Last Updated on 2024-08-31 15:29 by 荒木 啓介
センター・フォー・インベスティゲイティブ・リポーティング(CIR)は、著作権侵害でOpenAIとその主要支援者であるMicrosoftを連邦裁判所に提訴した。CIRは、OpenAIがCIRの許可なく、CIRの貴重なコンテンツをコピー、使用、要約し、表示したと主張している。この訴訟は、ニューヨーク南部地区連邦裁判所に提出された。
CIRは、OpenAIがChatGPTのトレーニングにジャーナリズム作品を使用する際、著作権を尊重するか否かの選択をしたが、後者を選んだと訴えている。また、OpenAIとMicrosoftがCIRのストーリーを無断で吸い上げ、製品を強化したが、許可を求めたり補償を提供したりすることはなかったと述べている。
CIRは、実際の損害と被告の利益、または1件の侵害作品につき最低750ドル、DMCA違反につき2,500ドルの法定損害賠償を求めている。これはデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づくものである。
一方、OpenAIとTime誌は、OpenAIがTimeの過去100年以上にわたる現在およびアーカイブ記事にアクセスできるようにする「複数年にわたるコンテンツ契約」を発表した。この契約により、OpenAIはChatGPTチャットボット内でユーザーの質問に応えるためにTimeのコンテンツを表示し、その人工知能モデルのトレーニングにTimeのコンテンツを使用することができる。
さらに、OpenAIはNews Corp.とも類似のパートナーシップを結び、The Wall Street Journal、MarketWatch、Barron’s、the New York Postなどの出版物の現在およびアーカイブ記事にアクセスできるようになった。RedditもOpenAIとのパートナーシップを発表し、同社がRedditのコンテンツをAIモデルのトレーニングに使用できるようにした。
【ニュース解説】
センター・フォー・インベスティゲイティブ・リポーティング(CIR)は、OpenAIとその主要支援者であるMicrosoftに対し、著作権侵害で訴訟を起こしました。CIRは、自身のコンテンツがOpenAIによって許可なくコピーされ、使用されたと主張しています。この訴訟は、ジャーナリズムの作品を尊重するかどうかという選択の中で、OpenAIが後者を選んだとしています。また、CIRのストーリーが製品の強化のために無断で使用されたにもかかわらず、許可や補償がなかったと述べています。
この訴訟は、ニュース業界がAIによるコンテンツ生成の増加に対して自身のビジネスを守ろうとする中で起こっています。ニュース業界は、広告や購読収入の減少に直面しており、その結果、新たな収益源や保護策を模索しています。一方で、OpenAIはTime誌やNews Corp.などとのパートナーシップを通じて、合法的にコンテンツを利用する方法を模索しています。
この訴訟は、AI技術の発展とその応用がもたらす著作権という法的枠組みへの挑戦を浮き彫りにしています。AIがウェブ上のコンテンツを学習材料として使用することは、情報の取得と処理能力を飛躍的に向上させますが、同時に著作権者の権利を侵害する可能性があります。このような状況は、著作権法の見直しや新たな規制の必要性を示唆しています。
また、この訴訟は、AI技術の進化がもたらすポジティブな側面と潜在的なリスクのバランスをどのように取るかという議論を促します。AIによるコンテンツ生成は、情報のアクセス性を高め、新しい知識の創出を促進する可能性がありますが、同時に著作権侵害や情報の正確性に関する問題も引き起こします。
長期的には、この訴訟はAI技術と著作権法の関係を再定義する契機となる可能性があります。AIの発展に伴い、著作権保護の枠組みをどのように適応させるかが重要な課題となります。また、AIと人間の創造性が共存する未来をどのように形成するかについての議論も促されるでしょう。
from OpenAI, Microsoft sued by Center for Investigative Reporting as news industry bolsters attack on AI.