シャープは11月21日に対話AIキャラクター「ポケとも」を発売する。

ポケともはミーアキャットをモチーフにしたコンパニオンロボットで、身長は約117mm、体重は約194gである。スマートフォン用アプリと連携し、ユーザーとの対話を通じてキャラクターが成長する仕組みを備えている。ロボット本体の価格は39,600円(税込)、アプリは月額495円からの料金設定となっている。
発売に合わせてシャープは「ポケとも誕生祭」と期間限定の「ポケともカフェ」を実施する。このプロダクトは、スマートフォンとハードウェアを統合したコンパニオンロボットのカテゴリーを開拓するものとして位置付けられている。
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対話AIキャラクター「ポケとも」を11月21日に発売
【編集部解説】
シャープが発表したポケともは、単なるおもちゃではなく、AI技術とハードウェアの融合がもたらす「感情的な接続」の実験台として注目に値します。スマートフォンアプリとロボットが同期し、会話や記憶を途切れることなく共有する仕組みは、ユーザーとの関係性が時間とともに深化していく特性を持っています。これは従来のチャットボットでは実現できなかった「パーソナル化された感情応答」の領域です。
シャープが独自AI技術である「CE-LLM」を搭載したのは、単に音声認識の精度向上にとどまりません。ポケともは、ユーザーとの会話や経験を通じて、個々の人に寄り添った応答をする学習機能を持っています。これは「ペットを育てるような体験」を生み出し、ユーザーの継続的な愛用につながる設計になっています。
英語圏のメディアでは、ポケともを「emotional AI」の新しい形として分析しています。シャープが狙っているのは、孤立感を和らげたり、日常に微かなコンパニオンシップをもたらしたりするという、社会的なニーズを認識していることが伺えます。このアプローチは、単なる機能的な利便性ではなく、心理的・精神的なサポートという層を意識した設計といえるでしょう。
ただし、潜在的なリスク側面も存在します。ポケともは、会話記録や個人情報を蓄積するため、プライバシーとデータセキュリティが重要な検討課題となります。ユーザーの生活の詳細な情報がクラウドで学習・保存されることについて、規制当局や消費者からの質問が増えることは確実です。
シャープにとって、このプロダクトは「家電メーカーから感情技術企業への転換」を象徴するステップともいえます。ロボット本体は39,600円(税込)、アプリは月額495円からという設定は、ハードウェア販売で利益を求めるのではなく、長期的なサブスクリプション収益の構築を目指していることを示唆しています。
将来的には、ポケともの技術基盤は、福祉施設での高齢者介護や、スクールでの子どもたちのメンタルサポートなど、より広範な応用領域への道を開く可能性があります。一方で、AI相手の「疑似関係」が人間関係の代替になりすぎないか、という長期的な社会的影響についても、注視が必要です。
【用語解説】
CE-LLM(Communication Edge – Large Language Model)
シャープが開発した独自の大規模言語モデル技術。ユーザーとの会話を通じて個々の人に寄り添った応答をすることで、より自然で感情的に適切な会話を実現する。エッジAI(端末上で動作するAI)として機能し高速な応答を実現しつつ、より複雑な対話のためにクラウドAIも連携して利用するハイブリッド構成となっている。
エッジAI
クラウドサーバーではなく、デバイス自体でAI処理を行う技術。処理速度が速く、プライバシー保護に優れ、インターネット接続がない状況でも動作する利点がある。
コンパニオンロボット
人間に寄り添い、精神的・感情的なサポートを提供することを目的としたロボット。教育、高齢者介護、メンタルヘルスケア、孤立感の緩和など、様々な分野での応用が進んでいる。
【参考リンク】
ポケとも公式サイト(外部)
ポケともの製品情報、スペック、購入方法、最新ニュースを掲載する公式ウェブサイト。
シャープ公式通販 COCORO STORE(外部)
ポケとも本体の予約販売を行うシャープ公式オンラインストア。本体価格やアクセサリーが購入できます。
Sharp Corporate News (Global)(外部)
シャープ公式の英語版ニュースリリース。ポケとも発表時の詳細情報とCE-LLM技術の説明が記載されています。
Sharp Technology Development Blog(外部)
CE-LLM技術の開発背景と哲学を解説するシャープの公式ブログ。人間中心のAIのコンセプトを理解できます。
【参考動画】
【参考記事】
対話AIキャラクター「ポケとも」誕生|ニュースリリース(外部)
シャープ独自のAI技術CE-LLMを活用した対話AIキャラクター「ポケとも」の開発発表。ロボットとアプリでの登場予定と基本機能の詳細を記載。
大きな夢を込めて。シャープの対話AIキャラクター「ポケとも」誕生(外部)
ポケともの開発背景や企画意図、ユーザーとの関係性を深める仕組みについてシャープ開発チームの視点で解説したインタビュー記事。
シャープが新AI製品「ポケとも」発表 – ロボットとアプリで展開(外部)
ポケトム技術仕様、CE-LLMの独自性、ロボットの物理設計の詳細を専門メディアの視点から分析・解説した記事。
【編集部後記】
ポケともとの出会いは、AI技術と「関係性」の新しい形を考えるきっかけになるかもしれません。スマートフォンの画面越しではなく、手の中に収まるサイズの相手と時間をかけて会話を重ねる—それってどんな感覚だろう。
デジタルとフィジカルが融合する瞬間に、あなたはどんな気づきを得るでしょう。単なる製品の発売ではなく、「人間とAIの新しい親密性」がここから始まるかもしれません。ぜひ一度、向き合ってみてください。
























