YouTube、Veo 3統合でShortsにAI動画生成機能を追加 クリエイター保護機能も強化

[更新]2025年9月18日08:10

YouTube、Veo 3統合でShortsにAI動画生成機能を追加 クリエイター保護機能も強化 - innovaTopia - (イノベトピア)

YouTubeは2025年9月16日、ニューヨークで開催されたクリエイター向けイベント「Made on YouTube」で新しいAIツール群を発表した。

主要な発表内容として、Google DeepMindの動画生成モデルVeo 3のカスタムバージョンをShortsに統合すると明らかにした。この機能により、ユーザーはテキストプロンプトから音声付きの短い縦型動画を作成できる。

機能は現在、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで展開されている。Shortsの「作成」ボタンをタップし、右上角のスパークルアイコンから利用できる。追加機能として、生の映像を第一稿の動画に変換する「Edit with AI」、対話をサウンドトラックに変える「Speech to Song」が今後数週間で展開される。

YouTube Studioでは、顔立ちを使用した無許可動画の検出と削除要求が可能な類似性検出機能が拡張された。この機能は全YouTube パートナープログラムクリエイターにオープンベータ版として提供される。

AIを活用した対話型ツール「Ask Studio」は米国でのみ提供される。

From: 文献リンクYouTube Unveils New AI Tools for Crafting Shorts, More Upgrades for Creators

【編集部解説】

YouTubeが今回発表したAI機能群は、単なる新機能の追加を超えて、動画クリエイション領域における根本的な変革を示しています。

Google DeepMindのVeo 3Shortsに統合する取り組みは、これまでプロの動画制作に必要だった高度な技術スキルを民主化する意味を持ちます。テキストプロンプトから音声付き動画を生成できる機能により、アイデアはあるものの映像制作経験の浅いクリエイターでも、瞬時に高品質なコンテンツを作成できるようになります。

この変化は特に、TikTokとの競争が激化するショート動画市場において戦略的な意味を持ちます。現在YouTubeが公表している統計では、Shortsの1日再生数は2000億回に達しており、この膨大なプラットフォームにAI生成コンテンツが本格導入されることで、コンテンツの量と多様性が飛躍的に向上する可能性があります。

一方で、AI生成コンテンツの急激な増加は新たな課題も生み出します。YouTubeが同時に発表した顔立ち検出機能の拡張は、まさにこうした懸念への対応策と考えられます。ディープフェイク技術の悪用や、無断での肖像権侵害といったリスクが現実化する中で、プラットフォーム側の責任ある対応が求められているためです。

技術的観点から見ると、Veo 3の統合はGoogleの統合AI戦略の一環として位置づけられます。同社がGeminiやBardといった言語モデルと併せて、マルチモーダルなAIエコシステムを構築している流れの中で、動画生成機能は重要なピースとなるでしょう。

長期的には、この技術革新がクリエイター経済に与える影響も注目されます。AI支援によってコンテンツ制作の敷居が下がる一方で、人間の創造性とAIの協働という新たな価値創出モデルが確立される可能性があります。Neal Mohan CEOが言及した「AIが人間の創造性に奉仕する」という理念は、こうした未来像を象徴していると言えるでしょう。

【用語解説】

Veo 3
Google DeepMindが開発した最新の動画生成AI。テキストプロンプトから高品質な動画を作成できる技術で、従来モデルと比較して映像の解像度と音声品質が大幅に向上している。

YouTube Shorts
YouTubeが提供する短尺縦型動画サービス。最大60秒までの動画を投稿・視聴できる機能で、TikTokに対抗するプラットフォームとして2020年に開始された。

YouTube Partner Program
YouTubeの収益化プログラム。一定の条件を満たしたクリエイターが広告収益を得られる仕組みで、チャンネル登録者数や総再生時間などの基準がある。

ディープフェイク
AI技術を用いて作成される、実在の人物の顔や声を他人に置き換えた偽の映像や音声。技術の悪用により肖像権侵害やなりすましなどの問題が発生している。

【参考リンク】

YouTube公式サイト(外部)
世界最大の動画共有プラットフォーム。今回発表されたAI機能やShortsの詳細情報を提供

Google DeepMind(外部)
Googleの人工知能研究部門。Veo 3を含む各種AI技術の開発・研究を行っている

YouTube Creator Blog(外部)
YouTubeの公式ブログ。クリエイター向けの新機能発表やアップデート情報を更新

【参考記事】

YouTube Supercharges Shorts with Veo3 AI(外部)
Made on YouTube 2025イベントで発表された新機能の詳細分析

YouTube to integrate video generation AI ‘Veo 3’ into Shorts(外部)
Veo 3のShortsへの統合に関する技術的詳細と統計情報を報告

Google brings AI video tool Veo 3 to YouTube Shorts(外部)
GoogleのAI戦略におけるVeo 3の位置づけとYouTubeでの実装について詳細報告

【編集部後記】

このYouTubeの新機能を見て、皆さんはどう感じられましたか?テキストから動画を生成できるVeo 3は、これまで映像制作に躊躇していた方にも新しい可能性を開いてくれそうですね。一方で、AI生成コンテンツが増えることで、人間の創造性がより問われる時代になるのかもしれません。

読者の皆さんの中にも、YouTubeで情報発信を考えている方や、既にクリエイティブな活動をされている方がいらっしゃるのではないでしょうか。この技術をどう活用すれば、より多くの人に価値を届けられるでしょうか?皆さんはこの変化をどう捉えていらっしゃいますか。

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Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!

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