画像はGoogle公式より引用
GoogleはMade by Google 2025イベントでPixel 10 Pro Foldを発表した。価格は1,799ドルからで、MoonstoneとJadeの2色展開となる。16GBのRAMと最大1TBのストレージを搭載する。日本価格は256GB:267,500円、512GB:287,500円。
新しいギアレスヒンジを採用し、Pixel 9 Pro Foldのヒンジと比較して2倍の耐久性を実現した。10年以上の折りたたみに対応する。内側ディスプレイは折りたたみスマートフォンで最大の8インチ、外側ディスプレイは6.4インチとなった。8インチのSuper Actual Flexディスプレイには超薄ガラスと二重層の耐衝撃フィルムを使用している。
IP68の防水・防塵性能を初搭載し、バッテリーは最大30時間持続、30分で50%充電が可能だ。ディスプレイ輝度は前機種より11%向上し、最大3,000ニットのピーク輝度を達成した。Qi2充電を内蔵した初の折りたたみスマートフォンとなる。
カメラは48MPの広角、5倍望遠レンズ(最大20倍のSuper Res Zoom)、超広角レンズを搭載する。Tensor G5チップを搭載し、TPUは最大60%、CPUは平均34%の性能向上を実現した。Gemini Nanoモデルを実行し、20以上の生成AI体験を提供する。予約注文は本日開始、10月9日に発売される。
From: Google unveils its $1,799 Pixel 10 Pro Fold
【編集部解説】
今回のPixel 10 Pro Foldは、激化する折りたたみスマートフォン市場において、Googleが技術的優位性を示す戦略的な製品として位置づけられます。特に注目すべきは、業界初となるIP68の完全防水・防塵性能の実現です。
従来の折りたたみスマートフォンが抱えていた最大の弱点は、砂やホコリなどの微細な異物がヒンジ部分に侵入することでした。Samsung Galaxy Z Fold 7でもIP48(1mm以上の固形物のみ保護)に留まる中、Googleが完全な防塵性能を達成したことは技術的なブレイクスルーといえるでしょう。これにより、ビーチや屋外での利用という、これまで「タブー」とされていたシーンでも安心して使用できるようになります。
競合他社との競争激化という観点から見ると、2025年は折りたたみスマートフォン市場にとって転換点の年です。TrendForceによると、世界の折りたたみスマートフォン出荷台数は2025年に1,980万台に達し、市場シェアは1.6%を維持する見込みです。Samsung が2024年の45.2%から2025年には35.4%へとシェアを落とす一方で、Huawei(34.3%)、Honor(9.1%)、Motorola(7.6%)が急成長を遂げています。
この競争環境において、Googleのアプローチは「薄型化よりも耐久性」を重視した戦略が明確です。Galaxy Z Fold 7が215g(7.6オンス)の軽量化を実現した一方で、Pixel 10 Pro Foldは258g(9.1オンス)と重量を維持し、その代わりに5,015mAhの大容量バッテリーと30時間の連続使用を可能にしています。
特に重要なのは、2026年に予定されているAppleの折りたたみiPhoneの存在です。複数の信頼性の高い情報源によると、AppleはiPhone 18シリーズと並行して、7.8インチの内側画面と5.5インチの外側画面を持つbook-style folding mechanismの折りたたみiPhoneを2026年第2四半期にリリースする予定です。価格は$2,000前後と予想されており、Ming-Chi Kuoによる分析では「crease-free(折り目が見えない)」ディスプレイ技術を実現するとされています。
JPMorganは、Appleの折りたたみスマートフォンの市場参入により2028年までに4,500万台の売上を予測しており、これが市場全体の大幅な拡大をもたらすと分析しています。Appleの参入が確実視される中、Googleが今回示したIP68防水・防塵性能は先行者としての技術的アドバンテージを確立する重要な要素となります。
Tensor G5チップの性能については、シングルコア2,276点、マルチコア6,173点のGeekBenchスコアを記録し、前機種比でそれぞれ16%、33%の向上を実現しました。ただし、Snapdragon 8 Elite(3,070/9,251点)には及ばず、Google独自のAI処理に特化した設計思想が読み取れます。
価格戦略においても重要な意味があります。Samsung が$2,000からの価格設定を行う中、Googleは$1,799という据え置き価格を維持することで、市場参入障壁を下げる戦略を取っています。これは折りたたみスマートフォンの大衆化を加速させる可能性を秘めています。
規制面では、C2PA Content Credentialsの対応により、AI編集の透明性確保に向けた先進的な取り組みを開始しました。画像の改変履歴を暗号学的に保証するこの仕組みは、今後のAI時代における情報の信頼性確保において重要な意味を持ちます。
長期的な視点では、このデバイスが折りたたみスマートフォンの「実用化」を決定づける製品になる可能性があります。防水・防塵性能とQi2対応により、折りたたみスマートフォンは「特別なデバイス」から「日常的なツール」へと進化する転換点を迎えたといえるでしょう。2026年にAppleの市場参入が予想される中、Googleが今回示した技術的アドバンテージがどこまで持続するかが注目されます。
【用語解説】
IP68 – 国際電気標準会議(IEC)が定める防塵・防水規格の最高レベル。「6」は固体異物(ホコリや砂など)の完全な侵入防止、「8」は水深1.5m以上での長時間の水没に対する保護を示す。
Tensor G5 – Googleが開発した独自の人工知能処理に特化したモバイルプロセッサ。TSMCの3nmプロセスで製造され、機械学習処理に特化したTPU(Tensor Processing Unit)を内蔵する。
TPU(Tensor Processing Unit) – Googleが開発したAI処理専用のプロセッサユニット。従来のCPUと比較してAI処理を高速かつ効率的に実行できる。
Gemini Nano – Googleの次世代AIモデル「Gemini」の軽量版。スマートフォン上で動作するように最適化されており、クラウドに接続せずにデバイス内でAI処理を実行できる。
Qi2 – ワイヤレス充電の新規格。従来のQi規格に磁気アライメント機能を追加し、充電効率と利便性を向上させたApple MagSafe互換技術。
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【参考動画】
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【編集部後記】
折りたたみスマートフォンがついに「日常使い」できるレベルに到達したことを、皆さんはどう感じられるでしょうか。IP68防水・防塵性能の実現により、これまで「特別なガジェット」だった折りたたみスマホが、雨の日やアウトドアでも安心して使える実用的なデバイスへと進化しました。
8インチの大画面でマルチタスクを駆使した新しいワークスタイルや、オンデバイスAIによるプライベートな生成AI体験など、私たちの働き方や創作活動にどのような変化をもたらすのか、一緒に考えてみませんか。皆さんなら、この大画面をどんな用途で活用されるでしょうか。