Microsoft Excel COPILOT関数、ベータ版開始|自然言語でデータ分析・要約が可能な新機能

[更新]2025年8月21日10:14

Microsoft Excel COPILOT関数、ベータ版開始|自然言語でデータ分析・要約が可能な新機能 - innovaTopia - (イノベトピア)

MicrosoftがExcelに新しいCOPILOT関数を導入した。この機能は月曜日にMicrosoft 365 Copilotのベータユーザーに提供開始された。COPILOT関数により、ユーザーはExcelのセル内で直接AI機能を利用できる。

Excel Core製品責任者のCatherine PidgeonとプリンシパルPMマネージャーのJoe McDaidがブログ投稿とYouTube動画で機能を説明している。関数は等号演算子で始まり、プロンプトを引用符内に記述し、対象セルのアドレスを指定する形式で使用する。

デモでは「=COPILOT(“Summarize this feedback into a paragraph”,D4:D18)」といった数式でコーヒーマシンのレビューを要約する例が示された。また「=COPILOT(“Categorize this feedback”,D4:D18,”into one of these categories”,B4:B8)」のように複数のプロンプトとコンテキストを組み合わせることも可能だ。

さらに空港コードの取得など外部情報の取り込みや他の関数とのネスト機能も備える。現在この機能を利用するにはユーザーあたり月額30ドルのMicrosoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Insiderプログラムのベータチャネル参加が必要である。

From: 文献リンクMicrosoft crams Copilot AI directly into Excel cells

【編集部解説】

MicrosoftがExcelに導入したCOPILOT関数は、スプレッドシート業界における重要な転換点を示しています。この機能により、従来のExcelの関数体系に自然言語処理が組み込まれ、ユーザーは英語でプロンプトを入力するだけで高度なデータ分析が可能となりました。

技術的な観点から見ると、この実装は特に革新的です。従来のMicrosoft 365 CopilotがExcelの「外側」からアシスタント的な支援を提供していたのに対し、新しいCOPILOT関数はExcelの計算エンジンに直接統合されています。これにより、データが変更されると自動的に結果が更新される仕組みが実現されており、リアルタイムな分析環境が構築されています。

実用面では、この機能が特に威力を発揮するのは非構造化データの分析領域です。従来のExcelでは困難だった感情分析、テキスト分類、要約生成などが、複雑なマクロやVBAコードを書くことなく実現できるようになります。特に、カスタマーフィードバックの分析やアンケート回答の分類といった業務では、大幅な作業時間の短縮が期待されます。

セキュリティとプライバシーの観点では、MicrosoftはCOPILOT関数を通じて送信されるデータがAIモデルの訓練に使用されないことを明言しています。これは企業データの機密性を重視する組織にとって重要な保証となっています。

ただし、導入のハードルは決して低くありません。現在の利用には月額30ドル(ユーザーあたり)のMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要で、さらにベータチャネルでのInsiderプログラム参加が条件となっています。この価格設定は、特に中小企業にとって慎重な検討を要する投資額といえるでしょう。

長期的な視点では、この機能がExcelユーザーの学習曲線を根本的に変化させる可能性があります。従来のVLOOKUPやPIVOTといった関数の習得が不要になる一方で、効果的なプロンプト作成スキルが新たに求められるようになります。また、AIに依存した分析結果の妥当性を検証する能力も、これまで以上に重要になってくるでしょう。

競合他社への影響も注目すべき点です。GoogleスプレッドシートやApple Numbersなど他のスプレッドシートアプリケーションも、同様のAI統合機能の開発を加速させる可能性が高く、この分野での技術競争が激化することが予想されます。

【用語解説】

生成AI(Generative AI)
人間の指示に基づいて文章や画像などを自動で生成する人工知能の一種。Microsoft Copilotはこの技術を活用している。

大規模言語モデル(Large Language Models)
膨大なテキストデータから学習し、人間の言語を理解し生成するAIモデル。COPILOT関数の根幹技術である。

自然言語処理(NLP)
人間の言語をコンピューターが理解し処理する技術。COPILOT関数では自然な英語のプロンプトを解釈して操作を実行する。

【参考リンク】

Microsoft 365 Copilot – Microsoft公式(外部)
Microsoft 365に統合されたAIアシスタント機能の公式ページ。COPILOT関数の情報も含まれる。

Excel公式:AI搭載のExcel機能(外部)
Microsoft ExcelにおけるAI機能の詳細と利用方法を紹介する公式ページ。

【参考動画】

【参考記事】

Bring AI to your formulas with the COPILOT function in Excel(外部)
Microsoftの公式ブログでCOPILOT関数の詳細な使用方法と技術仕様を解説。

Microsoft Copilot Pricing: How Much Does It Cost? (外部)
Microsoft CopilotとMicrosoft 365 Copilotの価格体系を詳細に分析した記事。

【編集部後記】

従来のExcel関数を覚える必要もなくなってきますね。MOT(マイクロソフトオフィストレーナー)の資格をもっていますが、今後資格試験の内容も変わってくるでしょう。

VLOOKUPやIF関数の複雑な組み合わせを教える代わりに、効果的なAIプロンプトの書き方や、AI結果の検証方法を教える時代が来るかもしれません。ただし、月額30ドルという追加コストを考えると、すべての教育現場ですぐに導入できるわけではありませんが、Excel教育のスタイルそのものが根本的に変化していく予感がします。

同様の機能がGoogleスプレッドシートにも導入されれば、スプレッドシートアプリケーション全体の教育方針が変わることになるでしょう。従来の「関数を覚える」学習から「AIと対話する」学習へのシフトは、インストラクターにとっても生徒にとっても大きな転換点となりそうです。投資に見合う学習効果を提供できるよう、教える側も常にアップデートが求められる時代ですね。

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TaTsu
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