KYCコンサルティング×freee会計のAPI連携|反社勢力リスクを素早く検知する新サービス提供

KYCコンサルティング×freee会計のAPI連携|反社勢力リスクを素早く検知する新サービス提供 - innovaTopia - (イノベトピア)

KYCコンサルティング株式会社は2025年11月19日、フリー株式会社が提供するfreee会計・freee販売と反社チェックツール「RiskAnalyze」のAPI連携を開始した。

このリリースにより、約60万の有料課金事業所が利用するfreeeプラットフォーム上で、取引先管理や支払先管理の業務フロー内で自動的に反社会的勢力チェックが実施できる環境が実現した。RiskAnalyzeは国内1,000カ所・海外240カ所以上からリスク情報を収集し、AIが最短0.4秒でレポートを生成する。2025年6月時点で導入企業数は1,300社にのぼる。主な機能は取引先マスタとの自動連携、チェック実行結果の自動記録と共有、前回チェックから一定期間経過時の一括再スクリーニングなど。

中小企業から上場準備企業まで幅広いユーザー層のリスク管理強化・業務効率化を支え、アプリの利用料自体は無料だが各サービスの利用料金は発生する。連携によって、属人的な対応や記録管理の煩雑さなどの課題も解消され、現場のDXが期待されている。

From: 文献リンクfreee会計・freee販売とKYCコンサルティング、反社チェックツール「RiskAnalyze」とのAPI連携を開始

【編集部解説】

freee会計・freee販売とKYCコンサルティングの反社チェックツール「RiskAnalyze」のAPI連携開始は、中小企業やスタートアップにとってコンプライアンス体制を強化する重要な一歩です。

これまでは、反社チェックは専門部署が限られたリソースを使い、手作業で行うか外部委託する部分が多く、属人的なミスや対応の遅れがリスク管理を難しくしていました。しかし本連携により、freeeプラットフォーム上での取引先登録や支払処理とシームレスに連動し、「CSV一括検索」機能などを活用することで1,000件の調査さえも1分未満で処理可能になります。これによりチェックの抜け漏れを防止すると同時に、証跡データはクラウドで安全に一元管理され、監査やIPO準備における説明責任(アカウンタビリティ)の確保が容易になります。

また、これまで監査やIPO対応などで煩雑になっていた証跡管理が一元化されるため、説明責任や法令準拠の面での体制が盤石になります。さらに前回チェックから1年以上経過した取引先に対するバナー通知機能といった継続的スクリーニング機能も備えており、動的に変動するリスクに対しても対応できます。これにより取引完了までのリードタイム短縮と、高度なリスク管理の両立が実現可能となりました。

一方で自動化による課題も見えてきます。チェック結果の解釈や、グレーな情報をどう扱うかは、企業のリスク許容度や方針に依存するため、人の判断や社内ルールの整備は欠かせません。また、リスクの見落としや誤検知を防ぐためには、運用監視や継続的なシステム評価も必要です。こうした「ヒトとシステムの協調」が今後の課題と言えるでしょう。

国内市場における反社チェックは日本特有の文化があり、海外との取引拡大に際しては情報源や調査範囲の広さ・多様性が重要です。RiskAnalyzeが国内1,000カ所、海外240カ所以上の情報をカバーしている点は、この点で優位性を発揮しています。これからは、中小企業が大企業と同じレベルのコンプライアンス体制を実装しやすくなり、国内外の取引パートナーとの信頼関係構築にも寄与するでしょう。

総じて、このAPI連携はバックオフィスDXの一環として、働き手の負担軽減と高度なリスク管理の両立を可能にする実用的なソリューションです。今後の普及と運用改善の動向が、国内の中小企業リスク管理の未来を大きく変える可能性が期待されます。

【用語解説】

KYC(Know Your Customer)
銀行やサービス事業者が顧客の身元確認・本人確認を行い、不正取引やマネーロンダリングを防ぐための手続き。

API連携
異なるシステムやサービス同士が外部窓口(API)を通じて自動的にデータや機能を共有できるようにする仕組み。

IPO(Initial Public Offering)
企業が新たに株式を証券取引所に公開し、一般投資家がその株式を市場で売買できるようにする資金調達手段。

【参考リンク】

freee会計(外部)
中小企業・個人事業主向けクラウド会計ソフト。バックオフィス業務自動化に特化。

RiskAnalyze(外部)
KYCコンサルティング提供の反社・コンプラチェックツール。最短0.4秒でレポート生成。

KYCコンサルティング株式会社(外部)
企業リスク管理・コンプライアンス支援に取り組む。RiskAnalyzeを提供。

フリー株式会社(外部)
会計や労務分野のクラウドサービスを展開。2012年設立。

【参考記事】

freeeアプリストア – クラウド会計ソフト freee(外部)
会計や人事労務などのfreee製品と外部SaaSを連携させ、バックオフィス業務の自動化と拡張を可能にするプラットフォーム。

IPOにおける反社チェックの重要性、対応項目、手法を解説(外部)
上場審査で必須となる反社会的勢力との関係排除について、実務上のチェック手法や体制構築のポイントを網羅した解説記事。

契約前に行うべき反社チェックの具体的方法(外部)
政府指針に基づくコンプライアンス実務の詳細や、契約締結プロセスにおけるリスク管理の具体的な手順と法的根拠。

【編集部後記】

中小企業では、「忙しさ」「人手不足」が理由でコンプライアンスが後回しになる現場も少なくありません。freee会計とRiskAnalyzeのAPI連携は、担当者個人の努力に頼らず、リスク管理を組織の仕組みの中に落とし込むきっかけになりそうです。

皆さんの現場では取引先管理やリスクチェックにどんな課題がありますか?働く人それぞれの知恵と工夫を記事を通じて交換できればと考えています。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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