ソフトバンク子会社のヘルスケアテクノロジーズは、2025年9月1日からロイヤル健康保険組合の被保険者に対し、24時間365日医療者のサポートを受けられるヘルスケアアプリ「HELPO」の提供を開始する。
ロイヤル健康保険組合の被保険者数は男性2,533人、女性4,042人の計6,575人で、被扶養者数は男性768人、女性1,179人の計1,935人、平均年齢は43.44歳である。厚生労働省の「令和5年版働く女性の実情」によると、2023年の女性雇用者数は3,124万人に達し、宿泊業・飲食サービス業では前年比6.2%増となった。
また「令和5年 全衛連ストレスチェックサービス実施結果報告書」では、高ストレス者の割合が全体平均14.9%を30代から50代の女性が上回っていることが明らかになっている。
HELPOは医師・看護師・薬剤師などの医療者が24時間365日体制で対応し、健康医療相談やオンライン診療機能を装備している。ヘルスケアテクノロジーズの本社は東京都港区芝2-28-8で、代表取締役社長兼CEOは鴻池大介である。
From: 【PRTMES】ヘルスケアテクノロジーズ、ロイヤル健康保険組合の被保険者に「HELPO」を提供
【編集部解説】
今回のニュースは、デジタルヘルスケア分野における「B2B2Cモデル」の最新事例として注目すべき案件です。ヘルスケアテクノロジーズが健康保険組合を経由して従業員にサービス提供する構造は、日本独特の皆保険制度を活かした戦略的アプローチといえるでしょう。
HELPOというアプリの技術的な核心は、24時間365日の医療者対応システムにあります。これは従来の電話やメールベースの健康相談サービスとは異なり、チャット機能とオンライン診療を統合したプラットフォーム型アーキテクチャを採用しています。
特に興味深いのは、働く女性の健康課題に特化した導入背景です。プレスリリースでは30代から50代女性の高ストレス率が全体平均14.9%を上回るという具体的なデータを示していますが、これは単なる福利厚生を超えた戦略的人的資本投資の側面があります。
デジタルヘルスケア市場では、個人向けアプリの収益化に苦戦するケースが多い中、健康保険組合経由のモデルは安定した収益基盤を確保できる利点があります。大東建託健康保険組合の約2万人規模での導入事例や、住友生命健康保険組合への納入実績を見ると、HELPOは着実に法人顧客を獲得していることがわかります。
一方で、医療データの取り扱いやプライバシー保護の観点では慎重な運用が求められます。24時間対応システムの品質維持コストや、オンライン診療の医療事故責任の所在など、スケールアップに伴う課題も想定されるでしょう。
長期的な視点では、このようなデジタルヘルスケアサービスが健康保険組合の医療費適正化にどの程度寄与するかが重要な指標となります。予防医療の促進と重症化防止による医療費削減効果が実証されれば、業界全体での導入拡大が加速する可能性があります。
【用語解説】
B2B2Cモデル:企業(B)が別の企業(B)を経由して消費者(C)にサービスを提供するビジネスモデル。今回の場合、ヘルスケアテクノロジーズが健康保険組合を通じて被保険者にサービス提供する形態である。
オンライン診療:スマートフォンやパソコンを使用して医師が遠隔で患者の診療を行うシステム。2018年の医療法改正により実用化が本格的に始まった診療形態である。
健康保険組合:従業員700人以上または同種同業の場合3,000人以上の企業が設立できる健康保険の運営組織。協会けんぽと異なり独自の付加給付や保健事業を実施できる。
デジタルヘルスケア:ICT技術を活用して健康管理や医療サービスを提供する分野の総称。遠隔医療、ウェアラブルデバイス、ヘルスケアアプリなどが含まれる。
【参考リンク】
ロイヤル健康保険組合(外部)
1986年4月設立、被保険者数6,575人を擁する健康保険組合の公式サイト
ヘルスケアテクノロジーズ株式会社(外部)
ソフトバンク子会社として2019年5月設立のオンラインヘルスケア事業企業
HELPOアプリ(法人向け)(外部)
24時間365日対応の従業員向けヘルスケアサービスの詳細説明
HELPO個人向けサービス(外部)
個人向けヘルスケアアプリの機能と利用方法の詳細情報
【参考記事】
大東建託健康保険組合のHELPO導入事例(外部)
約2万人規模での導入実績を紹介する先行事例の詳細レポート
住友生命健康保険組合にヘルスケアアプリ「HELPO」を納入(外部)
2024年12月発表の健康保険組合向けサービス展開事例
ヘルスケアアプリ「HELPO」の個人向けサービスを開始(外部)
HELPOの6つの主要機能の詳細仕様を説明した2022年発表資料
【編集部後記】
働く女性の健康課題に対するデジタル支援が本格化する今、皆さんの職場でも同様の変化を感じられているでしょうか。月経・PMS症状がある女性の58.8%が仕事のパフォーマンス低下を経験し、40~50代女性の49.5%が更年期症状を感じながらも64.5%が我慢しているという現状があります。一方で女性の76.3%が「女性特化の健康支援は仕事にプラスになる」と回答しており、デジタルヘルスケアへの期待は高まっています。
皆さんの会社では女性従業員の健康サポートにどのような取り組みがありますか? また、24時間365日対応のヘルスケアアプリのような新しいサービスが導入されたら、どのような場面で活用したいと思われますか?