Last Updated on 2024-06-05 18:51 by 荒木 啓介
ソフトバンクグループの株価は、エリオット・マネジメントが再び大きな株式を取得し、150億ドルの自社株買いを推進しているとの報道を受け、水曜日に最大6.3%上昇した。この情報はファイナンシャル・タイムズが報じたものである。株価は水曜日に9,572円まで上昇し、前日の終値9,003円から6.32%高くなった。エリオットは、この自社株買いがソフトバンクの株価を押し上げ、孫正義の戦略への自信の表れとなると主張している。
エリオットはソフトバンクとの間で過去2〜3ヶ月にわたり上級経営陣と連絡を取っており、その持ち分は20億ドル以上に上ると報じられている。ソフトバンクは、昨年「防御モード」から「攻撃モード」への転換を宣言し、350億ドル以上の巨額の現金を築いた後、人工知能分野への投資を加速している。特に、同社は昨年上場した英国のチップデザイナーArmに大きく賭けており、2025年までにAIチップを発売する計画があると報じられている。
また、エリオットはソフトバンクの資産の総価値と市場評価の間の大きなギャップに焦点を当てており、2020年にはソフトバンクに20億ドルを投資し、200億ドルの自社株買いとガバナンスの変更を求めた。エリオット・マネジメントとソフトバンクグループは、コメントの求めに応じていない。
【ニュース解説】
ソフトバンクグループの株価が、エリオット・マネジメントによる大規模な自社株買いの推進報道を受けて、一時6.3%上昇したというニュースは、投資界における大きな動きの一つです。エリオット・マネジメントは、ソフトバンクの株価を押し上げ、孫正義CEOの戦略への自信を市場に示すために、150億ドルの自社株買いを提案しています。
この動きは、ソフトバンクが人工知能(AI)分野への投資を加速させている中で起こっています。特に、ソフトバンクは英国のチップデザイナーであるArmに大きな投資をしており、Armは2025年までにAIチップを発売する計画を持っています。これは、AI技術の需要が爆発的に増加している中で、ソフトバンクが市場での競争力を高めるための戦略と見られます。
エリオット・マネジメントの提案は、ソフトバンクの資産の総価値と市場評価の間に存在するギャップを縮小することを目指しています。これは、市場がソフトバンクの持つ資産の価値を十分に評価していないという見方に基づいています。2020年には、エリオットはソフトバンクに対して20億ドルを投資し、200億ドルの自社株買いとガバナンスの変更を求めたことがあります。
このような大規模な自社株買いの提案は、ソフトバンクの株価にポジティブな影響を与える可能性がありますが、同時にいくつかのリスクも伴います。自社株買いは企業の資本を減少させるため、将来の投資や成長の機会を制限する可能性があります。また、自社株買いが株価を一時的に押し上げることはあっても、長期的な企業価値の向上には、実質的なビジネスの成長とイノベーションが必要です。
規制の観点からは、大規模な自社株買いは市場の監視機関からの注意を引く可能性があり、特にガバナンスの改善や透明性の向上が求められる場合があります。将来的には、ソフトバンクがAIやその他の先端技術分野でのリーダーシップを確立し、持続可能な成長を達成するためには、戦略的な投資とイノベーションが鍵となるでしょう。