Last Updated on 2024-06-25 13:58 by 荒木 啓介
ロンドンに拠点を置くスタートアップのSynthesiaは、企業がプロフェッショナルグレードのAIビデオを作成できるプラットフォームの大幅なアップデートを発表した。このアップデートには、さまざまな動作が可能な全身アバターや、カレンダーやフォームなどの要素を含むAIビデオを作成できるインタラクティブなビデオ体験が導入される。また、企業がワークフォース向けのハウツービデオなどのコンテンツを簡単に作成できる新しいAIスクリーンレコーダーも発表された。これらの機能はすぐには導入されず、一部は来月に、その他は今後数ヶ月にわたって展開される予定である。
Synthesiaは2017年にスタンフォード大学、ミュンヘン工科大学、ケンブリッジ大学のAI研究者と起業家によって設立され、企業がテキストベースのコンテンツからより魅力的なビデオコンテンツへと移行するための迅速な方法を提供することを目的としている。これまでに、Zoom、Dupont、Heineken、Electroluxなど55,000社以上のビジネスに採用されている。最近では、テキストの文脈と感情を理解し、トーンと表情を変えてスピーチを配信できる新しいExpress-1モデルのアバターをデビューさせた。
このアップデートでは、アバターのストーリーテリングの側面を強化するために、その動作の範囲を拡大している。これにより、アバターは人間が利用できる身体言語の全範囲を使用して魅力的なストーリーを語ることができるようになる。また、ユーザーはウェブカメラやモバイルカメラを使用して個人のAIアバターを作成でき、これらのアバターはより自然な声とリップシンクを持ち、30言語以上に声を翻訳する能力を持つ。
インタラクティブAIビデオでは、ユーザーはコンテンツにさまざまなクリック可能なホットスポットを統合でき、エンドビューアがクリックしてアクションを実行できるようになる。また、AIスクリーンレコーダーは、画面上で起こっているすべてをキャプチャする通常のスクリーンレコーダーとして機能し、録画を停止すると、その会社の基礎モデルがスピーカーのオーディオとオーディオのトランスクリプションを含むプロフェッショナルグレードのAIビデオを生成する。
Synthesia 2.0には、ブランドキットの追加やAIパワードビデオアシスタントを介した一括コンテンツ生成、複数のユーザーが同時にビデオプロジェクトに取り組める新しいコラボレーション機能、ワンクリック翻訳体験の改善など、いくつかの漸進的な改善が含まれる。
【編集部追記】
Synthesia オフィシャルサイト
【ニュース解説】
ロンドンに拠点を置くスタートアップ企業、Synthesiaが、企業がプロフェッショナルグレードのAIビデオを簡単に作成できるようにするためのプラットフォームの大幅なアップデートを発表しました。このアップデートでは、さまざまな動作をする全身アバターや、ユーザーがインタラクションできる要素(例えばカレンダーやフォーム)を含むAIビデオの作成が可能になるなど、複数の新機能が導入されます。また、企業が自社のワークフォース向けのハウツービデオなどのコンテンツを簡単に作成できる新しいAIスクリーンレコーダーも登場します。これらの機能はすぐには利用できず、一部は来月から、その他は数ヶ月かけて順次提供される予定です。
このアップデートは、ビデオコンテンツを通じてより魅力的で理解しやすいコミュニケーションを実現することを目指しています。特に、全身アバターの導入により、人間の身体言語を使用してストーリーを語ることが可能になり、コンテンツの表現力が大幅に向上します。また、インタラクティブAIビデオ機能により、視聴者がビデオ内の特定の要素をクリックしてアクションを起こせるようになるため、よりエンゲージメントの高いビデオコンテンツの作成が可能になります。
AIスクリーンレコーダーは、従来のスクリーンレコーダーの機能に加え、録画された内容を基にプロフェッショナルグレードのAIビデオを自動生成するという点で革新的です。これにより、企業は製品の使い方やサービスの説明など、高品質な教育・トレーニングビデオを迅速かつ簡単に作成できるようになります。
さらに、Synthesia 2.0では、企業が自社のブランドアイデンティティをビデオに組み込むためのブランドキットの追加、ビデオコンテンツの一括生成、複数ユーザーによるビデオプロジェクトの同時作業を可能にするコラボレーション機能、ワンクリックでのビデオ翻訳体験の改善など、多くの漸進的な改善が行われています。
このような技術の進化は、企業がグローバルな視聴者に対して、よりパーソナライズされ、インタラクティブなコンテンツを提供する能力を高めることに寄与します。しかし、これらの技術の導入には、プライバシーやセキュリティの観点からの慎重な検討が必要です。また、AIによるコンテンツ生成が広がるにつれ、著作権や表現の正確性に関する課題も浮上する可能性があります。長期的には、これらの技術が企業のコミュニケーション戦略に革命をもたらし、ビデオコンテンツの消費方法に大きな変化をもたらすことが期待されますが、その過程で新たな規制やガイドラインの策定が求められるでしょう。
from Synthesia announces platform update with interactive AI videos, full-body avatars.