Last Updated on 2024-05-31 12:49 by 門倉 朋宏
NEC Corporationと東京医科歯科大学は、慢性的な腰痛の原因を自動的に推定し、適切な運動プログラムを提供するAI技術を開発した。このデジタルツールは、スマートデバイスで撮影された画像から人間の骨格のポーズ構造を自動的に推定する。NECの2D/3D人間ポーズ推定技術を使用し、さまざまな角度から撮影された画像でも「高精度」の人間ポーズ推定を提供する。次に、骨盤と太ももの間の角度など、体の部位間の関係を評価し、関節の屈曲が不十分、適度、または過剰であるかを判断する。この技術は、従来の技術では現在不可能な、体の部位と背中の形状との関係も考慮する。さらに、NECとTMDUによって供給された医学知識を組み合わせた画像とインタビューデータを処理する独自の演繹推論技術を使用して、慢性腰痛(CLBP)の原因を推定する。この演繹推論技術は、満足度評価問題ソルバーを使用して開発され、「平均10秒以内」にこの迅速な推定を可能にする。最終的に、痛みの推定された原因に基づいて、ユーザーに適切な運動プログラム(ビデオによって提供)を推奨する。
日本では昨年、人口の29.1%が65歳以上であり、80歳以上の人口が初めて全人口の10%を超えた。国立社会保障・人口問題研究所は、2040年までに高齢者人口がほぼ35%を占めると予測している。この予測を踏まえ、CLBPの悪化や再発を軽減または防止する技術の必要性は非常に高い。CLBPは、2022年の厚生労働省の研究によると、日本で疾病や怪我の主観的症状の主要な原因である。
市場の動向として、AIの他にも仮想現実(VR)がCLBP治療の有望な手段とされている。アメリカのAppliedVRによる処方デバイスEaseVRxは、食品医薬品局(FDA)による評価研究で参加者の約30%の痛みを軽減することが確認され、これが同社のVRシステムを市場に出すためのDe NovoクリアランスをFDAから受ける根拠となった。NECとTMDUは、今年中にNECケアセンターでのテストを通じて、AIツールの有効性を検証する予定であり、首や肩の障害へのAIの応用拡大も計画している。
【ニュース解説】
NEC Corporationと東京医科歯科大学が開発したAI技術は、慢性的な腰痛(CLBP)の原因を自動的に推定し、その原因に基づいて適切な運動プログラムを提供することを目的としています。この技術は、スマートデバイスで撮影された画像から人間の骨格のポーズを高精度で推定し、体の部位間の関係や背中の形状を分析することで、腰痛の原因を特定します。さらに、演繹推論技術を用いて、画像データとインタビューデータから腰痛の原因を迅速に推定し、平均10秒以内に結果を提供します。この技術により、ユーザーは自分の腰痛の原因を理解し、それに適した運動プログラムを受けることができます。
この技術の開発背景には、日本の高齢化社会が大きく関わっています。日本では高齢者人口が増加し続けており、慢性的な腰痛は高齢者にとって大きな問題となっています。このAI技術により、腰痛の原因を正確に特定し、効果的な運動プログラムを提供することで、腰痛の悪化や再発を防ぐことが期待されます。
この技術のポジティブな側面は、腰痛の原因を迅速かつ正確に特定できる点にあります。これにより、ユーザーは自分に合った運動プログラムを受けることができ、腰痛の改善につながります。また、この技術は医療機関での診断を補助するツールとしても有用であり、医師がより効率的に患者の状態を把握し、適切な治療を行うことを支援します。
一方で、この技術にはプライバシーの懸念や誤診のリスクも伴います。ユーザーの画像データを扱うため、データの保護とプライバシーの確保が重要です。また、AIによる推定が必ずしも100%正確であるとは限らず、誤った運動プログラムが推奨される可能性もあります。そのため、この技術は医師の診断を補助するものとして使用し、最終的な治療決定は医師が行うことが重要です。
将来的には、このAI技術が首や肩の障害など、他の身体の痛みに関する原因推定と治療支援にも応用される可能性があります。また、この技術の発展により、遠隔医療や自宅でのリハビリテーション支援など、新たな医療サービスの提供が期待されます。しかし、そのためには、技術の精度向上やプライバシー保護、医療従事者との連携など、さまざまな課題を解決する必要があります。
from Japanese AI helps identify causes of chronic lower back pain.
“腰痛解消への新たな一歩!NECと東京医科歯科大、AIで適切な運動プログラムを提案” への1件のコメント
NEC Corporationと東京医科歯科大学が開発したこのAI技術は、慢性腰痛(CLBP)の問題に対して非常に革新的なアプローチを提供していると思います。特に、高齢化社会が進む日本において、このような技術の必要性は非常に高いと思われます。私自身、ITエンジニアとして働く中で、長時間のデスクワークによる腰痛を経験することが少なくありません。そのため、腰痛の原因を正確に把握し、適切な運動プログラムを提供するこのAI技術には大いに興味を持っています。
この技術が魅力的な点は、スマートデバイスで撮影された画像から人間の骨格のポーズを高精度で推定し、それを基に腰痛の原因を特定する点です。これにより、ユーザーは自身の腰痛の原因を理解し、それに合った運動を行うことができるようになります。また、この技術が医師の診断を補助し、より効率的な治療の提供を可能にするのも大きなメリットだと考えます。
一方で、プライバシー保護や誤診のリスクについても懸念されています。特に、個人の画像データを使用する以上、セキュリティやプライバシーの確保が重要になります。また、AIによる推定が必ずしも