韓国のスタジオPixelityが、90年代の人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を基にしたXRゲーム「EVANGELION: Δ CROSS REFLECTIONS」を正式発表した。このゲームは今年初めに予告されており、アニメ全26話のタイムライン内に設定された新しいストーリーとなっている。
ゲームはエヴァンゲリオンと使徒の戦闘、インタラクティブな要素、オリジナルキャラクターによるストーリーを特徴とし、3部作の第1作目として第1話から第11話の出来事を中心とする。既存のストーリーの重要なエピソードと完全に新しいゲームオリジナルの物語コンテンツを複雑に織り込むことが際立った特徴だという。
2026年のリリース予定で、VRとMRの両方に対応するためQuestでの発売が示唆されている。デモは2026年前半にリリース予定だ。2017年設立のPixelityは過去にも複数のVRゲームを制作しており、現在も他の2作品を開発中である。
From: ‘Evangelion: Cross Reflections’ VR Game Officially Announced for Quest 3 Release in 2026
【編集部解説】
このニュースは、エンターテインメントとテクノロジーの融合により、ファンコンテンツ制作における新たなアプローチを示している点で重要です。Extended Reality(XR)とは、Virtual Reality(VR)、Mixed Reality(MR)、Augmented Reality(AR)を包括する技術の総称で、現実世界とデジタル世界を統合した体験を提供します。本作が両方の機能を持つことで、従来のVRゲームでは不可能だった「現実空間に使徒を表示させる」といった新しい表現が可能になります。
三部作として企画されている点も注目すべき戦略です。これにより開発側はプレイヤーの反応を見ながら段階的にコンテンツを改善でき、技術の進歩に合わせた最適化も可能になります。第一作が第1話から第11話をカバーすることで、シンジの成長過程という最もドラマチックな部分を丁寧に描写できる構成となっています。
技術的な観点から見ると、エヴァンゲリオンのような複雑なロボット戦闘をXRで実現することは、haptic feedback(触覚フィードバック)や spatial computing(空間コンピューティング)の技術発展を加速させる可能性があります。特に巨大ロボット操縦という体験は、産業用シミュレーターや医療訓練システムへの応用にも繋がるでしょう。
市場への影響として、このプロジェクトは日本のアニメIPのXR活用における重要な実例となります。成功すれば、他の人気アニメ作品でも同様のXR化が進む可能性が高く、日本のエンターテインメント業界の新たな収益源となるでしょう。また、韓国スタジオによる制作という点も、アジア圏におけるクロスボーダーなコンテンツ開発の新しいモデルを示しています。
長期的な視点では、このような作品が普及することで、XR技術の一般化が加速される可能性があります。現在XR市場は探索段階にありますが、エヴァンゲリオンという強力なIPを通じて多くのユーザーがXR体験を得ることで、技術の普及と改善のサイクルが生まれるでしょう。
【用語解説】
Pixelity – 2017年に韓国で設立されたVR・XRゲーム開発専門スタジオ。「Teahouse of Souls」「Puttzzle」「Rise of the Fallen」など複数のVRタイトルを制作した実績を持つ。
Extended Reality(XR) – Virtual Reality(VR)、Mixed Reality(MR)、Augmented Reality(AR)を統合した技術概念。現実世界とデジタル世界をシームレスに融合した体験を提供する次世代技術の総称。
Mixed Reality(MR) – 仮想オブジェクトと現実空間を組み合わせ、両方が相互に作用する技術。VRの完全没入とARの現実重畳を統合した新しい体験形態。
新世紀エヴァンゲリオン – 1995年に庵野秀明監督により制作された日本のロボットアニメ。深い心理描写と宗教的テーマで社会現象を起こし、アニメ業界に革命的影響を与えた作品。
使徒(Angel) – エヴァンゲリオンシリーズに登場する敵対的存在。異形の姿と強大な力を持ち、人類文明に脅威をもたらす謎の生命体として描かれる。
【参考リンク】
Pixelity Inc. 公式サイト(外部)
韓国のVR・XRゲーム開発スタジオPixelityの公式ウェブサイト。同社の過去作品や開発中タイトルの情報を確認できる。
エヴァンゲリオン公式サイト(外部)
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公式サイト。エヴァンゲリオン関連映画作品の情報やBlu-ray・DVD商品詳細を掲載。
EVANGELION STORE オンライン(外部)
エヴァンゲリオンの公式オンラインストア。フィギュア、アパレル、雑貨など、公式ライセンス商品を販売する通販サイト。
【参考記事】
‘Evangelion: Cross Reflections’ VR Game Officially Announced for Quest 3 Release in 2026(外部)
韓国のPixelityスタジオが正式発表したエヴァンゲリオンXRゲームの詳細。2026年リリース予定で3部作の第1作目として企画されている。
Evangelion: Δ Cross Reflections Is A New Story Within The Original Anime’s Timeline(外部)
ゲームがアニメ全26話のタイムライン内に設定された新ストーリーであること、VRとMRの両方に対応する点を詳しく報じている。
Evangelion: Δ – Cross Reflections Will Be the First XR Game(外部)
3部作のXRゲームプロジェクトの第1作目として「Cross Reflections」が位置づけられ、第1話から第11話の内容を扱うことを解説。
Evangelion: Δ Cross Reflections Announced For VR(外部)
ゲームの基本概要とPixelityスタジオの過去作品実績について紹介。2026年前半のデモリリース予定についても言及している。
Official Title Revealed for Evangelion Game Project(外部)
Pixelity Inc.による正式プレスリリース。ゲームの開発背景、技術的特徴、リリース計画について公式発表内容を掲載。
【編集部後記】
エヴァンゲリオンという巨大IPがXR技術と融合する今回の発表は、アニメゲーム業界の大きな転換点となりそうです。3部作構成で段階的にリリースする戦略は賢明に思えますが、果たしてファンの期待に応えられるのでしょうか。VRでの巨大ロボット操縦体験は技術的にどこまで再現可能で、MR機能によって現実空間に使徒を出現させるような演出はどの程度の没入感を提供するのか気になります。また、韓国のスタジオが日本の代表的アニメを手がける意義や、エヴァの心理的な重さをXRでどう表現するかも注目ポイントです。