AI投資1.5兆ドル時代到来、ガートナーが予測するGenAI製品の価格上昇

[更新]2025年9月19日06:46

AI投資1.5兆ドル時代到来、ガートナーが予測するGenAI製品の価格上昇 - innovaTopia - (イノベトピア)

ガートナーは2025年の世界AI支出が約1.5兆ドルに達すると予測した。このうち最適化サーバーに2,680億ドルが投じられる。

AIサーバー支出は2024年の1,400億ドルから2026年には3,300億ドルに倍増し、従来型サーバー市場を上回る。2027年には3,800億ドルまで増加する見込みだ。2026年までに全世界のAI支出は2兆ドルを超え、スマートフォンやPCなどのAI統合製品とインフラが主導する。

ガートナーの著名VPアナリストであるジョン・デヴィッド・ラブロック氏は、GenAIがテレビ、電話、車、トースター、ストリーミングサービスなど全てのテクノロジーに組み込まれると述べた。エンタープライズソフトウェアは組み込まれたGenAIにより価格が上昇する。

ラブロック氏は以前、市場が少数の独立ベンダーしか維持できないためGenAIモデルプロバイダー間で淘汰が起こると予測していた。

From: 文献リンクAI in your toaster: Gartner tips $1.5T global spend in 2025

【編集部解説】

ガートナーが発表したAI投資予測は、テクノロジー業界における歴史的な転換点を示している数字といえるでしょう。2025年に1.5兆ドルという規模は、これまでの技術革新とは桁違いの投資額です。

特に注目すべきは、AIサーバー投資が従来型サーバー市場を上回るという予測です。ラブロック氏が指摘するように、2000年以降に蓄積された全ての従来型サーバー投資を、わずか5年間のGenAIサーバー投資が上回るという事実は、AI技術がもたらすパラダイムシフトの規模を物語っています。

この巨額投資の背景には、AI機能の「ユビキタス化」があります。スマートフォンPCだけでなく、家電製品や自動車まで、あらゆるデバイスにGenAI機能が組み込まれる未来が現実味を帯びてきました。

エンタープライズ領域では、ソフトウェアの価格上昇と引き換えに生産性向上が期待されています。ラブロック氏が法律業界でのワードプロセッシング導入と比較したように、AI技術は単純な効率化を超えて業界構造そのものを変革する可能性を秘めています。

一方で、GenAIモデルプロバイダーの淘汰も予想されており、資本力のある少数企業への集約が進む見込みです。これは技術の寡占化というリスクを孕んでいますが、同時に安定したAIサービス提供基盤の構築にもつながるでしょう。

消費者にとっては、AI機能付きデバイスやサービスの価格上昇が避けられない状況となりそうです。しかし、その対価として得られる利便性や生産性向上が、投資に見合った価値を提供できるかが今後の鍵となります。

【用語解説】

ガートナー(Gartner)
世界最大級のIT調査・コンサルティング会社。企業のIT戦略策定に関する調査レポートやアドバイザリーサービスを提供し、テクノロジー市場の動向予測で高い信頼性を持つ。

GenAI(Generative AI)
生成AI。テキスト、画像、音声、動画などのコンテンツを自動生成する人工知能技術。ChatGPTやDALL-E、Stable Diffusionなどが代表例である。

AIサーバー
AI処理に特化したサーバー。GPU(グラフィック処理装置)やTPU(テンソル処理装置)など、機械学習の演算に最適化されたハードウェアを搭載している。

ユビキタス化
コンピューティング技術があらゆる場所、あらゆるデバイスに組み込まれ、日常生活に溶け込む状態。「いつでも、どこでも」技術にアクセスできる環境を指す。

【参考リンク】

Gartner(外部)
世界最大級のIT調査・コンサルティング会社。テクノロジー市場の動向予測、企業のIT戦略支援、各種調査レポートの発行を行っている。

The Register(外部)
英国発のテクノロジーニュースサイト。IT業界の最新動向、企業の動き、技術解説などを幅広くカバーし、辛口な視点での報道で知られる。

【参考記事】

Gartner Forecasts Worldwide AI Software Revenue to Reach $297 Billion in 2027(外部)
ガートナーの公式プレスリリース。AIソフトウェア収益が2027年に2,970億ドルに達するとの予測を発表し、エンタープライズ向けAIアプリケーションの急成長を示した。

【編集部後記】

皆さんが普段使っているスマートフォンや家電製品に、今後AI機能がどんどん追加されていく時代が始まろうとしています。便利になる一方で、製品価格の上昇は避けられそうにありません。

私たちの生活にとって本当に必要なAI機能とは何でしょうか。また、AI投資の巨額化が進む中で、どのような企業や技術が生き残っていくと思われますか。皆さんがAI搭載製品を選ぶ際の基準や、期待する機能があれば、ぜひお聞かせください。一緒に考えていきたいと思います。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

読み込み中…
advertisements
読み込み中…