Yuga Labsは、同社が開発するメタバース「Otherside(アザーサイド)」を2025年11月12日に正式ローンチすると発表した。この発表はイベント「ApeFest」で行われた。
このプラットフォームは「相互運用可能」「ゲーム化」「分散化」されたバーチャルワールドを目指しており、RobloxやFortniteに似た仕様となる。ユーザーは暗号ウォレットでログインし、保有するNFTを3Dアバターとしてゲーム内で使用できる。
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Yuga Labs announces Metaverse Otherside will launch on November 12th
【編集部解説】
Yuga Labsは「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」で知られるWeb3企業であり、同社のメタバース「Otherside(アザーサイド)」が11月12日に正式ローンチされる予定です。The Vergeなどによると、2022年に4.5億ドルを調達して構想されたこのプロジェクトは、「相互運用可能」「ゲーム化」「分散型」の三要素を組み合わせたWeb3メタバースとして開発されてきました。
Othersideは暗号ウォレットを必要とせず、Eメールでのログインも可能という低参入障壁設計を採用しており、一般ユーザーでもNFTやアバターの作成を通じて参加できます。これは従来のFortniteやRobloxと類似したゲーム性を持ちながらも、NFTによってデジタル資産の真正な所有を保証する点が大きな違いです。
また、Amazonとの提携によるNFTアバター「Boximus」導入や、独自ツール「Voyager」を通じた3Dモデル制作機能も搭載される見込みです。クリエイターが経済的対価を得られる設計が特徴で、Roblox型プラットフォーム経済のWeb3的進化形として注目されています。
一方、NFT価格変動リスクやブロックチェーン上での不正利用、デジタル所有権に関する規制整備の遅れといった課題も存在します。特にEUのMiCA規制や米SECの監視体制との整合性は今後の国際展開の鍵を握るでしょう。
長期的には、OthersideはNFT主導のメタバース経済を再構築する“第二波”の象徴とも言える存在です。冷却期を経て、再びユーザー主導のデジタル空間が社会的機能として成熟できるかが注目点です。
【用語解説】
Yuga Labs(ユガラボ):Bored Ape Yacht Club(BAYC)などを運営する米Web3企業。NFTアートや分散型メタバース事業で知られる。
Otherside(アザーサイド):Yuga Labsが開発する分散型メタバース。NFTをアバター化し、ゲーム要素と経済活動を融合させる仮想世界。
Bored Ape Yacht Club(BAYC):Yuga Labsが手がける猿をモチーフにしたNFTコレクション。著名人の保有者も多い。
ゲーミファイド:ゲームデザイン要素を非ゲーム分野に応用する仕組み。Othersideでは参加体験向上に活用。
分散化:中央管理者不在でネットワーク全体で意思決定・運営を行う仕組み。ブロックチェーン基盤。
Voyager(ボイジャー):Yuga Labsが開発する3Dアバター制作ツール。NFTと連携してアバター生成を行う。
ApeFest:Yuga Labsが主催する年次イベント。BAYCやOthersideの新情報発表の場として知られる。
【参考リンク】
Yuga Labs公式サイト(外部)
世界的NFTブランドBAYCやメタバースOthersideを運営するWeb3企業の公式サイト。
Otherside公式サイト(外部)
Yuga Labsが展開する分散型メタバースの公式ページ。NFT連携機能やイベント情報を掲載。
ApeCoin公式サイト(外部)
APEエコシステムおよびDAOの概要を紹介する公式サイト。トークン運用情報を掲載。
【参考記事】
BAYC’s Otherside Metaverse Finally Launches November 12th(外部)
3年間にわたる開発背景と4.5億ドルの資金調達経緯、Web3的差別化ポイントを解説。
Bored Ape creator revives brand with Otherside metaverse debut(外部)
RobloxやFortniteとの比較を踏まえたOthersideの特徴と市場戦略を紹介。
Exploring the Otherside Metaverse by Yuga(外部)
Othersideの技術的構成やMMORPG的側面を詳述する分析リポート。
【編集部後記】
OthersideはWeb3メタバースの”大衆化”を掲げていますが、果たしてNFT所有者と一般ユーザーの双方を満足させる経済設計が可能なのでしょうか。4.5億ドルという巨額投資を経ても、過去のガス代高騰問題や市場冷え込みを経験したYuga Labsにとって、ローンチ後の持続的なユーザー獲得こそが最大の試練となります。FortniteやRobloxが築いた強固なエコシステムに対し、ブロックチェーン資産の「真の所有」がどこまで差別化要因になるのか、11月12日以降の動向に注目です。























