NVIDIA vs D-Wave:量子コンピューティングの実用化を巡る論争が勃発、業界に激震

NVIDIA vs D-Wave:量子コンピューティングの実用化を巡る論争が勃発、業界に激震 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-01-09 10:26 by admin

2025年1月7日、NVIDIAのジェンセン・フアンCEOがCES 2025のアナリスト向け説明会で、実用的な量子コンピューターの実現には15-30年かかると発言。これに対し、D-Wave Quantumのアラン・バラッツCEOが「完全な間違い」と反論し、業界に大きな波紋が広がっています。

この発言を受け、量子コンピューター関連企業の株価が大幅下落:
– D-Wave:36%下落
– Rigetti Computing:45%下落
– IonQ:39%下落

バラッツCEOは、Mastercard、NTTドコモなどの企業がすでにD-Waveの量子コンピューターを実務で活用していると主張しています。

from:Nvidia’s Jensen Huang is ‘dead wrong’ about quantum computers, D-Wave CEO says

【編集部解説】

NVIDIAのフアンCEOの発言は、量子コンピューティング業界に大きな波紋を投げかけましたが、実はこの論争の背景には重要な技術的な違いが存在しています。

量子コンピューターには大きく分けて「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」という2つのアプローチがあります。フアンCEOが言及した15-30年という timeline は、主に量子ゲート方式に関する見解だと考えられます。

D-Waveが採用している量子アニーリング方式は、特定の最適化問題に特化しており、すでに実用段階に入っています。例えば、従業員のシフトスケジューリングやコンテナの積み下ろし計画、タンパク質折りたたみの計算などで実績があります。

両方式の特徴と用途

量子ゲート方式は、より汎用的な計算が可能で、暗号解読や微分方程式の解法に強みを持ちます。一方、量子アニーリング方式は最適化問題に特化していますが、ノイズに強く、スケーリングが容易という利点があります。

D-Waveの主張によれば、同社の量子アニーリングマシンは、NVIDIAの最新GPUシステムでは数百万年かかる材料シミュレーションを数分で処理できるとしています。

市場への影響と今後の展開

量子コンピューティング業界は、2024年12月のGoogleの100量子ビットチップ開発成功のニュースを受けて株価が大幅に上昇していました。今回のフアンCEOの発言による株価下落は、この分野への過度な期待が調整された面もあります。

AIとの関連性

特筆すべきは、D-WaveがAI/ML分野での活用も視野に入れている点です。従来のAI計算で必要とされる膨大な計算リソースとエネルギー消費の問題に対して、量子アニーリングによる効率化を目指しています。

読者の皆様へ

量子コンピューティングの発展は、必ずしも一直線ではありません。異なるアプローチが並行して進化しており、それぞれが得意分野を持っています。今回の論争は、この技術の多様性と可能性を改めて示すものとなりました。

【参考リンク】

  1. D-Wave Systems(外部)
    世界初の商用量子アニーリングマシンを提供する企業。量子最適化ソリューションのリーダー

【参考YouTube】

【関連記事】

量子コンピューターニュースをinnovaTopiaでもっと読む

ホーム » 量子コンピューター » 量子コンピューターニュース » NVIDIA vs D-Wave:量子コンピューティングの実用化を巡る論争が勃発、業界に激震