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Writer「Action Agent」でOpenAI超え – 19億ドル企業の自律AIがエンタープライズ市場に本格参入

Writer「Action Agent」でOpenAI超え - 19億ドル企業の自律AIがエンタープライズ市場に本格参入 - innovaTopia - (イノベトピア)

評価額19億ドルのエンタープライズAI企業Writer(本社:サンフランシスコ)は2025年7月29日、自律型エージェント「Action Agent」を発表した。

CEO兼共同創設者のMay Habibとプロダクト責任者のMatan-Paul Shetritが主導するこの製品は、600以上のソフトウェアプラットフォームと連携し、人間の介入なしで複雑なビジネスタスクを実行する。

Action AgentはAIエージェントの最も困難なベンチマークGAIA Level 3で61%のスコアを記録し、OpenAIのDeep Researchを上回った。Computer Use Benchmarkでは10.4%のスコアでトップパフォーマーとなっている。

システムは100万トークンのコンテキストウィンドウを持つPalmyra X5モデルを基盤とし、Accenture、Vanguard、Qualcomm、Uber、Salesforceなど数百の企業に導入されている。

Writerは2024年11月に2億ドルのシリーズC資金調達を行い、評価額は19億ドルに達した。エンタープライズAI市場は580億ドルから2027年までに1140億ドルに成長すると予測されている。

From: 文献リンクWriter launches a ‘super agent’ that actually gets sh*t done, outperforms OpenAI on key benchmarks

【編集部解説】

今回発表されたWriterのAction Agentは、AIの進化における重要な転換点を示しています。これまでのAIツールは主に「質問に答える」機能に留まっていましたが、Action Agentは実際に業務を「実行する」段階に到達した点で画期的です。

単純な作業自動化を超えて、Action Agentが注目される理由は「レベル4オーケストレーション」という最高階層のAI自動化にあります。これは複数のシステムを横断し、必要に応じて独自のツールまで生成する能力を意味します。臨床試験のサイト選択のような通常数週間を要する専門業務を自律的に完了できることが実証されています。

エンタープライズAI市場は、580億ドルから2027年までに1140億ドルに成長すると予測されており、WriterはこのタイミングでOpenAIとMicrosoftに真正面から挑戦する戦略を取っています。興味深いのは、同社が企業向けセキュリティと透明性を最重視している点です。

技術的な優位性は、GAIA Level 3ベンチマークでの61%スコアに表れています。これはOpenAIのDeep Researchを上回る結果で、複雑な推論タスクにおけるWriterの技術力を証明しています。特に注目すべきは、100万トークンのコンテキストウィンドウを持つPalmyra X5モデルの性能です。

コスト効率性も重要な要素となっています。WriterはPalmyra X4モデルの訓練に70万ドルを投じた一方、同規模のOpenAIモデルでは推定460万ドル(4.6 million)が必要とされ、約6.5倍のコスト差を実現しています。

しかし、このようなAIエージェントの普及には潜在的なリスクも存在します。自律性の向上は運用リスクの増大を意味し、企業は適切なガバナンス体制の構築が必要になります。Writerがエンタープライズグレードの監査証跡と細かいアクセス制御を重視しているのは、この課題への対応策といえるでしょう。

Uberとの協力関係は、実用的なAIエージェント開発における重要な示唆を与えています。理論的なユースケースではなく、実際の企業課題を解決するエージェントの構築が成功の鍵となることを示しています。

長期的には、このようなAIエージェントの普及により、企業の働き方が根本的に変わる可能性があります。従業員は「エージェントのフリートのマネージャー」になるという予測は、労働市場の構造的変化を示唆しており、組織の再教育やスキル転換が重要な課題となるでしょう。

【用語解説】

Action Agent
Writerが開発した自律型AIエージェント。従来のチャットボットとは異なり、複数のツールを使って実際に業務を実行する

GAIA Level 3
AIエージェントの性能を測定する最も困難なベンチマーク。複雑な推論、マルチステップワークフロー、ツール使用を要求する

Computer Use Benchmark(CUB)
AIシステムがコンピューターとブラウザーをどれだけ効率的に使用できるかを評価するベンチマーク

Level 4オーケストレーション
AI自動化の最高階層。複数システムの統合、独自ツール生成、完全な可視性を持つ実行が可能

Model Context Protocol(MCP)
AI ツール統合のための新興標準。異なるシステム間でのAI機能連携を可能にする

100万トークンコンテキストウィンドウ
一度に処理できる文章量の単位。約750ページの文書を同時処理可能

合成データ
実際のデータではなく、AIが生成した学習用データ。コスト効率的なAIモデル訓練を可能にする

【参考リンク】

Writer公式サイト(外部)
エンタープライズ向けフルスタック生成AIプラットフォーム。AIエージェントの構築・運用・監督を行う総合プラットフォーム

Writer企業情報ページ(外部)
2020年創設、サンフランシスコ本社。May Habib、Waseem AlShikh共同創設者による企業概要

GAIA Benchmark Leaderboard(外部)
Hugging Face運営のAIエージェントベンチマーク。推論、マルチモーダル処理能力を総合評価

Uber AI Solutions(外部)
Uberの企業向けAIソリューション事業。高品質データ注釈と複雑なエンタープライズ課題への運用専門知識

【編集部後記】

WriterのAction Agentが示した「AIエージェントの自律実行」は、私たちの働き方を根本から変える転換点かもしれません。

皆さんの職場では、まだ人間が手作業で行っているプロセスはありませんか?データ分析、レポート作成、顧客対応など、日々の業務でAIが代行できそうなタスクを思い浮かべてみてください。

一方で、このような高度なAIエージェントが普及した時、私たち人間はどのような価値を提供していくべきでしょうか?innovaTopiaでは今後もAI技術の進化を追い続けますが、読者の皆さんの現場での実感や疑問もお聞かせいただければと思います。

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TaTsu
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