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Baidu、GPT-4.5の1%の価格で高性能AIモデル「ERNIE 4.5」を発表

Baidu、GPT-4.5の1%の価格で高性能AIモデル「ERNIE 4.5」を発表 - AI民主化の新時代へ - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-03-18 16:11 by 乗杉 海

中国のテクノロジー大手Baidu(百度)は最近、最新の基盤AIモデル「ERNIE 4.5」と深思考推論モデル「ERNIE X1」を発表した。両モデルはERNIE Bot(文心一言)を通じて個人ユーザー向けに無料で提供されている。

ERNIE 4.5は、テキスト、画像、音声、動画などを統合的に理解できるネイティブマルチモーダル基盤モデルである。同社はこのモデルがOpenAIのGPT-4.5と比較して複数のベンチマークで優れたパフォーマンスを示す一方、価格はGPT-4.5のわずか1%に抑えられていると主張している。

モデル 入力価格 (100万トークンあたり) 出力価格 (100万トークンあたり)
ERNIE 4.5 RMB 4.0 (約USD 0.56) RMB 16.0 (約USD 2.24)
GPT-4.5 USD 75.00 USD 150.00

(RMB=中華人民元)

ERNIE X1は、Baiduの新しい深思考推論モデルで、理解、計画、反省、進化の強化に焦点を当てている。中国語の知識Q&A、文学創作、複雑な計算などの分野で優れているとされ、ツール使用能力を持つBaiduの初のマルチモーダル深思考推論モデルである。

Baiduは両モデルをBaidu検索やWenxiaoyanアプリなど同社の製品エコシステムに統合する計画で、企業ユーザーや開発者向けにはBaidu AIクラウドの千帆(Qianfan)プラットフォームのAPIを通じて提供している。ERNIE X1も間もなく同プラットフォームで提供される予定である。

同社は2025年が大規模言語モデルと技術の開発と反復にとって重要な年になると予想しており、AI、データセンター、クラウドインフラへの投資を継続して、AI能力を進化させ、次世代モデルを開発する計画である。

from:Baidu undercuts rival AI models with ERNIE 4.5 and ERNIE X1

【編集部解説】

Baiduが発表した新AIモデル「ERNIE 4.5」と「ERNIE X1」は、AI業界に大きな波紋を広げる可能性を秘めています。特に注目すべきは、ERNIE 4.5がOpenAIのGPT-4.5と同等以上のパフォーマンスを発揮しながら、価格はわずか1%という破格の安さを実現している点です。

この価格破壊は単なるコスト競争ではなく、AIの民主化を加速させる動きと捉えることができます。高性能AIモデルが低コストで広く利用可能になることで、これまで予算の制約からAI導入を躊躇していた中小企業や研究機関、個人開発者などにも先端AI技術へのアクセスが開かれることになります。

技術面では、ERNIE 4.5のマルチモーダル能力が特筆されます。テキストだけでなく、画像、音声、動画などを統合的に理解できる能力は、より人間に近い情報処理を可能にします。特にインターネットミームや風刺漫画といった文化的コンテキストを必要とする複雑なコンテンツを理解できる点は、AIの文化的理解力の向上を示しています。

また、ERNIE X1の深思考推論能力とツール使用機能は、AIが単なる情報処理から、より複雑な問題解決へと進化していることを示しています。高度な検索、ドキュメントQ&A、画像理解、AI画像生成、ウェブページ読み取りなどの機能を統合することで、より実用的なタスクをこなせるようになっています。

中国企業によるこの動きは、OpenAIやGoogleなど欧米企業が主導してきたAI開発競争に新たな局面をもたらしています。特に価格競争力の面で、中国企業が大きなアドバンテージを持ち始めていることは注目に値します。

一方で、このような低価格化競争がAI開発の持続可能性に与える影響も考慮する必要があるでしょう。高性能AIモデルの開発・運用には膨大なコストがかかるため、極端な低価格化は長期的には品質やサポートの低下につながる懸念もあります。

また、中国のAIモデルが国際的に普及することで、データプライバシーや検閲に関する懸念も浮上する可能性があります。特に中国政府の規制下にある企業のAIモデルが、どのようなデータ取り扱いポリシーを持つのかは、国際的な利用者にとって重要な検討点となるでしょう。

今後、AIモデルの低価格化とオープン化が進む中で、品質、セキュリティ、倫理的配慮のバランスをどう取っていくかが、AI業界全体の重要な課題となっていくでしょう。

【用語解説】

マルチモーダルAI
複数の情報形式(テキスト、画像、音声、動画など)を同時に処理・理解できるAI技術。人間が五感を使って情報を処理するように、AIも様々な形式の情報を統合的に理解できるようになったものである。

深思考推論モデル
複雑な問題を論理的に考え、段階的に解決する能力を持つAIモデル。単に答えを出すだけでなく、その思考過程を示すことができる。例えるなら、「なぜそう考えたのか」という思考の道筋を説明できる先生のようなものだ。

幻覚(ハルシネーション)
AIが実際には存在しない情報を事実であるかのように生成してしまう現象。

プログレッシブ強化学習:
AIの学習を段階的に強化するための手法で、複雑なタスクに適している。

【参考リンク】

Baidu(百度)公式サイト(外部)
2000年創業の中国テック大手。検索エンジンからAI、自動運転まで幅広い事業を展開

ERNIE Bot(文心一言)(外部)
Baiduの大規模言語モデルを活用したAIチャットサービス。個人向けに無料提供

千帆(Qianfan)プラットフォーム(外部)
企業向け大規模言語モデル開発・運用プラットフォーム。AIモデルのAPIを提供

【編集部後記】

AIの世界がまた一歩進化しました。Baiduの新モデルが示す「高性能×低価格」の方程式は、私たちのAI活用の可能性を広げてくれるかもしれません。皆さんの仕事や趣味の中で、もしコストが気にならなければどんなAI活用を試してみたいですか?また、日本企業がグローバルAI競争で存在感を示すには何が必要だと思いますか?SNSでぜひ皆さんの考えをシェアしてください。AIの未来を一緒に考えていきましょう。

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TaTsu
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