Last Updated on 2024-12-21 17:25 by admin
2024年12月19日、NASAはケネディ宇宙センター(フロリダ州)の車両組立棟(VAB)で、アルテミスII用SLSロケットのコアステージ移動作業を実施しました。212フィート(約64.6メートル)の高さを持つコアステージは、水平位置から垂直位置へと移動され、今後の打ち上げ準備における重要なマイルストーンとなりました。
技術仕様と今後の展開
SLSロケットは総推力約880万ポンド(約3,990トン)を誇り、コアステージ(160万ポンド)と2基のサイドブースター(各360万ポンド)で構成されています。2026年半ばに予定される打ち上げでは、月面から約80マイル(約129キロメートル)まで接近し、月周回飛行を行う計画です。その後のアルテミスIIIミッションは2027年9月以降に予定されており、SpaceXのスターシップによる月面着陸を目指します。
from:Watch NASA’s SLS rocket taking one small step toward Artemis II moon mission
【編集部解説】新時代の月探査計画
今回のコアステージの移動作業は、アルテミスIIミッションの重要なマイルストーンとなっています。SLSロケットのコアステージは、アポロ計画以来最大規模の有人宇宙船システムの中核を担う重要なコンポーネントです。
特筆すべきは、このコアステージが単なるロケットの一部品ではなく、高度な航空電子システムを搭載した統合システムである点です。打ち上げ時の制御だけでなく、月までの航行における重要なデータ処理も担っています。
安全性への取り組み
NASAは特に熱シールドの問題に慎重な姿勢で臨んでいます。アルテミスIでの予期せぬ熱シールドの損傷を受けて、121回もの詳細なテストを実施しました。この徹底した検証作業は、有人飛行における安全性確保への強いコミットメントを示しています。
国際協力の新時代
アルテミスIIは、カナダ宇宙庁(CSA)の宇宙飛行士が参加する初の深宇宙ミッションとなります。これは、将来の月面探査における国際協力の新しいモデルケースとなるでしょう。
商業宇宙産業との連携
このミッションでは、Boeing社やNorthrop Grumman社、L3Harris社など、複数の民間企業が重要な役割を担っています。これは、宇宙開発における官民連携の新しい形を示すものと言えます。
今後の展望
アルテミスIIの成功は、その後のアルテミスIIIミッションにおける月面着陸、さらにはその先の火星探査計画にも大きな影響を与えます。特に、SpaceXのスターシップとの連携による月面着陸計画は、宇宙探査の新しい章を開くことになるでしょう。
技術革新への影響
このプロジェクトで開発された技術は、地球上のさまざまな分野にもスピンオフする可能性があります。特に、極限環境での材料工学や推進システムの革新は、地上の産業技術にも大きな影響を与えることが期待されます。