OpenAI、ソフトバンク主導による400億ドルの巨額調達で描く未来とは…

[更新]2025年7月3日17:44

 - innovaTopia - (イノベトピア)

OpenAI、ソフトバンク主導で史上最大の400億ドル調達企業価値3000億ドルに

  • OpenAIは2025年3月31日、ソフトバンクグループ主導で400億ドル(約6兆円)の資金調達を完了
  • 企業価値は3000億ドル(約45兆円)に到達、2024年10月の1570億ドルから半年で約2倍に
  • 民間テクノロジー企業として史上最大の資金調達ラウンド

資金調達の詳細

  • 2段階で実施:
    • 第1段階:4月中に100億ドル(ソフトバンクG:75億ドル、投資家シンディケート:25億ドル)
    • 第2段階:残り300億ドルは2025年12月末までに提供予定
  • 条件:OpenAIが正式に営利企業に転換すること(未達成の場合、最大100億ドル減額の可能性)
  • 投資家シンディケートにはMicrosoft、Thrive Capital、Sequoia Capitalなどが参加

事業状況と今後の展開

  • ChatGPTの週間ユーザー数は5億人に到達
  • 「Images in ChatGPT」機能で1時間に100万ユーザーを獲得
  • 2025年1月発表の「Stargateプロジェクト」(5000億ドル規模)と連動
  • 2025年の予想収益は127億ドル、資金フロー黒字化は2029年の見込み(予測収益1250億ドル)

from: OpenAI just raised another $40 billion round led by SoftBank

【編集部解説】

OpenAIの400億ドル(約6兆円)という巨額の資金調達は、AI業界における歴史的な転換点を示しています。この調達額はAppleやGoogleなどの大手テック企業の初期投資をはるかに上回り、AIが現代のテクノロジー投資の中心になっていることを如実に示しています。

注目すべきは、この資金調達が「営利企業への完全転換」を条件としている点です。OpenAIは2015年の設立当初、AIの安全な開発を目指す非営利団体でした。しかし2019年には「キャップド・プロフィット」という特殊な構造を採用し、投資家への利益還元に上限を設けた営利子会社を設立しています。今回の条件は、この独自構造からの脱却を意味し、AIの倫理的開発と商業的成功のバランスをどう取るかという根本的な問いを投げかけています。

週間アクティブユーザー5億人という数字は、ChatGPTが既に世界人口の約6%に利用されていることを意味します。これはFacebookやInstagramの初期成長を上回るペースであり、AIが日常生活のツールとして急速に浸透していることの証左です。

一方で、2029年まで資金フローの黒字化が見込めないという予測は、AI開発の長期的な視点と莫大なコストを物語っています。特に大規模言語モデルの学習には膨大な計算資源とエネルギーが必要であり、その持続可能性は今後の重要な課題となるでしょう。

Stargateプロジェクトは、AIインフラの垂直統合を目指す戦略的な動きです。現在OpenAIはMicrosoftのAzureに大きく依存していますが、自社でデータセンターを構築・運用することで、技術開発の自由度を高め、コスト効率を改善する狙いがあります。

日本の視点から見ると、ソフトバンクグループの積極的な関与は注目に値します。孫正義会長は早くからAIの可能性に着目し、「AIレボリューション」を提唱してきました。今回の投資は、日本企業がグローバルなAI開発の中心的プレイヤーとなる可能性を示しています。

【用語解説】

OpenAI
2015年にイーロン・マスク、サム・アルトマンらによって設立された人工知能研究所兼企業。ChatGPTやDALL-Eなどの生成AIモデルを開発している。当初は非営利団体として設立されたが、現在は非営利組織と営利事業の混合構造で運営されている。

AGI(汎用人工知能)
特定のタスクだけでなく、人間のように幅広い課題に対して学習・解決できる人工知能のこと。現在のAIは特定の目的に特化した「特化型AI」だが、AGIは人間のような汎用的な知能を持つ。将棋や囲碁のAIが特化型なのに対し、あらゆるゲームをプレイでき、さらに科学研究や創作活動もできるAIがAGIにあたる。

キャップド・プロフィット構造
OpenAIが2019年に採用した独自の企業構造。投資家への利益還元に上限(キャップ)を設け、それを超える利益は非営利部門に還元される仕組み。営利企業の資金調達力と非営利団体の公益性を両立させる試みだが、今回の資金調達で見直される可能性がある。

Stargate Project(スターゲート・プロジェクト)
OpenAI、ソフトバンクグループ、Oracle、MGXが共同で立ち上げた合弁事業。今後4年間で5000億ドル(約75兆円)を投資し、米国内に巨大なAIデータセンターを構築する計画。名称は、SF作品「スターゲイト」に登場する異次元への門から取られている。

Images in ChatGPT
2025年3月にリリースされたChatGPTの新機能。テキストプロンプトから高品質な画像を生成できる。特にスタジオジブリ風のアート生成が人気を博し、リリース後わずか1時間で100万ユーザーを獲得した。

【参考リンク】

OpenAI(外部)
OpenAIの公式サイト。ChatGPTやDALL-Eなどの製品情報や企業理念が掲載されている。

ChatGPT(外部)
OpenAIが開発した対話型AI。質問に答えたり、文章を作成したりするサービス。

ソフトバンクグループ(外部)
ソフトバンクグループの公式サイト。投資ポートフォリオや企業情報が掲載されている。

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アリス
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