Microsoft 365 Copilot、Claude Sonnet 4とOpus 4.1対応でAIモデル選択の自由度向上

[更新]2025年9月26日10:40

Microsoft 365 Copilot、Claude Sonnet 4とOpus 4.1対応でAIモデル選択の自由度向上 - innovaTopia - (イノベトピア)

Microsoftは9月24日、同社のAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」にAnthropic社のAIモデル2種類「Claude Sonnet 4」と「Claude Opus 4.1」を追加すると発表した。

これらのClaudeモデルは一般的なチャットボット機能ではOpenAIのChatGPTに代わるものではなく、特定のタスクで使用される。Claude Opus 4.1はCopilotの「Researcher」AIエージェント内でChatGPTと並んで選択可能となり、

両方のAnthropicモデルはCopilot Studio内で利用できる。Researcherエージェントはメール、会議情報、ファイルなどの日常データと連携し、新製品のブレインストーミングや高度なレポート作成を支援する推論エージェントである。

Copilot Studioでは4つのOpenAIモデルと新しいAnthropicモデルを使用して企業向けエージェントの構築が可能だ。新モデルへのアクセスは現在制限されており、Microsoft 365 Copilotライセンス保有顧客はFrontier Programを通じてオプトインでClaude Opus 4.1にアクセスでき、組織の管理者はOffice 365管理センターでアクセスを有効化できる。

From: 文献リンクMicrosoft 365 Copilot Adds Two Anthropic AI Models, Giving Users a Choice

【編集部解説】

今回のMicrosoftの発表は、生成AI業界における競争構造の変化を象徴する重要な動きです。これまでOpenAIのモデルに依存してきたMicrosoft 365 Copilotが、Anthropic社のClaude系モデルを選択肢として加えたことで、企業ユーザーにとってAI活用の幅が大きく広がります。

特に注目すべきは、Claude Opus 4.1がCopilotの「Researcher」エージェント機能で利用可能になる点です。Researcherエージェントは、メールや会議資料、企業内ファイルといった実際のビジネスデータを基に、新製品のアイデア創出や詳細なレポート作成を支援する高度な推論機能を持っています。

この機能により、従来のChatGPTベースの出力と、Claudeベースの出力を直接比較できるようになります。異なる学習データセットで訓練されたモデル同士の比較は、より多角的な視点からの問題解決を可能にし、企業の意思決定プロセスに新たな価値をもたらすでしょう。

一方で、新モデルへのアクセスは段階的な展開となっており、慎重なアプローチを示しています。新機能へのアクセスはFrontier Programを通じた限定的なオプトイン方式となっており、組織の管理者が明示的に有効化する必要があります。これは、企業データを扱う際のセキュリティやガバナンスへの配慮を反映したものと考えられます。

長期的な視点で見ると、この動きはMicrosoftのAI戦略の多様化を示しています。単一のAIプロバイダーに依存するリスクを分散し、用途に応じて最適なモデルを選択できる環境を構築することで、企業ユーザーの満足度向上と競争力強化を図る狙いがあると見られます。

【用語解説】

Microsoft 365 Copilot
Microsoftが提供するAIアシスタント機能で、Word、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションと統合されている。日常業務の効率化を支援する。

Anthropic
2021年に設立されたAI安全性研究に重点を置く企業。元OpenAI研究者らが創設し、Claude系列の大規模言語モデルを開発している。

Claude Sonnet 4/Claude Opus 4.1
Anthropic社が開発した大規模言語モデル。Claudeシリーズの最新世代で、高度な推論能力と安全性を特徴とする。

Researcherエージェント
Microsoft 365 Copilotの機能の一つで、企業データを活用して新製品のアイデア創出や詳細レポート作成を支援する推論型AIエージェント。

Copilot Studio
企業が独自のAIエージェントを構築・カスタマイズできるMicrosoftのプラットフォーム。複数のAIモデルを活用して業務特化型エージェントの開発が可能。

Frontier Program
Microsoftの新機能やサービスを限定的に試用できるプログラム。企業ユーザー向けの早期アクセス制度。

【参考リンク】

Microsoft 365(外部)
Microsoftが提供するクラウドベースの生産性向上サービス群でOfficeアプリケーションとクラウドサービスを統合

Anthropic(外部)
AI安全性研究に特化した企業でClaude系列の大規模言語モデルを開発し人間の価値観に沿ったAIシステムを構築

Microsoft Copilot(外部)
MicrosoftのAIアシスタントサービスのメインページで各種Copilot製品の概要や機能説明を提供

【参考記事】

Microsoft brings Anthropic AI models to 365 Copilot, diversifies beyond OpenAI(外部)
ReutersによるMicrosoftのAI戦略多様化に関する報道でOpenAI依存からの脱却とAnthropic採用の背景を詳細分析

Microsoft adds Anthropic model to Microsoft 365 Copilot(外部)
CNBCによる今回の発表の詳細報道で企業向けAI市場における競争激化とMicrosoftの戦略変更を解説

Expanding model choice in Microsoft 365 Copilot(外部)
Microsoft公式ブログによる発表記事で新機能の技術的詳細とビジネス価値について公式見解を提示

Microsoft Expands 365 Copilot with Anthropic AI Models(外部)
UC Todayによる企業通信市場の視点からの分析記事で統合コミュニケーション分野への影響を詳述

【編集部後記】

この機能で最も革新的なのは、同じタスクに対してChatGPTとClaudeという異なるAIモデルの出力を並べて比較検証できる点です。これまでAI活用において最大の課題だった「どのモデルが自社の業務に最適なのか」という疑問に、実際の業務データを使って答えを見つけられる環境が整いました。

例えば、新製品の企画書作成において、ChatGPTは論理的で構造化された提案を得意とする一方、Claudeはより人間らしく創造的なアイデアを生み出す傾向があります。従来なら別々のプラットフォームで試行錯誤していた作業が、Microsoft 365 Copilot内で効率的に実施できるようになります。

企業の皆さんにとって、これは単なる機能追加以上の意味を持ちます。AIモデルごとの特性を理解し、業務内容に応じて最適な選択をすることで、生産性向上の可能性が大きく広がるでしょう。ぜひ実際にお試しいただき、どのような違いを体感されるか、お聞かせください。

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TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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