DJI Mini 5 Pro、1インチCMOSセンサー搭載ながら米国市場から締め出し

DJI Mini 5 Pro、1インチCMOSセンサー搭載ながら米国市場から締め出し - innovaTopia - (イノベトピア)

DJIが新製品Mini 5 Proを発表した。世界初の1インチCMOSセンサーを搭載したミニドローンで、5000万画素の撮影が可能である。

ジンバルは225度の完全回転に対応し、4K/60fps HDR14ストップのダイナミックレンジでの動画撮影ができる。4K/120fpsのスローモーション録画機能も搭載している。

10ビットカラーHLGD-Log Mをサポートする。標準バッテリーで最大36分、オプションのBattery Plusで最大52分の飛行時間を実現している。

前方向きのLiDARと複数のビジョンセンサーによるNightscape全方向障害物センシング機能を備える。

DJI RC-N3リモートコントローラー付きの標準バンドルは769ドルFly More Combo929ドルDJI RC 2付きのFly More Combo1,039ドルIntelligent Flight Battery Plus付きは1,109ドルで価格設定されている。

DJIMini 5 Proを米国のオンラインストアでは正式販売しないことを確認した。

From: 文献リンクThis new DJI drone is epic but Americans will lose out

【編集部解説】

DJI Mini 5 Proの発表は、コンシューマー向けドローン市場に大きな変化をもたらす製品といえます。特に注目すべきは、250g以下のドローンとして世界で初めて1インチCMOSセンサーを搭載した点です。

これまでMiniシリーズ1/1.3インチセンサーが最大でしたが、新モデルでは大幅な大型化を実現しました。1インチセンサーの採用により、ノイズ耐性が大幅に向上し、低照度環境での撮影性能が従来機とは次元の異なるレベルに到達しています。

技術的な側面では、前方向きのLiDARの搭載が革新的です。これまでのビジョンセンサーだけでは限界のあった暗所での障害物検知が、極低照度環境でも機能するようになりました。これは実用性を大きく向上させる改良といえるでしょう。

225度回転ジンバルの導入も見逃せません。これによりダッチアングルや真の縦向き動画撮影が可能になり、SNS時代のコンテンツ制作ニーズに的確に対応しています。4K/120fpsのスローモーション撮影機能と併せて、プロレベルの映像制作が手のひらサイズで実現できる環境が整いました。

一方で、米国市場での正式販売見送りは深刻な問題です。これは単なるビジネス判断ではなく、中国系テクノロジー企業を取り巻く地政学的緊張の現れといえます。2025年末までにセキュリティ審査を通過しない場合の自動禁止措置が控えており、DJIは慎重な姿勢を取らざるを得ない状況にあります。

この状況は、グローバル技術サプライチェーンの分断が進む象徴的な事例でもあります。優れた技術を持つ製品が、政治的要因により市場アクセスを制限される現実は、業界全体に長期的な影響を与える可能性があります。消費者にとっては選択肢の制限を意味し、技術革新の恩恵を平等に受けられない状況が生まれています。

【用語解説】

1インチCMOSセンサー
デジタル撮影における光センサーの規格で、対角線約15.86mmのサイズを持つ。一般的なスマートフォンカメラの約7倍の面積を持ち、より多くの光を取り込めるため画質とノイズ耐性が大幅に向上する。

LiDAR(Light Detection and Ranging)
レーザー光を照射して反射時間から距離を測定する技術。暗闇でも正確な距離測定が可能で、自動運転車やドローンの障害物検知に使われる。

ジンバル
カメラの揺れを補正する機械式安定化装置。3軸または2軸で回転し、飛行中の振動や風の影響を打ち消して滑らかな映像を撮影できる。

HDR(High Dynamic Range)
明暗差の大きなシーンでも白飛びや黒つぶれを抑えて撮影する技術。複数の露出で撮影した画像を合成することで、人間の目に近い自然な階調表現を実現する。

D-Log M
DJI独自の動画記録プロファイル。通常より低コントラストで記録することで、後の編集で色調整の自由度を高める業務用映像制作手法。

【参考リンク】

DJI Mini 5 Pro 公式サイト(外部)
DJI Mini 5 Proの詳細スペック、価格、機能説明を掲載する日本語公式ページ

DJI 公式ストア(外部)
DJIの全製品を扱う公式オンラインストア。保証やサポートも充実している

【参考記事】

DJI’s Mini 5 Pro is the latest must-have drone – The Verge(外部)
1インチセンサーによる画質向上と具体的なスペック比較を詳述した技術記事

DJI Mini 5 Pro: Official Description, Full Specifications(外部)
発表前に流出した公式スペック情報を詳細に分析した専門サイト記事

DJI Mini 5 Pro Price, Major Specification and Released Date(外部)
技術仕様の詳細比較と市場への影響を分析したカメラ専門メディア記事

【編集部後記】

今回のDJI Mini 5 Proは、まさに「技術の民主化」を体現した製品だと感じています。250g未満のドローンでプロレベルの映像制作が可能になったことで、これまで高額な機材や専門知識が必要だった空撮の世界が、より身近なものになりました。

一方で、地政学的な要因により優れた技術へのアクセスが制限される現実も目の当たりにしています。皆さんは、このような技術革新と政治的制約のジレンマについて、どのようにお考えでしょうか。また、今後のクリエイティブ活動において、どのような撮影表現に挑戦してみたいと思われますか。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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