Lenovo Legion Glasses(Gen2)|800nit・120Hz対応、わずか65gのウェアラブルディスプレイが登場

 - innovaTopia - (イノベトピア)

レノボ・ジャパンは2025年10月21日、個人向けスマートグラス「Lenovo Legion Glasses(Gen2)」を発表した。発売日は2025年10月24日で、直販価格は55,000円である。

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本製品はUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode対応)を搭載したPC、タブレット、スマートフォン、ゲーム機などに接続し、最大126型相当の大画面映像を体験できるウェアラブルディスプレイである。

重量は約65g、サイズは約163×169×52mmで、18.5mmのスリムなボディを採用している。0.6型マイクロOLEDディスプレイを搭載し、片眼1920×1080ドットのフルHD解像度、最大800nitの輝度、98% DCI-P3の色域、60Hz/90Hz/120Hzのリフレッシュレート、200,000:1のコントラスト比に対応する。視野角は43.5度で、約4m先に126型相当の画面を再現する。

付属品として専用ケース、視力矯正用レンズフレーム、ライトシールド、クリーニングクロスが含まれ、内蔵ステレオスピーカーとマイクを備える。

From: 文献リンクPRTIMESレノボ、個人向けスマートグラス「Lenovo Legion Glasses(Gen2)」発表

【編集部解説】

このレノボの新型スマートグラスは、単なるディスプレイデバイスを超えた、個人向けエンターテインメント市場への本格参入を示すものです。注目すべきは、わずか65gという軽量設計でありながら、マイクロOLED技術により200,000:1という驚異的なコントラスト比と120Hzのリフレッシュレートを実現している点でしょう。

マイクロOLED技術は、従来のガラス基板ではなくシリコンウェハー上にOLED素子を形成する技術で、極めて高いピクセル密度と低消費電力を実現します。AR/VRデバイスにおいて、この技術は「スクリーンドア効果」と呼ばれる格子状の表示を排除し、没入感を大幅に高めることが知られています。800nitという高輝度は、明るい環境下でも視認性を確保する上で重要な要素となるでしょう。

市場環境を見ると、2025年上半期のスマートグラス出荷台数は前年比110%増と急成長しており、世界市場は2030年までに117億4000万ドル規模に達すると予測されています。この成長の背景には、AI統合やより洗練されたデザインへの進化があります。レノボの製品は、こうした潮流の中で「プライベートシアター体験」という明確な用途を提示している点が特徴的です。

技術的な観点から見ると、43.5度という視野角は、現世代のスマートグラスとしては標準的な範囲内です。4m先に126型相当という表現は、視覚的な体験を分かりやすく伝えていますが、実際の没入感は個人の視力や装着位置によって変動する可能性があります。視力矯正用レンズフレームの同梱は、眼鏡ユーザーにとって重要な配慮でしょう。

USB Type-C接続によるDisplayPort Alternate Mode対応は、幅広いデバイスとの互換性を実現しています。PCやスマートフォン、ゲーム機など多様なソースから映像を受け取れることで、単一用途に限定されない柔軟性を持つのが強みです。ただし、有線接続であるため、移動の自由度には制約があります。

直販価格55,000円という設定は、米国での399.99ドルという価格帯から見ると妥当な範囲と言えます。競合製品と比較すると、初代モデルより性能向上とともに価格も上昇していますが、マイクロOLED技術の製造コストを考慮すれば理解できる価格帯でしょう。

潜在的な課題としては、OLED特有の焼き付きリスクや、長時間装着時の目への影響が挙げられます。また、126型相当の大画面体験は魅力的ですが、VR酔いのような不快感を引き起こす可能性もあり、個人差への配慮が必要です。エンターテインメント用途だけでなく、リモートワークでのマルチディスプレイ環境構築など、ビジネス用途への展開も期待できる製品と言えます。

【用語解説】

マイクロOLED(Micro OLED)
シリコンウェハー上にOLED素子を形成する表示技術である。従来のガラス基板を使用するOLEDとは異なり、単結晶シリコンを基板として用いることで、4000ppiを超える極めて高いピクセル密度を実現する。10マイクロメートル以下のピクセルサイズにより、AR/VRヘッドセットや電子ビューファインダーなどのウェアラブルデバイスに最適化されている。

DisplayPort Alternate Mode(DP Alt Mode)
USB Type-Cポートを介してDisplayPort映像・音声信号を伝送するプロトコルである。USB Type-Cコネクタの24ピンのうち、4本のピン(2組の差動信号)をDisplayPortレーンとして使用し、USB PDプロトコルで機器間の通信とモード切り替えを行う。これにより、単一のUSB-Cケーブルで映像出力、データ転送、電力供給を同時に実現できる。

DCI-P3色域
Digital Cinema Initiatives(デジタルシネマイニシアチブ)が定めた映画業界向けの広色域規格である。sRGB色域と比較して約25%広い色再現範囲を持ち、より鮮やかで自然な色表現が可能となる。映像制作やエンターテインメント分野で広く採用されている標準規格である。

リフレッシュレート
ディスプレイが1秒間に画面を更新する回数を示す指標で、Hz(ヘルツ)で表される。120Hzの場合、1秒間に120回画面が更新されることを意味し、60Hzと比較して映像の動きが滑らかで残像感が少なくなる。ゲームや動きの速い映像コンテンツで特に効果を発揮する。

コントラスト比
ディスプレイが表示できる最も明るい白と最も暗い黒の輝度比を示す値である。200,000:1という数値は、最も明るい部分が最も暗い部分の20万倍の明るさを持つことを意味する。OLED技術では完全な黒表現が可能なため、液晶ディスプレイと比較して圧倒的に高いコントラスト比を実現できる。

【参考リンク】

レノボ・ジャパン公式サイト(外部)
レノボの日本における公式オンラインショップ。ThinkPad、IdeaPad、Legion、YOGAなどの主要ブランド製品を展開している

Lenovo Legion Glasses(Gen2)製品ページ(外部)
Legion Glasses(Gen2)の詳細仕様、価格、購入オプションを掲載する公式製品ページ。直接購入が可能

レノボ・ジャパン プレスリリース(外部)
レノボの日本における公式プレスリリースページ。新製品発表や企業ニュース、製品画像のダウンロードが可能

【参考記事】

Global Smart Glasses Shipments Soared 110% YoY in H1 2025(外部)
2025年上半期のグローバルスマートグラス市場調査データ。出荷台数が前年比110%増加したことを報告

Smart Glasses in 2025: The Future of Wearable Tech(外部)
2025年のスマートグラス市場動向と将来予測。2030年までに市場規模が117億4000万ドルに達すると予測

Lenovo’s Legion Glasses 2 are stylish, lighter, and better all-round(外部)
Legion Glasses第2世代の技術的改善点と初代モデルとの比較を詳述。米国価格399.99ドルと記載

【編集部後記】

デスクワークや長距離移動の多い方にとって、この軽量スマートグラスは新しい選択肢になるかもしれません。通勤中のエンターテインメントや、カフェでの作業時のプライベートディスプレイとして、あるいは旅先での映画鑑賞など、活用シーンは意外と身近にあります。視力矯正レンズフレームが付属している点も、眼鏡ユーザーには嬉しい配慮ですね。みなさんなら、このような「持ち運べる大画面」をどんな場面で使ってみたいと思われますか。新しいウェアラブル体験が、日常にどんな変化をもたらすのか、一緒に考えていければと思います。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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