セキュリティニュースでよく目にする「CVE:共通脆弱性識別子」について調べてみた🙋‍♂️✨

セキュリティニュースでよく目にする「CVE:共通脆弱性識別子」について調べてみた🙋‍♂️✨ - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-07-03 13:35 by admin

近年、サイバーセキュリティの重要性が高まる中で、「CVE-2024-****」のような識別子をニュースやセキュリティ情報でほぼ必ず目にするようになりました。

この識別子は、コンピューターセキュリティの世界で重要な役割を果たす「CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)」と呼ばれるものです。本記事では、CVEの概要や重要性、関連する情報源について詳しく解説します。

CVEとは

CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)は、公開されているコンピューターセキュリティの脆弱性や露出(エクスポージャー)に対して、標準化された識別子を付与するシステムです。

これは、セキュリティコミュニティ全体で脆弱性情報を共有し、効率的に管理するために不可欠なツールとなっています。CVE識別子は以下の形式で構成されています:

  • CVE:Common Vulnerabilities and Exposuresの略称
  • 年:脆弱性が発見または公開された年(例:2024)
  • 番号:その年に割り当てられた固有の番号(通常4桁以上の数字)

例えば、「CVE-2024-1234」のような形式で表されます。

CVEの管理主体

CVEプログラムは、米国の非営利団体であるMITRE Corporation(マイター・コーポレーション)によって管理されています。

MITREは、米国政府の支援を受けて1999年9月にCVEプログラムを正式に開始しました。具体的には、米国国土安全保障省(DHS)とサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)から資金提供を受けています。

CVEの割り当てプロセスには、CVE番号付与機関(CNA:CVE Numbering Authority)と呼ばれる組織が関与しています。2022年時点で、251のパートナー組織が35カ国に存在しています。

主要なCNAには、MITRE Corporation、Adobe、Apple、CERT Coordination Center、Cisco、Dell、Facebook、Google、IBM、Intel、Microsoft、Oracleなどが含まれます。

これらの組織は、新しい脆弱性を発見した際にCVE番号を割り当てる権限を持っています。

CVEの歴史と登録数の推移

CVEプログラムは1999年9月に開始されました。当初は数百件程度だった登録数も、現在では膨大な数に達しています。2024年7月3日時点での最新の情報によると、CVE脆弱性の総数は約255,491件となっています。

この数字は日々増加しており、新しい脆弱性が発見されるたびに更新されています。年ごとの登録数の推移:

  • 2019年:17,305件
  • 2020年:18,323件
  • 2021年:20,153件
  • 2022年:25,084件
  • 2023年:29,066件
  • 2024年(Q1まで):20,515件

この推移からも分かるように、CVEの登録数は年々増加傾向にあり、サイバーセキュリティの重要性が高まっていることを示しています。

最新のCVEリストを確認する方法

最新のCVEリストを確認するには、以下のような方法があります:

  1. MITRE CVEウェブサイトhttps://cve.mitre.org/)
    • 最新のCVE情報を検索・閲覧できます。
  2. National Vulnerability Database(NVD)https://nvd.nist.gov/)
    • 米国国立標準技術研究所(NIST)が運営するデータベースで、CVEの詳細情報を提供しています。
  3. CVE Detailshttps://www.cvedetails.com/)
    • CVEの詳細情報や統計、検索機能を提供する第三者サイトです。
  4. OpenCVEhttps://www.opencve.io/)
    • CVEの更新を追跡し、新しい脆弱性についてアラートを受け取ることができるプラットフォームです。

これらのサイトでは、最新のCVE IDだけでなく、その詳細情報や影響を受ける製品、深刻度なども確認できます。

CVE ID以外の識別子

CVE以外にも、セキュリティ脆弱性を識別・分類するための重要なシステムがいくつか存在します:

  1. CWE(Common Weakness Enumeration)
    • ソフトウェアのセキュリティ上の弱点や欠陥を分類・整理するためのリストです。
  2. CVSS(Common Vulnerability Scoring System)
    • 脆弱性の深刻度を定量的に評価するための国際的な基準です。
  3. CPE(Common Platform Enumeration)
    • ITシステム、ソフトウェア、パッケージを識別するための標準化された命名方式です。
  4. CERT/CC VU#(Vulnerability Notes Database)
    • CERT Coordination Centerが管理する脆弱性データベースで使用される識別子です。

これらの識別子は、CVEと併用されることで、より包括的な脆弱性管理を可能にします。

日本国内で脆弱性情報を提供しているサイト

日本国内でも、脆弱性情報を提供している重要なサイトがいくつかあります:

  1. JVN(Japan Vulnerability Notes)https://jvn.jp/)
    • JPCERT/CCと情報処理推進機構(IPA)が共同で運営する脆弱性情報ポータルサイトです。
  2. JVN iPediahttps://jvndb.jvn.jp/)
    • IPAが運営する脆弱性対策情報データベースです。
  3. IPA(情報処理推進機構)https://www.ipa.go.jp/security/)
    • 脆弱性対策情報や最新のセキュリティ情報を提供しています。
  4. JPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)https://www.jpcert.or.jp/)
    • コンピュータセキュリティインシデントに関する報告の受付や対応支援、脆弱性関連情報の発信を行っています。
  5. 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)https://www.nisc.go.jp/)
    • 政府のサイバーセキュリティ戦略の策定や、重要インフラのサイバーセキュリティに関する情報を提供しています。

これらのサイトは、日本語で最新のセキュリティ情報を提供しており、日本国内のユーザーにとって非常に有用なリソースとなっています。

セキュリティ情報の重要サイト

セキュリティに関して重要な情報を提供している国内外のサイトをいくつか紹介します:

  1. US-CERThttps://www.cisa.gov/uscert/)
    • 米国国土安全保障省のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が運営する、重要なセキュリティ情報を提供するサイトです。
  2. SANS Internet Storm Centerhttps://isc.sans.edu/)
    • グローバルな脅威情報を提供する協調型セキュリティ監視・早期警戒システムです。
  3. Krebs on Securityhttps://krebsonsecurity.com/)
    • 著名なセキュリティジャーナリスト、ブライアン・クレブス氏が運営するブログで、最新のセキュリティニュースや分析を提供しています。
  4. The Hacker Newshttps://thehackernews.com/)
    • サイバーセキュリティニュースや最新の脆弱性情報を提供する人気のニュースサイトです。
  5. JPCERT/CChttps://www.jpcert.or.jp/)
    • 日本のコンピュータセキュリティインシデント対応センターで、重要な脆弱性情報や対策情報を提供しています。

これらのサイトを定期的にチェックすることで、最新のセキュリティ脅威や対策について常に情報を得ることができます。

まとめ

CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)は、コンピューターセキュリティの脆弱性を一意に識別し、管理するための重要なシステムです。

1999年9月に開始されたこのプログラムは、現在では25万件以上の脆弱性を登録しており、セキュリティコミュニティにとって不可欠なツールとなっています。

CVEを中心とした脆弱性情報の共有と管理は、サイバーセキュリティの向上に大きく貢献しています。しかし、CVEだけでなく、CWE、CVSS、CPEなどの関連する識別子や評価システムも併せて活用することで、より包括的な脆弱性管理が可能になります。

日本国内でも、JVNやJVN iPedia、IPAなどが重要な脆弱性情報を提供しており、これらのリソースを活用することで、国内のユーザーも最新のセキュリティ情報にアクセスできます。

セキュリティ専門家や IT管理者は、CVEや関連する識別子を理解し、定期的に最新の脆弱性情報をチェックすることが重要です。

また、US-CERT、SANS Internet Center、JPCERT/CCなどの信頼できるソースから情報を得ることで、常に最新のセキュリティ脅威に対応する準備を整えることができます。

サイバーセキュリティの脅威が日々進化する中、CVEをはじめとする標準化された脆弱性管理システムの重要性は今後さらに高まっていくでしょう。組織や個人が適切にこれらのツールを活用し、継続的にセキュリティ対策を行うことが、安全なデジタル環境の維持につながります。

【用語解説】

  • MITRE Corporation(マイター・コーポレーション)
    米国の非営利団体で、主に政府機関向けの研究開発を行っています。CVEプログラムの管理運営を担当しています。
  • CNA (CVE Numbering Authority)
    CVE番号を割り当てる権限を持つ組織のことです。主要なIT企業やセキュリティ企業が含まれます。
  • CVSS (Common Vulnerability Scoring System)
    脆弱性の深刻度を数値化して評価するシステムです。0から10までのスコアで表され、高いほど深刻度が高いことを示します。
  • CWE (Common Weakness Enumeration)
    ソフトウェアの脆弱性や欠陥の種類を分類・整理したリストです。CVEが個別の脆弱性を示すのに対し、CWEはより一般的な脆弱性の種類を示します。
  • CPE (Common Platform Enumeration)
    ITシステムやソフトウェアを一意に識別するための命名規則です。製品の種類、ベンダー名、製品名、バージョンなどの情報を含みます。

【参考リンク】

Red Hat社のセキュリティ専門家がCVEとCVSSについて解説しています。

CVE and CVSS explained | Security Detail

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