Last Updated on 2024-06-08 11:14 by 門倉 朋宏
Microsoftは、新しいPCでユーザーの活動をキャプチャして検索を可能にするAI機能「Recall」を、セキュリティ研究者からの懸念を受け、デフォルトでオフに設定すると発表した。この機能は、ユーザーが積極的にオンにしない限り、オフの状態で提供される。Recall機能は、PC上の過去のアクションを検索できるもので、Microsoftは先月のプレスブリーフィングでCopilot+ AI PCの主要機能として紹介していた。
セキュリティ専門家は、攻撃者がRecallが収集するデータにアクセスできる可能性を指摘していた。これに対応して、MicrosoftはRecallにセキュリティ保護を追加し、Copilot+ PCが2024年6月18日に利用可能になる際に、ユーザーが手動で機能をオンにする必要があると述べた。検索インデックスデータベースは暗号化され、Recallを有効にするにはWindows Helloの登録が必要であり、タイムラインを閲覧しRecallで検索するためには、ユーザーの存在証明も必要とされる。
MicrosoftのCEOであるSatya Nadellaは、従業員に対してセキュリティを最優先事項とするよう指示し、米国政府の報告を受けてセキュリティ慣行の変更を発表した。Microsoftは、ユーザーのプライバシーとセキュリティを重視しながら、新しい生成AIツールを製品に組み込むためのバランスを取ろうとしている。
【ニュース解説】
Microsoftは、新しいPC向けに開発したAI機能「Recall」について、セキュリティ研究者からの懸念を受け、この機能がデフォルトでオフに設定されることを発表しました。Recall機能は、ユーザーのPC上での活動をキャプチャし、過去のアクションを検索可能にするものです。しかし、この機能がユーザーデータをハッカーから守るためには、ユーザーが積極的にオンに設定する必要があります。
この決定は、セキュリティ専門家からの指摘を受けたもので、攻撃者がRecallによって収集されたデータにアクセスできる可能性があるという懸念がありました。これに対応する形で、MicrosoftはRecallに複数のセキュリティ保護機能を追加しました。具体的には、検索インデックスデータベースの暗号化、Recall機能の有効化にWindows Helloの登録が必要となり、さらにユーザーの存在証明が求められます。
この動きは、Microsoftがユーザーのプライバシーとセキュリティを重視しつつ、新しい技術を製品に組み込む際のバランスをどのように取るかという課題に直面していることを示しています。AI技術の進化は迅速に進んでおり、特に生成AIツールの組み込みは、競争力を維持する上で重要ですが、同時にユーザーの安全を確保することも同様に重要です。
このニュースは、AI技術の発展とユーザープライバシーの保護の間での緊張関係を浮き彫りにしています。一方で、AIによる便利さと効率性が増すことが期待される一方で、その技術がどのようにユーザーデータを扱うか、そしてそのセキュリティがどの程度確保されるかは、今後も大きな議論の対象となるでしょう。
長期的に見れば、このようなセキュリティ対策の強化は、AI技術の健全な発展とユーザー信頼の維持に寄与するはずです。しかし、新しい技術の導入には常にリスクが伴います。そのため、企業は技術革新を進める一方で、セキュリティとプライバシー保護のための厳格な対策を講じる必要があります。また、ユーザーも自身のデータを守るために、提供されるセキュリティ機能を理解し、適切に利用することが求められます。
from Microsoft says AI feature that captures screenshots on new PCs will be off by default after backlash.