Instagramは木曜日、クリエイターがリール同士をリンクできる新機能「リンクされたリール」を発表した。
この機能により、視聴者はエピソード形式でコンテンツを追うことが可能になる。新しくアップロードされたリールと以前に公開されたリールの両方をリンクできるが、親しい友人や購読者限定で共有されたコンテンツは対象外となる。
リールをアップロードする際、クリエイターはキャプション欄の下に「リールをリンク」オプションが表示される。既存のリールを選択してリンクし、接続に最大15文字のタイトルを付けることができる。過去の投稿を編集することで遡及的にリンクすることも可能で、いつでもリンクを編集または削除できる。
Instagramはこの機能がクリエイターのフィードバックに基づくものであり、プラットフォーム上でのエピソード的なストーリーテリングをサポートするツールへの需要を反映していると述べた。グローバル展開の時期は明らかにしていないが、今後数週間で広く利用可能になると予想される。
From: Instagram brings Linked Reels: Here’s what it means and how you can use it
【編集部解説】
short-form動画市場において、Instagramは後発でありながらも、ユーザー体験の向上により差別化を図ろうとしています。
技術的な観点から見ると、この機能によってクリエイターは従来の「Part 2はプロフィールから」という煩雑な誘導から解放されます。視聴者は画面下部左側に表示される「次のリール」ボタンをタップするだけで、シリーズの続きにアクセスできるようになります。これは視聴体験の大幅な改善を意味します。
この機能が与える影響範囲は多岐にわたります。教育コンテンツやハウツー動画では、複雑な内容を段階的に説明することが容易になります。料理レシピや旅行記録、フィットネス指導など、連続性のあるコンテンツ制作者にとって特に有用な機能となるでしょう。
一方で、潜在的なリスクも考慮する必要があります。シリーズ化によってコンテンツの複雑性が増し、クリエイターがより多くの時間と労力を投資する必要が生じる可能性があります。また、視聴者の注意持続時間に過度に依存する戦略は、長期的に見て疲労感を与える恐れもあります。
長期的な視点では、この機能はInstagramのアルゴリズムにも影響を与える可能性があります。リンクされたリール間の視聴継続率は、新たな重要指標となり、プラットフォーム全体のコンテンツ評価基準を変化させるかもしれません。これにより、単発の話題性よりも、持続的な視聴価値を持つコンテンツが優遇される環境が生まれることが予想されます。
【用語解説】
Reels(リール)
Instagramが2020年に導入した短編動画投稿機能。15秒から90秒の縦型動画を作成・共有でき、音楽やエフェクトを追加できる。TikTokの対抗機能として位置づけられている。
エピソード形式
連続性のあるストーリーを複数の部分に分けて提供する手法。テレビ番組のように「第1話」「第2話」といった形で内容を継続的に展開する。
クリエイターエコノミー
インフルエンサーやコンテンツ制作者が自身の創作活動を通じて収益を得る経済圏のこと。ソーシャルメディアプラットフォームが提供する機能を活用してファンとの関係を構築し、収入を得る仕組み。
【参考リンク】
Instagram公式サイト(外部)
自分を表現し、大切な人とつながる写真・動画共有プラットフォーム。世界中で利用されているソーシャルメディア。
Instagram for Creators(外部)
クリエイター向けの公式情報サイト。コンテンツ制作のヒントや最新機能の使い方、成功事例などを提供している。
About Meta(外部)
Meta(旧Facebook)の公式ニュースサイト。Instagram、Facebook、WhatsAppなどの新機能や企業方針について発表している。
【参考記事】
Instagram rolls out reels linking feature – Times of India(外部)
Instagramが新機能を段階的に展開しており、クリエイターがシリーズ形式のコンテンツを作成できるようになったと報じている。
Instagram’s new feature to let creators link multiple reels in a series(外部)
新機能がクリエイターのブランディングとマーケティング戦略に与える影響について分析。特に教育系コンテンツでの活用可能性を詳述。
Instagram Launches Reel Linking For Series Style Storytelling(外部)
この機能がデジタルマーケティング業界に与える技術的・戦略的影響について詳細に分析。TikTokとの競争関係について言及。
Instagram New Features Every Marketer Should Know: 2025 Edition(外部)
2025年のInstagram新機能全般について包括的に解説。リール連携機能以外にもAI機能やクイズ機能など、マーケター向けの最新動向を網羅。
【編集部後記】
みなさんは普段、Instagramでコンテンツを見ている時、「Part 2はプロフィールから」という文言を見かけませんか?多くのクリエイターが苦肉の策として使っていたこの手法が、今回の新機能によって根本的に変わりそうです。特に注目したいのは、この機能がマーケティング戦略にもたらす可能性です。
従来はプロフィールへの誘導やタイアップコンテンツへの導線作りに手間がかかっていましたが、リンク機能により「ストーリー導入→商品紹介→購入誘導」といった自然な流れを一つのシリーズで完結させることができるようになります。教育系コンテンツでは基礎編から応用編へと段階的に視聴者を引き込み、最終的に有料サービスへの申し込みまで誘導する、まさに「エンゲージメント・ファネル」の構築が可能です。
15文字という制限はあるものの、各リールに明確な役割を持たせることで、視聴者にとっても価値のある連続体験を提供できるのではないでしょうか。この機能が普及すれば、Instagramはエンターテイメントプラットフォームから、より戦略的なビジネスツールへと進化していくかもしれませんね。みなさんならどんなシリーズで活用してみたいですか?