Zoomlionの適応型・ヒューマノイドロボット、長沙スマート工業都市での大規模運用

Zoomlionの適応型・ヒューマノイドロボット、長沙スマート工業都市での大規模運用 - innovaTopia - (イノベトピア)

Zoomlion Heavy Industry Science & Technology Co., Ltd.(1157.HK)は、8月8日から12日まで北京で開催された2025年世界ロボット会議において、産業用ロボットとヒューマノイドロボットの最新技術を展示した。同社のZValley Technology Co. Ltd.のゼネラルマネージャーの曽光氏が発表を行った。

Zoomlionのロボティクス開発は2006年に開始され、2019年から視覚と力覚センシングを備えた適応型ロボットを配備している。長沙のZoomlion Smart Industry Cityでは、2,000台を超える適応型ロボットが300の知能ラインで稼働し、クレーン、掘削機、高所作業車、コンクリート機械を製造している。

2024年からヒューマノイドロボット開発を本格化し、車輪型2機種と二足歩行型1機種の計3モデルを開発した。これらは機械加工、物流、組立、品質検査で数十台がパイロット運用されている。同社は100を超えるワークステーションを持つ訓練施設を建設し、AIネイティブクラウドプラットフォームを立ち上げた。

同社の産業インターネットプラットフォームは世界中で170万台を超える機器を接続し、18カテゴリー、600を超えるモデルから30,000を超えるデータパラメータを収集している。

From: 文献リンクZoomlion Showcases Robotics Innovations at World Robot Conference, Driving the Future of Smart Manufacturing

【編集部解説】

今回のニュースは、中国の建機メーカーZoomlionが世界ロボット会議で披露したロボット技術の発展を示していますが、単なる製品発表以上の意味を持ちます。

最も注目すべき点は、同社が産業用ロボットからヒューマノイドロボットへと段階的に進化させてきた戦略的アプローチです。2006年からの約20年という長期間をかけて技術蓄積を行い、2019年に視覚と力覚センサーを備えた適応型ロボットを実用化し、2024年からヒューマノイドロボット開発を本格化させています。これは一般的な「一足飛び」の技術開発とは対照的な、着実な発展パターンを示しています。

長沙のZoomlion Smart Industry Cityで運用されている2,000台を超える適応型ロボットと300の知能ラインという規模は、同社の実装力の高さを物語っています。特に「数分でのモデル切り替え」という機能は、従来の大量生産から多品種少量生産への製造業の変化に対応した重要な技術革新といえるでしょう。

今回発表されたヒューマノイドロボットの特徴である「全シーン多重モーダル知覚」や「双腕協働動作計画」は、産業用ロボットでは困難だった複雑な作業への対応を可能にします。これにより、機械加工や組立といった精密作業から物流まで、より幅広い業務の自動化が実現できます。

170万台を超える機器を接続する産業インターネットプラットフォームから30,000を超えるデータパラメータを収集している点も重要です。このビッグデータがロボットの学習能力向上に直結し、継続的な性能改善を可能にしています。

一方で、このような大規模なロボット化による労働市場への影響や、自己決定機能を持つロボットの安全性確保といった課題も浮上してきます。特に「自己意思決定能力を持つスマートファクトリー」という表現は、人間とロボットの協働における新たなガバナンスの必要性を示唆しています。

【用語解説】

適応型ロボット
環境の変化に応じて動作を調整する機能を持つロボット。視覚や力覚センサーを備え、従来の固定プログラムではなく、状況に応じた柔軟な制御を実現する。

ハイミックス・ローボリューム生産
多品種少量生産の意味。従来の大量生産とは対照的に、多様な製品を少量ずつ効率的に製造する手法。

多重モーダル知覚
視覚、聴覚、触覚など複数の感覚を統合して環境を認識する技術。人間の五感に近い情報処理能力をロボットに与える。

双腕協働動作計画
2本のアームが連携して作業を行うための動作を事前に計算・計画する技術。人間の両手作業を模倣した高度な制御を可能にする。

AIネイティブクラウドプラットフォーム
AI機能を前提として設計されたクラウド基盤。機械学習やデータ処理に最適化されている。

【参考リンク】

Zoomlion公式サイト(外部)
1992年設立の中国最大手重機メーカーの公式サイト。建設機械、農業機械、高所作業車など幅広い製品ラインナップを展開する企業情報を掲載。

Zoomlion Japan(外部)
中国重機メーカーZoomlionの日本法人サイト。主にコンクリート圧送車の輸入・販売を行っており、日本市場での事業展開情報を提供している。

Zoomlion Access(高所作業車)
(外部)Zoomlionの高所作業車部門の専用サイト。シザーリフト、ブームリフト、フォークリフトなど各種高所作業機械の製品情報とサービスを提供している。

【参考動画】

【参考記事】

Zoomlion Showcases Robotics Innovations at World Robot Conference, Driving the Future of Smart Manufacturing(外部)
2025年世界ロボット会議でのZoomlionの技術展示について報告。産業用・ヒューマノイドロボットの開発経緯と、長沙スマート工業都市での2,000台超のロボット運用実績を詳述。

The 2025 “Top Ten Technology Tackling Projects” were …(外部)
湖南省の重点技術プロジェクトに選定されたZoomlionの物流ロボット開発計画について解説。5つの主要技術課題の克服状況と経済効果への期待を報告。

“Technology Fuels the New Era”:Zoomlion Smart City Fully …(外部)
長沙のZoomlionスマート工業都市の詳細情報。8つの灯台工場と300の知能生産ラインを計画し、掘削機6分間隔での生産を実現する先進製造クラスターの概要を紹介。

【編集部後記】

Zoomlionの20年かけた段階的なロボット進化は、私たちの働き方の未来を考える重要なヒントを与えてくれます。産業用ロボットからヒューマノイドロボットへの発展により、これまで人間にしかできなかった繊細な作業も自動化される可能性が高まっています。

皆さんの職場でも、近い将来このような協働ロボットが導入されるかもしれません。その時、私たちはロボットとどのような関係を築いていけばよいのでしょうか。また、自己決定能力を持つロボットが普及する社会で、人間の役割はどう変化していくと思われますか。ぜひコメントで皆さんのご意見をお聞かせください。

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TaTsu
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