Last Updated on 2024-01-27 14:34 by 荒木 啓介
ジョン・フランクリン氏が82歳で死去
文学ジャーナリズムの先駆者であり、特集記事と解説ジャーナリズムでピューリッツァー賞を受賞したジョン・フランクリン氏が、メリーランド州アナポリスのホスピスで亡くなった。82歳だった。フランクリン氏の死は、自宅での転倒から2週間足らずで発生し、妻のリン・フランクリン氏によって明らかにされた。彼はまた、食道がんの治療を2年間受けていた。
著者、教師、レポーター、編集者として活躍したフランクリン氏は、新ジャーナリズムとして称賛されたノンフィクションスタイルを推進した。これは実際には古典的なナラティブストーリーテリングであり、彼は正確さと客観性という古いジャーナリズムの基準を守るべきだと主張していた。
彼はその考えを「Writing for Story: Craft Secrets of Dramatic Nonfiction」(1986年)にまとめ、文学志向のジャーナリストにとっての指南書となった。
1979年、フランクリン氏は「ボルチモア・イブニング・サン」紙に掲載された2部構成のシリーズ「ミセス・ケリーのモンスター」で、特集記事部門で初めてピューリッツァー賞を受賞した。彼の生き生きとした第一人者の報告は、読者を手術室に連れて行き、脳を圧迫する血管の異常な絡み合いによって命を落としかけている女性の命を救おうとする外科医の苦悩する姿を通じて、現代医療の驚異と限界を浮き彫りにした。
フランクリン氏は、ジャーナリズムが物語を強調することで正確性や客観性を犠牲にする必要はないと主張し、1985年にメリーランド大学のオフィスでの写真が残されている。
【ニュース解説】
ジョン・フランクリン氏は、文学ジャーナリズムの分野で革新的な貢献をした人物として知られています。彼は、ジャーナリズムにおける物語性とドラマチックな要素を取り入れることで、読者に深い印象を与える記事を書くことに成功しました。その功績が認められ、特集記事と解説ジャーナリズムのカテゴリーでピューリッツァー賞を受賞しています。
フランクリン氏の死は、彼が食道がんと闘っていた中で起きた自宅での転倒が原因であることが妻によって明らかにされました。彼の死は、ジャーナリズム界における大きな損失と言えるでしょう。彼の著書「Writing for Story: Craft Secrets of Dramatic Nonfiction」は、ジャーナリストにとってのバイブルとも言える作品で、物語性のあるノンフィクションの書き方を教える内容となっています。
フランクリン氏のアプローチは、単に事実を伝えるだけでなく、それを物語として展開することで、読者がより深く内容を理解し、感情移入できるようにするものでした。これは、ジャーナリズムが単なる情報伝達の手段ではなく、教育や啓蒙の役割も果たすべきだという彼の信念を反映しています。
フランクリン氏の手法は、現代のジャーナリズムにおいても重要な影響を与えており、物語性を重視することで、より多くの人々がニュースに関心を持ち、理解を深めるきっかけを作ることができます。しかし、物語性を重視することで、事実の正確性や客観性が損なわれるリスクもあります。フランクリン氏は、これらの基本的なジャーナリズムの価値を維持しながら、物語を語る技術を駆使することの重要性を強調していました。
彼の死によって、ジャーナリズム教育や実践における彼の教えがどのように受け継がれていくかが注目されます。また、彼のアプローチが今後のジャーナリズムの発展にどのように影響を与えるかも、長期的な視点で見守る必要があるでしょう。フランクリン氏の死は、ジャーナリズムが直面する課題と可能性を再考する機会を提供しています。
from Jon Franklin, Pioneering Apostle of Literary Journalism, Dies at 82.