PLAUD株式会社は2025年10月8日、渋谷スクランブルスクエアSCRAMBLE HALLで新製品体験発表会を開催し、AIボイスレコーダー「Plaud Note Pro」を10月14日より日本市場で発売することを発表した。
本製品は2025年9月5日から9日にドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2025で「Best in Accessibility Focused Product」最優秀賞を受賞した。Plaudシリーズは世界累計100万ユーザーを突破している。
主な機能として、ワンタッチで重要箇所を記録するハイライト記録機能、4基のMEMSマイクを搭載したAI指向性収音技術により最大5mの収音範囲を実現する。マルチモーダルAI対応のPlaud Intelligenceは音声・画像・テキスト・ハイライト記録の4種類の入力に対応し、3,000種類以上の要約テンプレートを搭載する。
製品価格はメーカー希望小売価格30,800円(税込)である。10月9日よりPlaud App 3.0の提供を開始し、10月14日から17日に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2025に出展する。
From: 【PRTIMES】Plaud、マルチモーダルAIでさらなる進化へ、次世代AIボイスレコーダー「Plaud Note Pro」を10月14日に国内発売!
【編集部解説】
AIボイスレコーダー市場において、Plaudが提示する「マルチモーダルAI」というアプローチは、単なる音声文字起こしツールからの大きな転換点を示しています。従来の議事録作成ツールが音声データのみを扱っていたのに対し、Plaud Note Proは音声・画像・テキスト・ハイライトという4種類の入力を統合的に処理します。これにより、会議中にホワイトボードやスライドを撮影し、重要な発言をボタンで記録し、メモを追加するといった人間の自然な記録行動をAIが理解できるようになりました。
特に注目すべきは「ハイライト記録機能」です。AIが自動で重要箇所を判断するのではなく、人間がリアルタイムで「ここが重要」と指示できる点が革新的です。これは人間とAIの協働という新しい形を示しており、AIの判断精度を人間の文脈理解で補完する設計思想が反映されています。
IFA 2025での受賞カテゴリーが「アクセシビリティ」である点も示唆的です。聴覚に課題を持つ方々にとって、リアルタイムでの文字起こしと要約は会議参加の障壁を下げます。また、外国語話者にとっても音声と文字の両方で情報を得られることは大きな支援となるでしょう。
日本市場が世界第2位の規模である背景には、日本特有の働き方改革への需要があります。長時間労働の一因となってきた議事録作成作業を削減できれば、労働環境改善につながります。3,000種類以上の業界別テンプレートは、医療現場のSOAP形式など専門性の高い記録形式にも対応しており、幅広い業界での実用性を担保しています。
一方で、会議内容の自動記録が普及することで生じる懸念も存在します。録音への心理的抵抗や、発言が記録されることによる自由な議論への影響です。また、SOC 2 Type IIやHIPAAといった高水準のセキュリティ基準に準拠しているとはいえ、機密情報の取り扱いには組織としてのガイドライン整備が求められます。
メーカー希望小売価格30,800円(税込)という価格設定は、ハードウェアとソフトウェアの統合ソリューションとして企業での導入を想定した戦略と考えられます。全国300カ所以上の販売店での展開や、ビックカメラ、ヨドバシカメラなど主要家電量販店での取り扱いも、ビジネス利用を見据えた流通戦略を示しています。

【用語解説】
マルチモーダルAI
複数の異なる形式のデータ(音声、画像、テキストなど)を統合的に処理できる人工知能技術。単一のデータ形式のみを扱う従来のAIと異なり、人間のように複数の感覚情報を組み合わせて理解する。
MEMSマイク
Micro-Electro-Mechanical Systems(微小電気機械システム)技術を用いた超小型・高性能マイクロフォン。従来のマイクと比較して小型化と高感度を両立し、ノイズキャンセリング性能に優れる。
AI指向性収音技術
AIアルゴリズムを用いて特定の方向からの音声を選択的に収音し、周囲の雑音を抑制する技術。複数のマイクで得られた音声データをAIが解析し、目的の音源を強調する。
MagSafe
Apple社が開発した磁気吸着式のワイヤレス充電および装着システム。iPhone 12以降に搭載され、アクセサリーを磁力で簡単に装着できる。Plaud Note Proは専用ケースを介してMagSafe対応スマートフォンの背面に装着可能である。
SOC 2 Type II
米国公認会計士協会(AICPA)が定めるセキュリティ監査基準。システムの安全性、可用性、機密性などが一定期間継続的に維持されていることを第三者が監査・認証する。
HIPAA
Health Insurance Portability and Accountability Act(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)。米国における医療情報のプライバシーとセキュリティを保護する連邦法規制。
SOAP形式
Subjective(主観的情報)、Objective(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字を取った医療記録の標準的な記述形式。
AMOLEDディスプレイ
Active Matrix Organic Light Emitting Diodeの略。有機EL素子を用いた自発光型ディスプレイで、高コントラストと省電力性に優れる。
IFA
Internationale Funkausstellung(国際コンシューマ・エレクトロニクス展)。ドイツ・ベルリンで毎年開催される世界最大級の家電見本市。
【参考リンク】
Plaud公式サイト(日本)(外部)
Plaud製品の日本公式サイト。AIボイスレコーダーシリーズの技術仕様や活用事例が掲載されている。
Plaud Note Pro製品ページ(外部)
マルチモーダルAI機能、ハイライト記録などの詳細仕様、価格情報、購入リンクが掲載されている。
CEATEC JAPAN 2025(外部)
2025年10月14日から17日まで幕張メッセで開催されるアジア最大級のIT・エレクトロニクス総合展示会。
【参考記事】
Plaud、最上位AIレコーダー「Note Pro」 画像・録音・要約強化(外部)
Plaudの新型AIボイスレコーダー「Plaud Note Pro」の発表を報じる記事。価格、発売日、および対面と通話録音モードの自動切り替えなど、ハードウェアとソフトウェアの強化点を解説。
AI文字起こしレコーダー「Plaud Note Pro」が3万円超えでも「買い」な理由…仕事のプロが注目するマルチモーダルAIの実力(外部)
AI文字起こしレコーダーのフラッグシップモデル「Plaud Note Pro」の発表に関する記事。直販価格と発売日に加え、ビジネスシーンでの活用ポテンシャルに言及。
Plaud、最上位AIボイスレコーダー「Plaud Note Pro」を発表 多次元要約など新機能搭載(外部)
Plaudの最上位モデル「Plaud Note Pro」の発表と、IFA 2025での受賞を伝える記事。自動録音モード切り替え、マイク性能向上、長時間駆動などの特徴を紹介。
【編集部後記】
会議の議事録作成に費やす時間は、皆さんの日々の業務でどれくらいを占めているでしょうか。Plaud Note Proが提示する「人間がAIに重要箇所を伝える」という協働のアプローチは、完全自動化とは異なる可能性を感じさせます。
AIが全てを判断するのではなく、人間の意図をリアルタイムで反映できる仕組みは、創造的な仕事への時間をどれだけ生み出せるでしょうか。また、会議内容が自動で記録される環境は、発言の自由さにどのような影響を与えるのか。技術の進化と働き方の変化について、皆さんはどうお考えでしょうか。