Last Updated on 2025-08-12 15:49 by さつき
Google ChromeでGemini AIを任意のページから利用できる新機能「Gemini in Chrome」の提供が開始された。
この機能により、ユーザーはタブを切り替えることなく、現在閲覧しているページでGemini AIにアクセスして要約や翻訳などの作業が実行できる。利用には月額19.99ドルのGoogle AI Pro、または月額249.99ドルのGoogle AI Ultraへの加入が必要で、現在は米国在住の18歳以上のユーザーのみが対象となる。
機能を有効にするには最新版のChromeで設定から「AI innovations」を選択し、アドレスバー右側の星アイコンからアクセスする。URLフィールドに「@Gemini」と入力することでも呼び出し可能である。
記事内容の要約、商品比較、テキスト翻訳のほか、Go Live機能により音声でのやり取りや会話の文字起こし機能も提供される。
From: 
You Can Use Google Gemini From Any Page In Chrome
【編集部解説】
Google ChromeへのGemini AI統合は、単なる機能追加を超えて、ウェブブラウジングの根本的な変革を示すマイルストーンです。2025年5月14日のGoogle I/Oで発表されたこの機能は、5月21日から段階的にロールアウトされています。
この新機能「Gemini in Chrome」が重要なのは、AIアシスタントがついに専用アプリからブラウザ内ネイティブ環境へと移行した点にあります。従来のGeminiは独立したアプリケーションとして動作していましたが、今回の統合により、ユーザーは閲覧中のページから離れることなく、直接AIの支援を受けられるようになりました。
技術的な側面から見ると、この統合には高度なコンテキスト理解能力が要求されます。Geminiは現在表示されているページの内容を瞬時に解析し、ユーザーの質問に対してページ固有の情報を基に回答を生成する必要があります。これは従来のコピー&ペースト方式での利用とは根本的に異なる、リアルタイム・コンテキスト処理という新しいパラダイムを実現しています。
料金体系についても注目すべき点があります。Google AI Proは月額19.99ドル（約20ドル）、Google AI Ultraは月額249.99ドル（約250ドル）という価格設定となっており、これはGoogleがAI機能をプレミアムサービスとして位置付けていることを明確に示しています。特にGoogle AI Ultraでは初回3ヶ月間50%オフという特別価格が提供されており、新規ユーザーの獲得戦略が見て取れます。
利用条件として、18歳以上の年齢制限が設けられている点も重要です。これはGoogleのAI利用ポリシーの一環として、責任あるAI利用を促進する措置と解釈できます。また、Chrome Beta、Dev、Canaryチャンネルユーザーも早期アクセスが可能となっており、開発者コミュニティへの配慮も示されています。
機能面では、単純な質問応答を超えて、複数タブ間での比較機能やウェブサイトナビゲーション自動化といった、より高次の作業支援が予定されています。これにより、従来は人間が手動で行っていた情報収集・比較・整理といった知的作業の一部をAIが代行できるようになります。
しかし、潜在的なリスクも存在します。ブラウザ内での常時AI監視はプライバシーの懸念を引き起こす可能性があり、また、AIが生成する要約や解釈に依存することで、ユーザーの批判的思考能力の低下という副作用も考えられます。
長期的な視点では、この統合はGoogleのAI生態系戦略の重要な一歩と位置付けられます。Chrome、Gmail、Docsといった同社サービス群全体でのAI統合が進む中、今回の機能は他社AI（ChatGPTなど）に対する競争優位性を確立する戦略的な動きと解釈できます。
現在は米国在住ユーザーのみという制限がありますが、将来的にはグローバル展開が予想され、ウェブブラウジング体験の標準的な機能として定着する可能性が高いと考えられます。
【用語解説】
Gemini in Chrome
Googleが開発したChrome上で直接利用できるAIアシスタント機能である。従来のWebページ版やアプリ版とは異なり、ブラウザから離れることなくAI支援を受けられる統合型システムを指す。
フローティングチャットボットウィンドウ
画面上に重ねて表示される独立したチャット形式のインターフェースである。現在閲覧中のWebページを離れることなく、AI機能にアクセスできる仕組みを実現している。
@Gemini
Chrome URLフィールドに入力することでGeminiを直接呼び出すためのコマンド記法である。URLバーから即座にAI機能を起動する新しいブラウザ操作方法を提供している。
コンテキスト理解
AIが現在表示されているWebページの内容を解析し、そのページに関連した回答を生成する技術である。従来のコピー&ペースト方式とは異なる、リアルタイム処理能力を意味する。
Chrome Beta、Dev、Canaryチャンネル
Chromeの先行リリース版を指す。Stableの前段階として新機能のテストやフィードバック収集に使用され、開発者や先端ユーザーが利用する。
【参考リンク】
Google Gemini（外部）
Googleの公式AIアシスタント「Gemini」のメインページ。文章作成、プランニング、ブレインストーミングなど、生成AIの機能を体験。
Google AI Pro & Ultra — 購読プラン（外部）
Google AI ProとUltraの詳細情報と購読手続きページ。各プランの機能比較や料金体系、特典内容を確認。
Google AI for Developers（外部）
開発者向けのGemini API情報サイト。自然言語からコード生成、AI統合開発機能に関する技術資料とドキュメント。
Google One – AI プランと機能（外部）
Google OneのAI関連プラン詳細ページ。ストレージ容量、料金体系、含まれるAI機能について日本語で詳しく解説。
【参考動画】
Google公式チャンネルによるGemini in Chromeの紹介動画。基本的な使い方と機能概要を公式が解説している。
【参考記事】
Google’s Gemini AI is coming to Chrome（外部）
2025年5月20日のGemini Chrome統合発表記事。Google I/Oでの発表内容と機能デモの詳細を報告。
Google is launching a Gemini integration in Chrome（外部）
TechCrunchによるGemini Chrome統合の包括的解説記事。機能詳細、利用条件、将来展望について詳しく分析。
Google announces AI Ultra subscription plan（外部）
Google公式ブログによるAI Ultra発表記事。月額249.99ドルのプレミアムプランと初回3ヶ月50%オフ特典について詳述。
Is Google AI Ultra Worth $250/Month?（外部）
AI Ultra planの価値分析記事。料金体系、30TBストレージ、YouTube Premium含有、18歳以上年齢制限など詳細な機能解説。
Gemini in Chrome: How to Enable and Use Page-Aware AI（外部）
Chrome 137以降での詳細な設定方法とBeta、Dev、Canaryチャンネルでのアクセス方法について技術的解説を実施。
【編集部後記】
今回ご紹介したGemini in Chromeは、私たちの日常的なブラウジング体験を根本から変える可能性を秘めています。皆さんは普段、長い記事を読む際や海外サイトを閲覧する際に、どのような課題を感じていらっしゃいますか？
月額20ドルという料金設定や18歳以上という年齢制限についても、現在のAI利用状況と照らし合わせて、果たして投資に見合う価値があるのか気になるところです。また、ブラウザ内でのAI常時利用が当たり前になった時、私たちの情報処理能力や思考プロセスにはどのような変化が起こるでしょうか？
