Facebook Reels、新鮮なコンテンツを50%増表示へ – AI時代のフィード最適化戦略

[更新]2025年10月9日08:31

Facebook Reels、新鮮なコンテンツを50%増表示へ - AI時代のフィード最適化戦略 - innovaTopia - (イノベトピア)

Facebookは2025年10月7日、Reelsのアルゴリズムをアップデートした。Facebook製品担当副社長のJagjit ChawlaがCNETの独占インタビューで詳細を明かした。

今回のアップデートでは、スクロールしている当日に投稿されたReelsを50%多く表示し、新しいコンテンツを優先する。Facebookの内部テストでは、最近の動画を優先することでユーザーのアプリへの再訪を促進できることが判明した。同社は動画視聴時間が前年比20%増加したと報告している。

新機能として、TikTok動画下部の灰色の検索提案に似たAI搭載の検索提案機能を追加する。これはMetaが別途進めているパーソナライズド広告のためのAIインタラクション利用とは別のものである。さらにInstagramと同様のフレンドバブル機能も導入され、友人がいいねした投稿を確認できるようになる。

AI生成コンテンツについてChawlaは、OpenAIのSoraやMidjourneyで作成された動画も人間が生成したコンテンツと同じように扱われると説明した。ユーザーが「興味なし」ボタンをタップするなどの否定的な信号を送れば、アルゴリズムはそれを真剣に受け止めて調整すると述べた。

From: 文献リンクFacebook’s Algorithm Update Aims to Show You Reels You’ll Actually Like, Even if They’re AI – CNET

【編集部解説】

今回のFacebookのアルゴリズムアップデートは、ソーシャルメディアプラットフォームにおけるAI生成コンテンツの扱いという、2025年現在最も議論を呼んでいるテーマに正面から向き合った施策です。特に注目すべきは、MetaがAI生成動画を人間制作のコンテンツと「同等に扱う」と明言した点でしょう。

この方針は一見中立的に見えますが、実際にはユーザー行動データに基づいた高度なパーソナライゼーションを意味しています。つまり、AI生成コンテンツを好むユーザーにはより多くのAI動画が、逆にそれを嫌うユーザーには表示を抑制するという仕組みです。

ここで重要になるのが「興味なし」ボタンの役割です。Chawla副社長が強調したように、肯定的な信号(いいね、シェア)に比べて否定的な信号は相対的に少ないため、アルゴリズムはこれを「より真剣に」受け止めます。これは、ユーザーが自分のフィード環境を能動的に設計できる権限を得たことを意味します。

一方で、50%増加という新規コンテンツの優先表示には、クリエイターエコノミーへの影響も考慮する必要があります。従来のバイラル動画が長期間フィードに残り続けるモデルから、TikTok型の「鮮度重視」モデルへのシフトは、コンテンツ制作者に高頻度の投稿を促す圧力となるでしょう。

記事中で指摘されているように、AI検出技術が「完璧には程遠い」という現状も見逃せません。MidjourneyやOpenAIのSoraのような生成AIツールが急速に進化する中、プラットフォーム側のラベリングシステムだけでは追いつかない現状があります。結果として、ユーザー自身が能動的にフィードをキュレーションする責任が増しているのです。

長期的には、この施策は「本物で人間主導のコンテンツ」の価値を相対的に高める可能性があります。AI生成物が溢れる環境下では、逆説的に人間らしさや真正性(オーセンティシティ)が差別化要因となる。これは、テクノロジーの進化が人間性の価値を再定義するという、現代社会が直面する重要な変化として捉えるべきだと言えるでしょう。

【用語解説】

フレンドバブル
友人がいいねやリアクションをした投稿に表示される、その友人のプロフィール写真アイコン。タップすることでダイレクトメッセージを開始できる機能。

AIスロップ
低品質なAI生成コンテンツを指す俗語。大量生産された粗悪なAI画像や動画を批判的に表現する際に使われる。

Sora(ソラ)
OpenAIが開発したテキストから動画を生成するAIモデル。テキストプロンプトから最大60秒の高品質な動画を生成できる。

Midjourney(ミッドジャーニー)
テキストから高品質な画像を生成するAI画像生成サービス。Discord上で動作し、芸術的で写実的な画像を作成できることで知られる。

【参考リンク】

Facebook – Meta公式サイト(外部)
Metaが運営するFacebookの公式情報サイト。プラットフォームのアップデート情報、企業ニュース、プライバシーポリシーなどを提供

Meta AI – AI技術情報ページ(外部)
Metaの人工知能研究と開発に関する公式ページ。AI技術の詳細、研究論文、オープンソースプロジェクトなどを公開

OpenAI – Sora公式ページ(外部)
OpenAIが開発する動画生成AI「Sora」の公式情報ページ。技術概要、デモ動画、安全性への取り組みなどを掲載

Midjourney公式サイト(外部)
AI画像生成サービスMidjourneyの公式サイト。サービスの利用方法、生成された作品のギャラリー、コミュニティ情報を提供

Meta Transparency Center(外部)
Metaがプラットフォームの透明性を高めるために運営。アルゴリズムの仕組み、コンテンツポリシー、データ利用方法などを解説

【参考記事】

Facebook updates its algorithm to give users more control over which videos they see – TechCrunch(外部)
当日投稿のReelsを50%多く表示する点、AI搭載検索機能、フレンドバブル機能の3つの主要アップデートを詳述した記事

Facebook Gives Users More Control Over The Videos They See – We Are Social Media(外部)
「興味なし」ボタンの重要性と、アルゴリズムが否定的フィードバックを肯定的フィードバックよりも重視する仕組みを解説

Meta makes Facebook Reels more like their Instagram counterparts – Engadget(外部)
FacebookのReelsがInstagramの機能に近づいている点に焦点。フレンドバブル機能の導入や動画の長さの好みも学習する新機能を報告

Facebook Reels Algorithm Will Suggest Videos You’ll Like, Similar to TikTok’s You Page – Tech Times(外部)
TikTokの「For You」ページとの比較を中心に、Facebookのレコメンデーションシステムの進化を分析した記事

Finding and Sharing Reels on Facebook Just Got Easier and More Fun – Meta公式ブログ(外部)
Meta公式による今回のアップデートの発表記事。新機能の詳細と、友人や家族とのつながりを強化するという同社のビジョンを説明

【編集部後記】

皆さんのFacebookやInstagramのフィードには、どれくらいAI生成コンテンツが流れてきているでしょうか。気づかないうちに、多くのAI生成動画を目にしているかもしれません。今回のアップデートで重要なのは、「興味なし」ボタンという小さなアクションが、自分のフィード環境を大きく変える力を持っているということです。プラットフォーム側が提供するコンテンツを受動的に消費するのではなく、能動的にキュレーションする時代が本格的に始まりました。

皆さんは今後、どんなコンテンツをフィードで見たいと思いますか?そして、人間が作った「本物」と、AIが生成した「高品質」の間で、何を価値基準とするでしょうか。この問いは、私たち一人ひとりがソーシャルメディアとどう向き合うかを考える良い機会かもしれません。

投稿者アバター
omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。

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