GoogleはGemini搭載のAIモード検索で、ページ下部に広告を表示し始めている。
2025年11月21日時点で、AI Overviewとあわせて広告表示のテストを実施しているとGoogleが告知した。
Brodie ClarkがXに投稿した事例では、AIモードの公式版でスポンサー付きカード広告が現れている。オーガニックのリンクカードはGeminiの回答内に置かれ、広告はその下部に表示される。
従来の検索で導入されたスポンサー結果の非表示機能はAIモードには適用されない。広告の表示開始時期や全ユーザー展開までの期間は不明。
From:
Google AI Mode is still testing showing ads in search results [U]
【編集部解説】
GoogleがAIモードの検索結果に広告を表示する試みは2025年5月以降、複数メディアでも報道されています。AIモードはGeminiによる生成AIを活用した対話型の検索体験を提供し、従来のキーワード検索とは異なり、より長く文脈豊かな質問に対応します。
最近の動向として、AIモードではページ最下部にスポンサー付き広告(Sponsored Cards)が表示されますが、オーガニックの回答やリンクカードは引き続きその上部に配置されており、広告が検索結果の中心を侵食している訳ではありません。広告表示は一部ユーザーから段階的に拡大されており、公式には「継続的なテスト」とされています。
このAIモード広告の最大の特徴は、従来のキーワード中心から会話型コンテキスト重視へとシフトし、Text Ad・Shopping Ad両方の形式が採用されることです。一方で、AIが直接回答を提供するため、従来の広告よりもクリック率が下がる可能性や、Webサイト流入が減りうる懸念も指摘されています。
広告非表示のオプションについては、通常検索では実現されつつあるものの、AIモードにおいては現段階では実装されていません。
この動きによってGoogleはAI検索という新たな広告面を形成し、今後数年をかけて既存の検索広告市場の大きな構造転換が進む可能性があります。広告主・マーケターにとっては「質問ごと」「対話ごと」に最適化された広告戦略が重要性を増す一方、利用者にとっては自然言語でのより柔軟な検索体験と、AIによる情報整理の恩恵が広がります。
ポジティブな側面として、AIの文脈理解が深まり、広告の関連性や精度は向上します。リスクとしては、正確な情報提供や広告の透明性、流入減に伴うメディアの収益減、AIによる広告詐欺対策・自主規制などが今後の課題となります。
このように、AIモードの広告導入は検索広告市場・ユーザー体験共に長期的な変革をもたらしつつあります。既存のSEO・SEMの戦略見直しとともに、AI時代に沿った倫理や透明性の担保が、今後より求められていくでしょう。
【用語解説】
Sponsored Cards
検索結果に表示される広告付きカード。企業やサービスが訴求する。
オーガニックリンクカー
広告でなく、検索アルゴリズムにより上位表示される自然リンク。
AI Overview
AIが要点や関連情報を検索結果上部等に自動提示する新機能。
【参考リンク】
Google公式サイト(外部)
Googleが提供する検索エンジンのメインページ。AIや検索技術情報も発信。
Gemini公式ブログ(外部)
GoogleのGemini AIモデル紹介や活用事例など技術的な情報を提供している。
Google検索AIモードヘルプ(外部)
広告やAI OverviewなどAI検索機能の仕様と使い方を公式が解説している。
【参考記事】
Google Ads begin surfacing inside AI Mode as tests expand(外部)
Google検索AIモードでの広告テスト拡大やパターン、導入事例を多面的に解説。
Ads on Google Search’s AI Mode are here (Update: It’s a test)(外部)
AIモードの広告導入初期事例やユーザー体験、今後の展望と課題を掲載している。
Google’s AI Mode: Search is changing, so should you(外部)
検索体験・SEO・広告運用の変化や社会的影響を複眼的に論じている。
How Google Gemini Is Affecting Search as We Know It(外部)
Geminiによる検索広告市場の変化と今後の影響を実例や数字とともに分析。
【編集部後記】
AI検索にも広告が表示されるようになり、情報収集と広告体験の境目がいよいよ曖昧になってきました。検索結果のAI回答そのものに広告が混ざる未来――かつては遠い話のようでしたが、今や海外では対話AIがスポンサー情報をソフトに盛り込んだり、商品の特徴やプランをAIが提案の形でプレゼンしたりする事例も登場しています。
「AIが回答する本文にも広告が出てくる日が来るのか?」という問いに、今は確実な答えを出しづらいですが、少なくとも検索AIや企業側は可能性を模索しています。質問ごとに文脈最適化された広告や、単なる誘導ではない“行動提案”としての広告が、今後ますます増えていきそうです。
























