Last Updated on 2024-06-25 05:24 by 門倉 朋宏
OpenAIが、Macユーザー向けのスクリーンシェアとコラボレーション技術に特化したニューヨーク市に拠点を置く5人のスタートアップ、Multi(旧称Remotion)を買収した。これにより、OpenAIによる公に知られている買収はこれまでに3件となる。買収の詳細条件は公開されていない。
Multiの共同創業者兼CEOであるAlexander Embiricosは、自身がOpenAIの「ChatGPTデスクトップチーム」に加わったことをXアカウントで発表した。このチームは、2024年5月に発表されたMac用ChatGPTデスクトップアプリを開発している。Multiは、AIモデルがユーザーのコンピュータを操作し、テキストや音声プロンプトに基づいて行動を実行することを可能にする技術を持っているとされる。
Multiは、現在のアプリケーションのサポートを2024年7月24日に終了し、すべてのユーザーデータを削除すると発表した。ユーザーはデータのエクスポートを促されている。
Multiはもともと2019年にRemotionとして設立され、COVID-19パンデミック時代のZoomスタイルのビデオ会議とデスクトップPCスクリーンシェアリングアプリケーションを構築することに焦点を当てていた。その後、リモートワークから離れ、技術チームがより効率的に共同作業を行えるようにするツールへと製品の焦点を移した。
【ニュース解説】
OpenAIが、Macユーザー向けのスクリーンシェアとコラボレーション技術に特化したニューヨーク市に拠点を置く小規模スタートアップ、Multi(旧称Remotion)を買収したことが明らかになりました。この買収により、OpenAIはこれまでに3件の買収を公にしています。Multiの共同創業者兼CEOであるAlexander Embiricosは、自身がOpenAIの「ChatGPTデスクトップチーム」に加わったことを発表し、このチームは2024年5月に発表されたMac用ChatGPTデスクトップアプリを開発しています。また、Multiは現在のアプリケーションのサポートを2024年7月24日に終了し、すべてのユーザーデータを削除すると発表しました。
この買収は、AI技術の進化とその応用範囲の拡大を示しています。Multiの技術は、AIモデルがユーザーのコンピュータを操作し、テキストや音声プロンプトに基づいて行動を実行することを可能にするとされています。これにより、例えば「ChatGPT、最新の勤務時間のスプレッドシートを作成してマネージャーに送信して」といった指示を出すことで、AIが実際にその作業を行うことが想定されます。
この技術のポジティブな側面としては、作業の自動化と効率化が挙げられます。ユーザーは煩雑な作業をAIに任せることで、より創造的な業務に集中できるようになるでしょう。また、リモートワークや分散型チームでのコラボレーションがさらにスムーズになる可能性があります。
一方で、潜在的なリスクも考慮する必要があります。AIによるコンピュータの操作は、セキュリティやプライバシーの懸念を引き起こす可能性があります。ユーザーの許可なくAIが行動を起こすことや、不正なアクセスに利用されるリスクがあります。そのため、この技術の導入にあたっては、厳格なセキュリティ対策とユーザーの同意が必要になるでしょう。
規制に与える影響としては、AI技術の進化に伴い、新たな法規制やガイドラインの必要性が高まる可能性があります。AIによる自動化された行動が社会に与える影響を考慮し、倫理的な枠組みを整備することが求められるでしょう。
将来への影響としては、AIと人間の協働の形がさらに進化し、新たな働き方が生まれる可能性があります。AIが単純作業を代行することで、人間はより創造的で価値の高い業務に専念できるようになるかもしれません。しかし、この変化は職種によって影響が異なり、一部の職業ではAIによる代替が進む可能性もあります。
このように、OpenAIによるMultiの買収は、AI技術の発展とその応用範囲の拡大を示す出来事であり、多くの可能性を秘めていますが、同時にセキュリティ、プライバシー、倫理的な課題も提起しています。これらの課題に対処しながら、AI技術のポジティブな側面を最大限に活用することが、今後の大きな課題となるでしょう。