にとっても、新しい表現の可能性が広がるかもしれません。みなさんはどのような場面でこうしたAI機能を活用してみたいと思いますか?